似た意味を持つ「恣意的」と「意図的」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「恣意的」と「意図的」という言葉は、どちらも物事を判断する際に使うという共通点があり、本来の意味は違いますが現在は混同して使われる傾向があります。
恣意的と意図的の違い
恣意的と意図的の意味の違い
恣意的と意図的の違いを分かりやすく言うと、思い付きで物事を判断しているのか、目的があった上で物事を判断しているのかの違いです。
恣意的と意図的の使い方の違い
一つ目の恣意的を使った分かりやすい例としては、「恣意的に判断して選ぶのはやめよう」「この質問内容だと恣意的な誘導結果になる」「なんか恣意的な統計データだなあ」「今日の株は非常に恣意的な動きをしている」などがあります。
二つ目の意図的を使った分かりやすい例としては、「意図的に息子に厳しくしている」「意図的な脱税と判断された」「意図的に偶然を装った」「意図的に定時帰りを実践」「あの選手は意図的にファールをしてきた」などがあります。
恣意的はその時々の思い付きで物事を判断するという意味であり、意図的ははっきりした考えや目的があった上で物事を判断するという意味です。
しかしながら現在では、恣意的という言葉が「作為的である」という意味に捉えられたりして、意図的という言葉と混同して使われる傾向があります。
「恣意的だが意図的ではない」などの例文で考えてみるとわかりやすいです。この言葉の解釈としては「思うまま自由にやったことではあるけれど、わざとやったわけではない」という意味になります。
恣意的と意図的の英語表記の違い
恣意的を英語にすると「arbitrary」となり、例えば「漢字の読み方が恣意的である」を英語にすると「The reading of kanji is arbitrary」になります。
一方、意図的を英語にすると「intentionally」となり、例えば上記の「彼女は意図的に窓を割った」を英語にすると「She broke the window intentionally」となります。
恣意的の意味
恣意的とは
恣意的とは、「恣」(し)という漢字を使っており、この漢字は「欲しいまま」「勝手気まま」という意味を持ちます。
恣意的はその時々の思い付きのまま、勝手気ままに物事を判断することを意味しています。
表現方法は「恣意的な質問」「恣意的な評価」「恣意的運用を禁ずる」
恣意的が用いられた言葉には、論理的ではない質問であることを意味する「恣意的な質問」、倫理的でない評価をすることを意味する「恣意的な評価」、会社などが社員に対してシステムを不正に運用しないように定めることを意味する「恣意的運用を禁ずる」などがあります。
恣意的の類語
恣意的の類語・類義語としては、わざと何か行うことを意味する「意識的」「故意」、悪いことだとわかった上で行われた行為を意味する「確信犯的」などがあります。
恣意的の恣の字を使った別の言葉としては、勝手気ままな振る舞いを意味する「恣行」があります。
意図的の意味
意図的とは
意図的とは、「意」(い)という漢字を使っており、この漢字は「思っていること」「気持ちや考え」という意味を持ちます。
意図的ははっきりした考えや目的を持ちながら物事を判断することを意味しています。
表現方法は「意図的なもの」「意図的な努力」「意図的に行う」
意図的が用いられた言葉には、相手に特別な考えや意思があることを見抜いているということを意味する「質問を意図的なものだと理解する」、明確な目標に向かって力を尽くすことを意味する「意図的な努力」、何か思いを持って行うことを意味する「意図的に行う」などがあります。
意図的の類語
意図的の類語・類義語としては、不自然に何かを行うことを意味する「作為的」があります。
恣意的の例文
恣意的という言葉は物事の関係性がない状態を意味します。必然性がなく、偶然であることや、どのような結果になるのかが予測できない状態で思いつくままに行動する様子という意味があります。
この言葉がよく使われる場面としては、「恣意的な行動をとる」という言葉があるようにわがままや思い付きで行動をする人がいるような場面、「今回の出来事については恣意的であり、想定外だ」というように物事の偶然性を説明するような場面で使われます。
恣意的という言葉は、使い方によっては言い訳のようにも捉えられることがある言葉ですので、使うときには周囲の状況や状態などを考えた上で、慎重に使うようにしましょう。「恣意的ではない」という風に否定形とセットで使われることも多いです。
意図的の例文
意図的という言葉は意識的に物事を目指していく状態を意味します。必然的であり、なにか目的があることや、わざと行動すること、結果を見据えた上で動く様子という意味があります。
この言葉がよく使われる場面としては、「意図的な行動をとる」という言葉があるように何かの考えがあって行動しているような場面、「今回の出来事は意図的であり、想定通りの結果である」というように物事の必然性を説明する場面でも使われます。
意図的という言葉は、良い意味の言葉とセットで使う場合は問題ありませんが、悪い意味の言葉と一緒に使うと、誤解や勘違いを生みやすい言葉です。使う時は、文脈に気を付けて、慎重に使うようにしましょう。