【導く】と【促す】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「導く」(読み方:みちびく)と「促す」(読み方:うながす)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「導く」と「促す」という言葉は、どちらも物事をそのように働きかけることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「導く」と「促す」の違い

「導く」と「促す」の意味の違い

「導く」と「促す」の違いを分かりやすく言うと、「導く」とは案内するような前から引っ張るイメージ、「促す」とは急き立てるような後ろから押すイメージという違いです。

「導く」と「促す」の使い方の違い

一つ目の「導く」を使った分かりやすい例としては、「結論を導くのはまだ早いだろう」「お客さんを席に導く」「チームを勝利へと導く」「訪問者を社長室まで導く」などがあります。

二つ目の「促す」を使った分かりやすい例としては、「筋トレをすることで新陳代謝を促す」「災害時に備えるよう注意を促す」「部下の成長を促すにはどんな指導をすればいいだろうか」などがあります。

「導く」と「促す」の使い分け方

「導く」と「促す」はどちらも似た意味を持つ言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。

「導く」は「お客さんを席に導く」「チームを勝利へと導く」などのように、相手を案内するような前から引っ張るイメージで使うのに対して、「促す」は「災害時に備えるよう注意を促す」のように、相手を急き立てるような後ろから押すイメージで使うというのが違いです。

また、「導く」は案内して目的の所に連れていくこと、正しい方向に手引きをすること、答えや結論を引き出すことを持っているのに対して、「促す」は物事の進行を速やかにさせることの意味で使うというのも違いになります。

「導く」と「促す」の英語表記の違い

「導く」を英語にすると「guide」「conduct」となり、例えば上記の「彼女は我々を奥の院に導いた」を英語にすると「Shw conducted us to the inner shrine」となります。

一方、「促す」を英語にすると「urge」「stimulates」「prompt」となり、例えば上記の「母に促されて私は部屋を出た」を英語にすると「At my mother’s urging, I left the room」となります。

「導く」の意味

「導く」とは

「導く」とは、物事がそうなるように働きかけることを意味しています。その他にも、案内して目的の所に連れていくこと、正しい方向に手引きをすること、答えや結論を引き出すことの意味も持っています。

表現方法は「人を導く」「答えを導く」「解決へ導く」

「人を導く」「答えを導く」「解決へ導く」などが、「導く」を使った一般的な言い回しになります。

「導く」の使い方

「状況を有利に導く」「車を駐車場まで導く」などの文中で使われている「導く」は、「物事がそうなるように働きかけることや、案内して目的の所に連れていくこと」の意味で使われています。

一方、「生徒を正しい道へ導く」「問題を解決に導くには何をしたらいいだろうか」などの文中で使われている「導く」は、「正しい方向に手引きをすることや、答えや結論を引き出すこと」の意味で使われています。

「導く」は複数の意味を持つ言葉ですが、どの意味でも使われています。主に相手を案内するような前から引っ張るイメージで使うと覚えておきましょう。

また、日常生活とビジネスシーンどちらでも使うことができる言葉です。

「導く」の類語

「導く」の類語・類義語としては、人やものをある地点や状態に導いていくことを意味する「誘導」、先頭に立って行動することを意味する「先立つ」、従えて行くことを意味する「率いる」などがあります。

「促す」の意味

「促す」とは

「促す」とは、物事を早くするように急き立てることを意味しています。その他にも、物事の進行を速やかにさせることの意味も持っています。

表現方法は「理解を促す」「成長を促す」「注意を促す」

「理解を促す」「成長を促す」「注意を促す」「関心を促す」「協力を促す」などが、「促す」を使った一般的な言い回しになります。

「促す」の使い方

「促されてようやく席を立ちました」「台風の対策をするように注意を促す」などの文中で使われている「促す」は、「物事を早くするように急き立てること」の意味で使われています。

一方、「練習メニューを改善し成長を促す」「ストレッチをすることで新陳代謝を促す」などの文中で使われている「促す」は、「物事の進行を速やかにさせること」の意味で使われています。

「促す」は日常生活とビジネスシーンどちらでも使われている言葉です。主に、相手を急き立てるような後ろから押すイメージで使うと覚えておきましょう。

「促す」は相手がそうしたくなるように勧めるというニュアンスで使います。決して相手に何かを強制させるというニュアンスで使う言葉ではないので、使う際には十分に注意してください。

「促す」の類語

「促す」の類語・類義語としては、物事がはやく捗るように促すことを意味する「促進」、予定の手順に従って物事を進行させることを意味する「進める」、物事を早く行うように強く催促することを意味する「急き立てる」などがあります。

「導く」の例文

1.災害時に嘘の情報をSNSで流し、人々を混乱へと導いた人が逮捕されました。
2.チームを勝利へと導く1点を決めた選手が、本日のMVPになりました。
3.お料理を運んだり、お客さんを席へ導くなど、様々な業務を行うのが私の仕事です。
4.私たち教員の仕事は、子供達一人一人の夢を実現まで導く手引きをすることです。
5.問題の原因を突き止めて調査や分析することで、最適な解決策へ導くことができるだろう。
6.昨年、長年の闘病の末、亡くなった叔母は熱心なキリスト教信者でした。どんなに苦しいときでも、神様に導かれて自分はいまここにあるという祝福と感謝の気持ちを忘れない立派な人でした。
7.いったんバラバラになったこの国を誰が統一に導けるのだろうか。その覚悟と素養を持った人物は果たして誰か。
8.きょうの授業は、弱小チームだったわが校の野球部を見事に優勝へと導いた伝説の監督の話をしようと思う。
9.国の有識者会議ではこの問題について結論に導くのはあまりに早急だという当たり障りのないところに着地していた。
10.数学の問題は選択肢を選ぶこと以前に、計算によって答えを導くようにしなければちゃんと身につかないだろう。

この言葉がよく使われる場面としては、物事がそうなるように働きかけることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、案内して目的の所に連れていくこと、正しい方向に手引きをすること、答えや結論を引き出すことを表現したい時にも使います。

例文1と例文2の「導く」は物事がそうなるように働きかけること、例文3の「導く」は案内して目的の所に連れていくこと、例文4の「導く」は正しい方向に手引きをすること、例文5の「導く」は答えや結論を引き出すことの意味で使っています。

「促す」の例文

1.不測の事態に備えて注意を促すも、誰も聞き入れようとはしませんでした。
2.こちらは高齢者や妊婦さんなどの、着席を促す座席である。
3.体験こそが、子どもの成長を促すと思っているので、様々な習い事をさせることにしました。
4.新陳代謝を促すために、こまめに水分を取ることや、朝食を毎日取ることを意識しています。
5.地域発展を促すため、ご当地キャラを作ることにしました。
6.明らかに時間稼ぎで立ち上がれないふりをしている選手が、さきほど審判に促されてしぶしぶピッチの外に出ていきました。
7.今の政権のように経済成長を促すところから手厚い再分配を重視にシフトすれば、官僚支配が強化されるだけではないか。
8.自治体から土砂災害の情報を出して注意を促すも、大雨で同報無線が聞こえず、住民を救うことができなかった。
9.大人になってからよりも、子供の時から地道に異文化交流をしていけば国際理解を促すことにつながるのではないか。
10.四六時中一杯のコーヒーだけで居座り続けているお客様に、どのように退席を促せば角が立たないかを考えなければならない。

この言葉がよく使われる場面としては、物事を早くするように急き立てることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、物事の進行を速やかにさせることを表現したい時にも使います。

例文1と例文2の「促す」は物事を早くするように急き立てること、例文3から例文5の「促す」は物事の進行を速やかにさせることの意味で使っています。

「導く」と「促す」はどちらも物事をそのように働きかけることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、案内するような前から引っ張るイメージの場合は「導く」を、急き立てるような後ろから押すイメージの場合は「促す」を使うと覚えておきましょう。

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