似た意味を持つ「アサーション」と「アサーティブ」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「アサーション」と「アサーティブ」という言葉は、「自己主張」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
アサーションとアサーティブの違い
アサーションとアサーティブの意味の違い
アサーションとアサーティブの違いを分かりやすく言うと、アサーションは名詞として使い、アサーティブは形容詞として他の語を伴って使うという違いです。
アサーションとアサーティブの使い方の違い
一つ目のアサーションを使った分かりやすい例としては、「アサーションスキルは一朝一夕で身に付くものではない」「アサーションはドラえもんなどのキャラクターで理解する方が早い」「職場ではアサーションが重視されるべきだろう」などがあります。
二つ目のアサーティブを使った分かりやすい例としては、「アサーティブコミュニケーションについて学ぶところから始めたい」「アサーティブな話し方をすることに憧れている」「アサーティブネスにまず必要なのは自己を尊重することだ」などがあります。
アサーションとアサーティブの使い分け方
アサーションとアサーティブはどちらも、お互いを尊重し合いながら自己主張や自己表現を意味する言葉ですが、使い方が若干異なります。
アサーションは、名詞として使われている言葉です。そのため上記例文の「アサーティブな話し方」を「アサーションな話し方」などのように置き換えて形容詞のように使うことはできません。
一方のアサーティブは、上記例文の「アサーティブコミュニケーション」「アサーティブな話し方」などのように、形容詞として使われています。そのため、名詞として使う場合は「アサーティブネス」と変化させる必要があります。
つまり、名詞として使う場合はアサーションが一般的に使われ、他の語を伴う場合は形容詞としてアサーティブが使われるという違いがあります。
今日では、使い方が曖昧になり、アサーションの代わりにアサーティブが使われることもあり、同じ意味で使われていることもあります。
アサーションとアサーティブの英語表記の違い
アサーションを英語にすると「assertion」となり、例えば上記の「アサーションスキル」を英語にすると「assertion skill」となります。
一方、アサーティブを英語にすると「assertive」となり、例えば上記の「アサーティブコミュニケーション」を英語にすると「assertive communication」となります。
アサーションの意味
アサーションとは
アサーションとは、相手を尊重しながら行う自己主張や自己表現を意味しています。
アサーションの使い方
アサーションを使った分かりやすい例としては、「アサーションスキルを身に付けるために人の話し方に注目してみる」「アサーション例を先輩に教えてもらい双方が傷付かないよう心掛けていきたい」などがあります。
その他にも、「機能的アサーションでは率直に物を伝えても変わらないだろう時に使われている」「アサーションにおいて必要なのは相手のことを考えることと自分を大切にすることだ」「人を傷付けてしまうアサーションのデメリットも心に留める」などがあります。
アサーションは英語で「assertion」と表記され、「断言」「断定」「主張」を意味する言葉です。カタカナ語として使われる場合も同じように使いますが、断言をするような物言いでも、相手の意見は聞き入れることに対して使われます。
1949年にアメリカで出版された本に、精神医学や行動医学の観点から医学用語として使われ始めたのをきっかけに、自己主張が苦手な人に対してカウンセリングが行われていました。日本でアサーションが使われ始めたのは1980年代以降です。
「アサーションスキル」の意味
上記例文の「アサーションスキル」は適切な自己主張を行うスキルを指す言葉ですが、相手に攻撃的にならないことはもちろん、それによって自身の精神を通常通りに保ちます。方法としては、あなたではなく私を主語にするなど様々です。
「機能的アサーション」の意味
また、上記例文の「機能的アサーション」は従来の率直に伝えることを重視するアサーションとは異なり、婉曲的な表現方法を使って積極的に伝えることができるという特徴があります。
「アサーションの対義語
アサーションの対義語・反対語としては、自分の存在を必要以上に目立つようにすることを意味する「自己顕示」、自分の意見や考えを押し通そうとすることを意味する「片意地」があります。
「アサーションの類語
アサーションの類語・類義語としては、表現や行動などが率直であることを意味する「ストレート」、心に感じたことを意味する「所感」、人に知られたくない事実などを思い切って話すことを意味する「打ち明ける」などがあります。
アサーティブの意味
アサーティブとは
アサーティブとは、率直かつ相手を尊重して自己の主張を伝えることを意味しています。
アサーティブの使い方
アサーティブを使った分かりやすい例としては、「アサーティブコミュニケーションをするにあたって受け身になりすぎないようにする」「自信を持ってアサーティブな言動をしているとはまだ言えない」「先輩のアサーティブな姿勢を見習いたい」などがあります。
その他にも、「アサーティブネスが求められる場面が増えてきたように思う」「アサーティブトレーニングに関する講座が受講者を募集していた」「彼の話し方はアサーティブで好感が持てると多くの人が思っている」などがあります。
アサーティブは英語で「assertive」と表記され、「断言的な」「独断的な」を意味する言葉です。カタカナ語として使われる場合も同じように使いますが、独りよがりな物言いではなく、対等な立場から率直に物を言うことを表す場合に使います。
「アサーティブコミュニケーション」の意味
上記例文の「アサーティブコミュニケーション」とは、お互いがお互いを尊重しながらも、我慢をせずに考えを伝え合うコミュニケーション方法を指す言葉です。上司による一方的な指示だけでなく、部下の意見や相談によってより良好な関係性が生まれます。
自分の意見を言うことがない、もしくは苦手な人は「ノンアサーティブ」というタイプに該当しますが、逆に意見が一方的で攻撃的となってしまう人は「アグレッシブ」というタイプに該当します。
このコミュニケーション法は、「アサーティブ」「ノンアサーティブ」「アグレッシブ」の三つの心理学的分類を理解する必要があると言われ、順に、しずかちゃん、のび太、ジャイアンと「ドラえもん」のキャラクターに例えて説明されることが多くあります。
「アサーティブネス」の意味
また、上記例文の「アサーティブネス」は、お互いを尊重した自己主張を指す言葉であり、アサーションと全く同じ意味を持ち、同じように使われています。
アサーティブの対義語
アサーティブの対義語・反対語としては、進んで物事をしない様子を意味する「消極的」、なかなか自分の意見を変えないことを意味する「強情」があります。
アサーティブの類語
アサーティブの類語・類義語としては、気取ったところがなく隠し事をしない様子を意味する「フランク」、心に思っていることを隠さず伝えることを意味する「吐露」、心を包み隠さずに打ち明けることを意味する「披瀝」などがあります。
アサーションの例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手を尊重しながら行う自己主張や自己表現を意味する時などが挙げられます。
例文1の「アサーショントレーニング」とは、自分の意見を相手を尊重しながら伝えられるようにトレーニングする方法を指す言葉です。
アサーティブの例文
この言葉がよく使われる場面としては、率直かつ相手を尊重して自己の主張を伝えることを意味する時などが挙げられます。
例文1の通り、看護師間で使われることも多い言葉ですが、ビジネスシーンでも多く使われている言葉で、コミュニケーションを必要とする職場では必須となるスキルとも言えるでしょう。
アサーションとアサーティブは、どちらも「自己主張や自己表現」を表します。どちらを使うか迷った場合は、名詞として使う場合は「アサーション」を、形容詞として使う場合は「アサーティブ」を使うと覚えておけば間違いありません。