似た意味を持つ「詠嘆」(読み方:えいたん)と「感嘆」(読み方:かんたん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「詠嘆」と「感嘆」という言葉は、どちらも感動している様子を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
詠嘆と感嘆の違い
詠嘆と感嘆の意味の違い
詠嘆と感嘆の違いを分かりやすく言うと、詠嘆とは深い感動だけでなく感動して声に出すことも表し、感嘆と深い感動のみを表すという違いです。
詠嘆と感嘆の使い方の違い
一つ目の詠嘆を使った分かりやすい例としては、「人生の儚さを詠嘆する俳句を読む」「彼女の美しさを詠嘆の眼差しで見る」「詠嘆的無常観を描いた古典文学です」「名画を観て、見事だなぁと詠嘆する」などがあります。
二つ目の感嘆を使った分かりやすい例としては、「思わず感嘆のため息がこぼれます」「美しいドレス姿に感嘆の声が上がった」「心を揺さぶる歌声に感嘆する」「彼の並々ならぬ努力には感嘆の念を禁じ得ない」などがあります。
詠嘆と感嘆の使い分け方
詠嘆と感嘆という言葉は、どちらも物事に深い感銘を受けて、強く心を動かされるさまを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
二つの言葉には「物事に深く感動すること」という共通する意味がありますが、さらに詠嘆は「感動を声に表すこと」という意味も持っています。「おお」「ああ」などの話し手の感動を表す間投詞は、詠嘆という言葉で表すことができますが、感嘆の場合は「感嘆の声」と表すことになります。
また、詠嘆は主に文章で用いられる書き言葉ですが、感嘆は書き言葉でも話し言葉でも用いられています。これらが、詠嘆と感嘆という言葉の明確な違いになります。
詠嘆と感嘆の英語表記の違い
詠嘆も感嘆も英語にすると「admiration」「exclamation」となり、例えば上記の「詠嘆する」を英語にすると「express one’s admiration」となります。
詠嘆の意味
詠嘆とは
詠嘆とは、物事に深く感動することを意味しています。
その他にも、感動を声に表すことの意味も持っています。
詠嘆の使い方
「すばらしい演奏に詠嘆する」「シェフの腕前に詠嘆する」「書家の筆の使い方や作法に詠嘆する」「俳句の詠嘆表現を英語で説明する」などの文中で使われている詠嘆は、「物事に深く感動すること」の意味で使われています。
一方、「一口食べたら詠嘆せずにはいられない美味しさです」「古文に出てくる詠嘆の意味が理解できません」「古典文学には詠嘆の表現が多い」「英語の詠嘆表現はOh!Wow!などです」などの文中で使われている詠嘆は、「感動を声に表すこと」の意味で使われています。
詠嘆は「詠歎」とも書きますが、常用漢字を用いた「詠嘆」と書かれることが一般的です。
詠嘆という言葉の「詠」は声を長く引いて詩歌をうたうこと、声に出して感動することを表し、「嘆」は感じ入ってため息をつくことを表します。詠嘆とは、強く心を動かされることや深く感動することを意味する言葉です。また、感動を声や言葉に出して表現することも意味します。
「詠嘆法」の意味
詠嘆を用いた日本語には「詠嘆法」があります。深い感動を表現する修辞法のことであり、詠嘆の助詞には、「よ」「か」「かな」「なあ」などがあります。また、「ああ、すばらしい」「お見事」などの一語文も含まれます。
古文における詠嘆表現には、文末に付く「けり」「かな」があります。訳し方は「~だなあ」が一般的であり、「今宵は十五夜なりけり」は「今夜は十五夜であったなあ」となります。また、俳句の詠嘆表現には、「けり」「かな」の他に「や」もあります。
詠嘆の対義語
詠嘆の対義語・反対語としては、むやみに相手をののしることを意味する「漫罵」、口汚くののしることを意味する「悪罵」、面と向かってののしることを意味する「面罵」などがあります。
詠嘆の類語
詠嘆の類語・類義語としては、声を上げて褒めそやすことを意味する「喝采」、感心してほめたたえることを意味する「賞嘆」、すぐれたものとして感じ入ることを意味する「嘆称」、深く感心してほめることを意味する「賛嘆」などがあります。
感嘆の意味
感嘆とは
感嘆とは、感心してほめたたえること、感じ入ることを意味しています。
表現方法は「感嘆のため息」「感嘆の声をもらす」「感嘆させる」
「感嘆のため息」「感嘆の声をもらす」「感嘆させる」などが、感嘆を使った一般的な言い回しです。
感嘆の使い方
感嘆を使った分かりやすい例としては、「幻想的な光景に見物客から感嘆の声が上がった」「タイ語の感嘆詞を教えてもらった」「あなたの文には感嘆符が多いですね」「ビジネスメールに感嘆符は付けないで下さい」などがあります。
その他にも、「ゴッホの名画を観て感嘆の念に打たれる」「ただただ感嘆するばかりでした」「英語の感嘆文が上手く作れません」「多くの観光客が感嘆のため息をもらすスポットです」「職人の技に凄いなあと感嘆する」などがあります。
感嘆の「感」は物事に触れて心が動くことを表し、「嘆」は感じ入ってため息をつくことや褒めることを表します。感嘆とは、感心してほめたたえることや、賞賛することを意味する言葉です。もともとは嘆き悲しむ意味もありましたが、現在この意味で用いられることはありません。
感嘆という言葉はプラスイメージを伴いますが、目上の人に対して使うことは失礼に当たるとされています。感嘆には「褒める」という意味合いがあり、目上の人が目下や同等の人を評価することになるためです。尊敬の念を含んだ「敬服」「感服」と言い換えると良いでしょう。
感嘆の対義語
感嘆の対義語・反対語としては、激しい言葉でののしることを意味する「罵倒」、痛烈に非難することを意味する「痛罵」、あざけりののしることを意味する「嘲罵」などがあります。
感嘆の類語
感嘆の類語・類義語としては、感心してほめたたえることを意味する「称嘆」、つくづく感心して褒めたたえることを意味する「嘆賞」、感心してほめることを意味する「嘆美」、大いに感嘆することや心から感心することを意味する「三嘆」などがあります。
詠嘆の例文
この言葉がよく使われる場面としては、 物事に深く感動すること、感動を声に表すことを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4の文中にある詠嘆は、物事に深く感動することの意味で用いられています。例文5にある詠嘆は、感動を声に表すことの意味で用いられています。
感嘆の例文
この言葉がよく使われる場面としては、感心して褒めるさまを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「感嘆詞」とは、感嘆のあまり発する言葉を意味します。英語の感嘆詞には「Yeah」「Wow」「Oh」などがあります。例文5の「感嘆符」とは、「!」と書き表す符号のことで、感動や驚き、強調などの感情を表します。エクスクラメーションマークとも言います。
詠嘆と感嘆という言葉は、どちらも深く感動することを表します。さらに詠嘆には、「感動して声を発すること」の意味もあることを覚えておきましょう。