似た意味を持つ「詰問」(読み方:きつもん)と「尋問」(読み方:じんもん)と「質問」(読み方:しつもん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「詰問」と「尋問」と「質問」という言葉は、問いただすことという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
詰問と尋問と質問の違い
詰問と尋問と質問の意味の違い
詰問と尋問と質問の違いを分かりやすく言うと、詰問は厳しく責めて問いただす時に使い、尋問は質問に強制的に答えさせる時に使い、質問は不明点などを聞く時に使うという違いです。
詰問と尋問と質問の使い方の違い
詰問という言葉は、「無断欠席をした理由を生徒に詰問したが口を開かない」「異性と一緒に歩いているだけで詰問してくるのはどうかと思う」などの使い方で、厳しく責め立てて問いただすことを意味します。
尋問という言葉は、「刑事裁判において誘導尋問は禁止されている」「そろそろ証人尋問の時間になる」などの使い方で、口頭で質問をして強制的に返答させて問いただすことを意味します。
質問という言葉は、「授業の中でわからなかったことを先生に質問する」「質問を紙に忘れないようにまとめておく」などの使い方で、不明点や疑問点を問いただすことを意味します。
詰問と尋問と質問の使い分け方
尋問とは、裁判において証人などに対して裁判所や当事者が質問をして、それに強制的に答えてもらうことを指します。そのため、日常生活や従来のビジネスシーンで使われるより警察官や裁判官といった人々が多く使う言葉です。
詰問は事実などを強く問いただす時に使いますが、尋問は質問に答えてもらうことを重視しているため、意味が若干違います。
また、質問は単なる疑問点や不明点を明らかにするために尋ねるといった、圧力の強くない行為であるため、詰問や尋問とは大きく違います。これらが、詰問、尋問、質問の明確な違いです。
詰問の意味
詰問とは
詰問とは、相手を責めて厳しく問いただすことを意味しています。
詰問の読み方
詰問という言葉は「きつもん」という読み方をしますが、「しもん」という読み方をする「諮問」と混同している人が多くいます。
表現方法は「詰問する」「詰問される」
「詰問する」「詰問される」などが、詰問を使った一般的な言い回しです。
詰問の使い方
詰問を使った分かりやすい例としては、「いつも詰問する上司が異動して職場が天国になった」「詰問されると頭が真っ白になって何も言えなくなる」などがあります。
「詰問口調」の意味
詰問を使った言葉として、「詰問口調」があります。これは、相手を責めるような言い方で話すことを意味する言葉で、近年この話し方が周囲からはあまり分からないパワハラ、いわゆる隠れパワハラとして問題となっています。
例えば、丁寧な言葉であっても長時間詰問したり、発言の一つ一つを否定したり、自分の仕事のやり方を押し付けてくるようなことは、周囲も気付かないパワハラだと言われています。
詰問の類語
詰問の類語・類義語としては、どこまでも追い詰めて責任や欠点などを問いただすことを意味する「追及」、手厳しく非難することを意味する「難詰」、人の失敗や罪などを厳しく問い詰めることを意味する「詰責」(読み方:きっせき)などがあります。
尋問の意味
尋問とは
尋問とは、問いただすことを意味しています。
表現方法は「尋問を受ける」「尋問する」「尋問を行う」
「尋問を受ける」「尋問する」「尋問を行う」などが、尋問を使った一般的な言い回しです。
尋問の使い方
尋問を使った分かりやすい例としては、「明日の法廷で尋問を受けることになっている」「今回の不祥事を起こした社員を尋問する必要がある」などがあります。
尋問を使った言葉として、「人定尋問」「誘導尋問」があります。
「人定尋問」の意味
一つ目の「人定尋問」とは、裁判長によって証人に対して行われる尋問で、人違いではないかを確認します。具体的には、名前、生年月日、職業、住所や本籍などの確認を行い、仮に嘘を吐いた場合は罪に問われることも事前に警告します。
「誘導尋問」の意味
二つ目の「誘導尋問」とは、尋問者が行った質問に対して、尋問者が希望するような内容の答えを暗示して、その答えになるように供述させる尋問を指す言葉です。刑事訴訟においては原則として禁止されている行為です。
尋問の類語
尋問の類語・類義語としては、調べて問いただすことを意味する「査問」、事情などを詳しく問いただすことを意味する「審問」、裁判所が書面や」口頭で詳しく問いただすことを意味する「審尋」、罪を問いただすことを意味する「鞠問」などがあります。
質問の意味
質問とは
質問とは、わからないところなどについて問いただすことを意味しています。
表現方法は「質問する」「質問を投げる」「質問を受ける」
「質問する」「質問を投げる」「質問を受ける」などが、質問を使った一般的な言い回しです。
質問の使い方
質問を使った分かりやすい例としては、「分からないところがあったので上司に質問する」「メールで質問を投げると返信まで時間がかかる」「部下からの質問を受けやすい環境づくりを意識している」などがあります。
質問を使った言葉として、「職務質問」「質問紙法」があります。
「職務質問」の意味
一つ目の「職務質問」とは、警察官が挙動の不審な者や他人の犯罪事実を知っていると感じた場合、その人を呼び止めて質問をすることを指す言葉です。省略して職質とも言います。
「質問紙法」の意味
二つ目の「質問紙法」とは、調査事項をあらかじめ紙に質問項目として用意し、回答者に該当するか否かなどを回答することで性格的な特徴を把握しようとする検査をいう言葉です。
この方法は、複数人に対して同時に実施することができ、検査を行う人の熟練度が必要なものではないというメリットがありますが、自分をよく見せようとした回答をしたり、質問項目が理解できなければ正確に回答できないなどのデメリットがあります。
質問の対義語
質問の対義語・反対語としては、質問に答えて説明することを意味する「答弁」、質問や要求などに答えることを意味する「回答」、問題を解いて答えを出すことを意味する「解答」があります。
質問の類語
質問の類語・類義語としては、疑問の点を問いただすことを意味する「質疑」、質問を出すことを意味する「発問」、問題を作って出すことを意味する「設問」、有識者または一定期間に意見を求めることを意味する「諮問」(読み方:しもん)などがあります。
詰問の例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手を厳しく責め立てて問いただすことを意味する時などが挙げられます。
例文2と例文3は尋問という言葉に置き換えて使うことができますが、例文1は相手に強制的に質問に答えさせることが一時間ほどできていないことから、置き換えて使うことはできません。
尋問の例文
この言葉がよく使われる場面としては、投げかけた質問に対して答えることを強制させることを意味する時などが挙げられます。
例文3のように、比喩表現であれば日常生活でも使われる言葉ですが、基本的には例文1や例文2のように裁判での出来事を指します。
そのため、質問という言葉を使う時よりも厳かな雰囲気であることから、質問という言葉に置き換えることはできません。また、例文1や例文2は裁判の話であることから、詰問に置き換えて使うことはできません。
質問の例文
この言葉がよく使われる場面としては、不明点や疑問点の内容を意味する時などが挙げられます。
どの質問も相手に対して強い圧を掛けて何かを聞き出そうとしているわけではないため、詰問や尋問に置き換えて使うことはできません。
詰問と尋問と質問どれを使うか迷った場合は、厳しく問いただすことを表す場合は「詰問」を、質問に強制的に答えさせることを表す場合は「尋問」を、疑問点を問いただすことを表す場合は「質問」を使うと覚えておけば間違いありません。