似た意味を持つ「性質」(読み方:せいしつ)と「性格」(読み方:せいかく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「性質」と「性格」という言葉は、どちらも「人柄や気質」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
性質と性格の違い
性質と性格の意味の違い
性質と性格の違いを分かりやすく言うと、性質とは生まれもった気質を表し、性格とはその人に特有な傾向を表すという違いです。
性質と性格の使い方の違い
一つ目の性質を使った分かりやすい例としては、「争いごとを好まない穏やかな性質の持ち主です」「彼は淡白な性質であっさりした人柄です」「アルコールの性質を調べる実験をします」「電磁石と永久磁石の性質を比較する」などがあります。
二つ目の性格を使った分かりやすい例としては、「妹は素直な性格で両親から可愛がられている」「性格タイプ診断によると私は八方美人だそうです」「動物は種類によって性格が異なります」「大学は研究機関としての性格を持つ」などがあります。
性質と性格の使い分け方
性質と性格という言葉は、どちらも人柄や気質を表し、ほぼ同じ意味で使用されていますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
性質とは、生まれた時からもっている気質を意味します。生まれつきその人に備わったものを指す言葉であり、先天的な気質を表します。また、「アルコールの性質」のような使い方で、人以外の事物に対して、その事物がもともと持っている特性の意味で使用されています。
性格とは、考え方や行動の仕方に現れる、その人に固有の感情や意志の傾向を意味します。前述した「性質」は先天的な気質の意味合いが強いことに対し、性格は、育った環境など後天的な要素によって作られた感情や意志の傾向という意味合いがあります。
性質と性格の英語表記の違い
性質を英語にすると「nature」「disposition」「temperament」となり、例えば上記の「穏かな性質」を英語にすると「a gentle disposition」となります。
一方、性格を英語にすると「character」「personality」となり、例えば上記の「素直な性格」を英語にすると「a straightforward character」となります。
性質の意味
性質とは
性質とは、もって生まれた気質、人となり、たちを意味しています。
その他にも、「その事物に本来そなわっている特徴」の意味も持っています。
性質の読み方
性質の読み方は「せいしつ」です。性質にルビをふって「たち」と読ませることがありますが、「たち」は正しい読み方ではありません。ただし、「質」は一文字で「たち」と読みます。
表現方法は「性質が悪い」「性質を持つ」「性質を併せ持つ」
「性質が悪い」「性質を持つ」「性質を併せ持つ」などが、性質を使った一般的な言い回しです。
性質の使い方
「怒りっぽい性質の人は苦手です」「あのなまけ癖は病気ではなく性質だろう」「女性は性質的に直観力が強いようだ」「飼い犬の性質や個体差をふまえて世話をする」文中で使われている性質は、「もって生まれた気質」の意味で使われています。
一方、「アルミニウムは熱しやすく冷めやすい性質がある」「業務の性質上、年度末が忙しくなります」「直射日光の影響で性質変化することがあります」「英語の名詞は性質によって5種類に分類できます」などの文中で使われている性質は、「本来そなわっている特徴」の意味で使われています。
性質とは、上記の例文にあるように二つの意味があります。一つは、「もって生まれた気質」意味で、人や動物の気質をします。もう一つは、本来そなわっている特徴の意味で、生き物以外の物体や事柄に対して使用されています。
性質という言葉は、もともと持っている特色を表します。人の気質を指す場合は、先天的にその人に備わったものを表し、後天的な周囲や環境の影響を受けていない要素を意味します。また、物事については、そのものが本来持っている特徴を表現する言葉です。
性質の対義語
性質の対義語・反対語としては、からだの性質を意味する「体質」などがあります。
性質の類語
性質の類語・類義語としては、傾向などを決めることになる性質を意味する「質」、生まれつきもってい性質を意味する「素質」、生まれつきの性質や才能を意味する「資質」、天から授けられた性質を意味する「天性」などがあります。
性格の意味
性格とは
性格とは、行動の仕方に現れる、その人に固有の感情や意志の傾向を意味しています。
その他にも、「特定の事物に際立ってみられる傾向」の意味も持っています。
表現方法は「性格が悪い人」「性格が合わない」「性格を直す」
「性格が悪い人」「性格が合わない」「性格を直す」などが、性格を使った一般的な言い回しです。
性格の使い方
「無料の性格診断テストをやってみた」「履歴書の性格欄の書き方を教えてください」「就活でアピールできる性格一覧をネットで探す」「性格診断であなたの恋愛タイプがわかります」などの文中で使われている性格は、「その人に固有の感情や意志の傾向」の意味で使われています。
一方、「三つの問題は、それぞれ性格が異なります」「公務員制度の基本的性格を論じる」「償還優先株式は債券と同様の性格を持つ」などの文中で使われている性格は、「際立ってみられる傾向」の意味で使われています。
性格とは、主に人や犬猫などの高等動物に対して使用される言葉です。その人固有の性質であり、感じ方や行動の仕方などに現われる、その人特有の性向を意味します。性格を表す言葉には、明るい・暗い・優しい・真面目・いい加減・好奇心旺盛・優柔不断など多数あります。
また、性格という言葉は、人以外の事物に対して使われる場合もあります。「性格が異なる課題」「性格が異なる団体」のような使い方で、事物に備わった固有の性質を意味します。
「社会的性格」の意味
性格を用いた日本語には「社会的性格」があります。社会的性格とは、特定の集団や文化に属する人々が、共通にもっている性格上の中心的諸特徴を意味します。国民性や男らしさなどを指す言葉です。
性格の類語
性格の類語・類義語としては、心理学で個人に独自の行動傾向をあらわす統一的全体を意味する「人格」、個人または個体に備わった特有の性質を意味する「個性」、その人の持ち味や人格を意味する「キャラクター」、その人の持ち味や人柄を意味する「パーソナリティー」などがあります。
性質の例文
この言葉がよく使われる場面としては、持って生まれた気質、その事物にそなわった特徴を表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2の性質は、「持って生まれた気質」の意味で使用されています。例文3から例文5の性質は、「事物にそなわった特徴」の意味で用いられています。
性格の例文
この言葉がよく使われる場面としては、先天的な気質と後天的な影響とによる人の感情などの傾向、そのもの特有の傾向や性質を表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある性格は、人の感情や行動などの傾向の意味で用いられています。例文5の性格は、そのもの特有の傾向の意味で使用されています。
性質と性格という言葉は、どちらも「人柄や気質」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、生まれもった気質を表現したい時は「性質」を、その人に特有な傾向を表現したい時は「性格」を使うようにしましょう。