同じ「ことごとく」という読み方の「悉く」と「尽く」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「悉く」と「尽く」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
「悉く」と「尽く」の違い
「悉く」と「尽く」の意味の違い
「悉く」と「尽く」の違いを分かりやすく言うと、どちらも問題にしているもの全部のことを意味しており、違いはありません。
「悉く」と「尽く」の使い方の違い
一つ目の「悉く」を使った分かりやすい例としては、「見るのも聞くのも悉く珍しいです」「財産を悉く投げ打ちました」「私は友達から借りた映画を悉く観ました」「私の意見は悉く却下されました」「彼らの案は悉く却下されました」などがあります。
二つ目の「尽く」を使った分かりやすい例としては、「お年玉を尽く使いか果たしてしまいました」「この占い師は尽く予言を外すのでみんな信用していません」「私の希望は尽く却下されて悲しい」などがあります。
「悉く」と「尽く」の使い分け方
「悉く」と「尽く」は同音で全く同じ意味を持つ言葉です。そのため、どう使い分けるんだろうと疑問に思う方もいると思いますが、結論から言ってしまうと、どちらを使っても問題ありません。したがって、「悉く」と「尽く」は好きな方を使って問題ないと覚えておきましょう。
また、「悉く」の「悉」は常用漢字外、「尽く」を「ことごとく」と読むのは表外音訓なため、公的な文章などでは、ひらがなの「ことごとく」を使うのが良いでしょう。
常用漢字とは、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安として、内閣告示の常用漢字表で示された日本語の漢字のことです。現行の常用漢字表は、2010年11月30日に平成22年内閣告示第2号として告示され、2136字で成り立っています。
表外音訓とは、常用漢字表に載っている漢字なのですが、漢字表にはその読みがないことを意味しています。
「悉く」と「尽く」の英語表記の違い
「悉く」も「尽く」も英語にすると「all」「everything」となり、例えば上記の「彼らの案は悉く却下されました」を英語にすると「All their proposals were rejected」となります。
「悉く」の意味
「悉く」とは
「悉く」とは、問題にしているもの全部のことを意味しています。その他にも、残らず、全て、みなという意味も持っています。
「悉く」の使い方
「悉く」を使った分かりやすい例としては、「オリンピックの影響でイベントが悉く延期になりました」「母は私の意見に悉く反対します」「新しい実験を行うも悉く失敗していました」「彼はビジネスで悉く成功している」などがあります。
「悉く」は残すところなく全部に及ぶことや極めることを意味する「悉」(読み方:しつ)に接尾語の「く」が付いた言葉です。
ではなぜ「ことごとく」という読み方になったのかと言うと、「悉」という漢字は獣の爪と心臓を表すの象形文字を組み合わせた会意文字になります。獣が爪で他の獣の心臓を残さずえぐり取る様子を表した感じで、残らず全部や全て取るという意味で使われていました。
そのため、物事の全てを意味する「事事」(読み方:ことごと)と同じ意味を持っていたので、「ことごとく」という表現に「悉」という漢字を使ったと言われています。
「悉く」の類語
「悉く」の類語・類義語としては、隅々まで行き届いて余すところのないことを意味する「隈なく」、余すところがないことを意味する「残らず」、ある物やある事の全部のことを意味する「全て」などがあります。
「尽く」の意味
「尽く」とは
「尽く」とは、問題にしているもの全部のことを意味しています。その他にも、残らず、全て、みなという意味も持っています。
「尽く」の使い方
「尽く」を使った分かりやすい例としては、「彼女はこれまで依頼した仕事を尽く成功させています」「悪い予想が尽く当たらず一安心です」「稼いだお金を尽く使ってしまいました」「AKB48の曲は尽く知っています」などがあります。
「尽く」は全部出し切ることを意味する「尽」に接尾語の「く」が合わさった言葉です。また、全てのの物事を表現できるので、 日常生活からビジネスシーンまで幅広く広く使用することが可能にになっています。
「尽く」という漢字は「つく」「づく」と読むことができますが、「ことごとく」とは意味が少し違うので十分に注意するようにしましょう。「尽く」(読み方:つく)は果てるや消えてなくなるという意味で使う言葉です。
「尽く」の類語
「尽く」の類語・類義語としては、残したり隠したりせず全てを出すことを意味する「洗いざらい」、残らず全てのことを意味する「余すところなく」、残らずのことを意味する「漏れなく」などがあります。
「悉く」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、問題にしているもの全部のことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、残らず、全て、みなのことを表現したい時にも使います。
上記の例文のように、「悉く」はプラスとマイナスのイメージどちらでも使うことができますが、どちらかと言うとマイナスのイメージで使われることが多いです。
「尽く」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、問題にしているもの全部のことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、残らず、全て、みなのことを表現したい時にも使います。
上記の例文のように、「尽く」はプラスとマイナスのイメージどちらでも使うことができますが、どちらかと言うとマイナスのイメージで使われることが多いです。
「悉く」と「尽く」はどちらも問題にしているもの全部のことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、使っている漢字が違いますが意味は全く同じ言葉なので、好きな方を使って問題ないと覚えておきましょう。