似た意味を持つ「可視化」(読み方:かしか)と「視覚化」(読み方:しかくか)と「見える化」(読み方:みえるか)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「可視化」と「視覚化」と「見える化」という言葉は、見えないものを見えるようにすることという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「可視化」と「視覚化」と「見える化」の違い
「可視化」と「視覚化」と「見える化」の意味の違い
「可視化」と「視覚化」と「見える化」の違いを分かりやすく言うと、「可視化」は見えない事物を分かりやすくする時に使い、「視覚化」は見えるようにする時に使い、「見える化」は目に入るようにする時に使うという違いです。
「可視化」と「視覚化」と「見える化」の使い方の違い
「可視化」という言葉は、「データを可視化するメリットを周知する」「天気予報を可視化することで子どもでも分かりやすくなる」などの使い方で、人の目には見えない事物などを映像やグラフなどにして分かりやすくすることを意味します。
「視覚化」という言葉は、「自分の状態を視覚化することは客観的に自分を見つめることができる」「記憶したものを視覚化する行為は脳の活性化につながる」などの使い方で、目に見えない抽象的な物事を見て分かるような形にすることを意味します。
「見える化」という言葉は、「最近の『見える化』によって顧客の満足度も高い」「『見える化』による早期解決によって今後に生かしやすい」などの使い方で、情報や物事の全体を誰にでも分かるようにすることを意味します。
「可視化」と「視覚化」と「見える化」の使い分け方
「可視化」と「視覚化」は、どちらも見えないものを見えるようにすることを意味する言葉ですが、前者は目に見えないものを分かりやすくする時に使い、後者は目で見てわかるようにする時に使います。
一方の「見える化」とは、可視化や視覚化と同じように、見えるようにすることを意味しますが、その人の意思とは関係なしに目に入る状態にすることを意味します。
そのため、より認識しやすい状態を表す順に並べると、「見える化」>「可視化」>「視覚化」となります。
これが、「可視化」、「視覚化」、「見える化」の明確な違いです。
「可視化」の意味
「可視化」とは
「可視化」とは、人の目には見えない事物などを映像やグラフなどにして分かりやすくすることを意味しています。
人間が直接目にすることができない現象や関係性などにも使うことができ、ドラマなどの物語における登場人物の関係図は「可視化されたもの」にあたります。
その他にも、グラフ、地図やフローチャートなどによる可視化の方法が多く使われています。
また、警察官や検察官が被疑者に対して取り調べを行う際に、録音や録画をし、当事者以外の関係者にもその内容を分かるようにすることも意味します。2016年に改正法が成立したことで、裁判員裁判が行われる事件などを対象に導入されています。
表現方法は「業務の可視化」「データの可視化」「活動の可視化」
「可視化」を使った表現として、「業務の可視化」「データの可視化」「活動の可視化」「可視化技術を利用する」などがあります。基本的にはビジネスシーンで多く使われ、日常会話の中で使われることはあまりありません。
「可視化」の英語表記
「可視化」を英語にすると「visualization」や「visualize」となり、日本でもこのままビジュアリゼーション、ビジュアライゼーションと言われることもあります。
「視覚化」の意味
「視覚化」とは
「視覚化」とは、目に見えない抽象的な物事を見て分かるような形にすることを意味しています。
「視覚」は、物を見て形を見分ける能力である視力と若干異なり、物を見たうえで理解することを指します。そのため、視覚化は認識し理解ができるような状態にすることを意味します。
「視覚化能力」の意味
「視覚化」を使った言葉に、「視覚化能力」があります。これは、物を移動させたり、再構成したりした後、それがどんな様子になるのかと想像する能力を指す言葉です。
一般的には「イメージトレーニング」や、その略称の「イメトレ」と呼ばれており、実際に何か行動に移す前に誰しもが脳内で繰り広げるものです。
表現方法は「思考の視覚化」「情報の視覚化」「データの視覚化」
「視覚化」を使った表現として、「思考の視覚化」「情報の視覚化」「データの視覚化」などがあります。日常的な会話において使われることはあまりないものの、子どものおもちゃには育まれる能力などの説明に記載されている場合もあります。
「見える化」の意味
「見える化」とは
「見える化」とは、情報や物事の全体を誰にでも分かるようにすることを意味しています。
表現方法は「見える化を図る」「見える化する」「見える化という言葉が気持ち悪い」
「見える化を図る」「見える化する」「見える化という言葉が気持ち悪い」などが、「見える化」を使った一般的な言い回しです。
「見える化」の由来はトヨタ自動車
この表現は、トヨタ自動車の業務において改善活動の観点で初めて登場した言葉です。同企業では、生産において工程に異常が出た場合や品質のチェックを必要とする場合、処置を行っている最中であるという状態を示すランプが設けられるようになりました。
また、1998年に発行された『プラントエンジニア』に掲載された論文にも、「見える化」によって課題を共有できたと、この表現が使われています。
そこから、「見える化」は、製造や営業、経営などの現場における問題を早期発見、解決や予防できるように、作業についての情報を表現して共有させることを意味するようになりました。
現在では、製造分野だけではなく医療分野などでも使われている言葉で、問題や課題といった実態を具体化し、客観的に認識されるようにするために利用されています。
「可視化」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人の目には見えない事物などを映像やグラフなどにして分かりやすくすることを意味する時などが挙げられます。
どの例文の「可視化」という言葉も、「視覚化」に置き換えて使うことができますが、分かりやすさがあまり無い表現に変わります。
「視覚化」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、目に見えない抽象的な物事を見て分かるような形にすることを意味する時などが挙げられます。
どの例文の「視覚化」という言葉も、「可視化」に置き換えて使うことができますが、ニュアンスが若干変わります。
また、例文2の視覚化は問題解決に関して使われているため、「見える化」という言葉に置き換えて使うことができます。
「見える化」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、情報や物事の全体を誰にでも分かるようにすることを意味する時などが挙げられます。
どの例文の「見える化」という言葉も、「可視化」や「視覚化」に置き換えて使うことができます。
「可視化」と「視覚化」と「見える化」どれを使うか迷った場合は、分かりやすくすることを表す時は「可視化」を、見えるようにすることを表す時は「視覚化」を、目に入るようにすることを表す時は「見える化」を使うと覚えておけば間違いありません。