似た意味を持つ「本来」(読み方:ほんらい)と「本当」(読み方:ほんとう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「本来」と「本当」という言葉は、どちらも「物事の道理」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
本来と本当の違い
本来と本当の意味の違い
本来と本当の違いを分かりやすく言うと、本来とはもともとの道理を表し、本当とはうそ偽りでないことを表すという違いです。
本来と本当の使い方の違い
一つ目の本来を使った分かりやすい例としては、「本来なら私がやるべき仕事でした」「本来の職務を全うしてください」「本来ならば直接ご報告すべきところですが」「本来なら説明するところですが割愛させていただきます」などがあります。
二つ目の本当を使った分かりやすい例としては、「彼の言い訳が本当でないことがわかった」「本当に効果のある美顔器を教えます」「本当に美味しいクッキー缶はどれだろう」「彼女は本当にお金がないのだろうか」などがあります。
本来と本当の使い分け方
本来と本当という言葉は、どちらも元来の状態や物事の道理を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
本来とは、「本来の職務」のような使い方で、もともとそうであることを意味します。仏教語の「本来空」は、一切のものはもともと仮の存在であることです。また、本来という言葉は、「本来ならば直接ご報告すきところですが」のような使い方で、あるべき姿や状態を意味します。
本当とは、うそ偽りでないことを意味し、上記例文の「言い訳が本当でないこと」は、言い訳は事実ではないう嘘であることを表現しています。また、「本当に」の形で、程度がはなはだしいこと、心から思っている気持ちを表す言葉です。
つまり、本来とはもともとの道理を意味することに対し、本当は偽りではない真実を意味します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。
本来と本当の英語表記の違い
本来を英語にすると「originally」「primarily」「ordinary」となり、例えば上記の「本来なら」を英語にすると「under ordinary circumstances」となります。
一方、本当を英語にすると「truth」「fact」「real」となり、例えば上記の「本当でないことがわかる」を英語にすると「turn out not to be true」となります。
本来の意味
本来とは
本来とは、もともとそうであること、元来を意味しています。
その他にも、「それが当たり前であること、道理であること」の意味も持っています。
表現方法は「本来であれば」「本来なら」
「本来であれば」「本来なら」などが、本来を使った一般的な言い回しです。
本来の使い方
「本来やるべきことを見極める」「英語本来の役割を意識してください」「本来的な生き方を追及する」「中国語を発音する時は子音本来の口のかたちを作りましょう」などの文中で使われている本来は、「もともとそうであること」の意味で使われています。
一方、「本来であれば直接ご挨拶に伺うべきところ」「本来ならば会ってお詫びすべきでした」「本来なら英語の補習を受けるべきレベルです」などの文中で使われている本来は、「それが当たり前であること」の意味で使われています。
本来とは、上記の例文にあるように二つの意味があり、それぞれの意味で用いられているので文脈により意味をとらえる必要があります。本来の「本」は物事のおおもとや起こりを表し、「来」は過去のある時点から今までを表す漢字です。
「本来無一物」の意味
本来を用いた日本語には「本来無一物」(読み方:ほんらいむいちぶつ)があります。本来無一物とは、仏教用語で、存在する物は本来すべて空であるから、執着すべきものは何一つないということを意味します。一切のものから自由自在になった心境を表す禅宗の言葉です。
本来の対義語
本来の対義語・反対語としては、物事のあるがままの状態を意味する「実際」、いま目の前に事実として現れている事柄や状態を意味する「現実」などがあります。
本来の類語
本来の類語・類義語としては、初めからや以前からを意味する「もとより」、もとからや初めからを意味する「根っから」、もとはと言えばを意味する「大体」、最初や発端を意味する「そもそも」などがあります。
本当の意味
本当とは
本当とは、偽りや見せかけでなく、実際にそうであることを意味しています。
その他にも、「本物であること、正しい姿であること、ほんと」「本来の筋道であること、もともとの状態であること」「はなはだしいこと、心からそう思ったり感じたりしている気持ち」の意味も持っています。
本当の読み方
本当の読み方は「ほんとう」「ほんと」の二通りありますが、正しい読み方は「ほんとう」です。
本当の使い方
「本当はね英語が得意なんです」「本当にあった怖い話をランキング形式で紹介します」の文中で使われている本当は「実際にそうであること」の意味で、「本当の友達とは喧嘩もします」「本当に効く縁結び神社に行きたい」の文中で使われている本当は「本物であること」の意味で使われています。
一方、「私は本当なら女優になるはずだった」「寝起きで感覚がまだ本当でない」などの文中で使われている本当は「もともとの状態」の意味で、「本当に悔しいです」「本当にごめんね」などの文中で使われている本当は「はなはだしいこと」の意味で使われています。
本当とは、上記の例文にあるように複数の意味があり、それぞれの意味で用いられているので文脈により意味をとらえる必要があります。本当の「本」は正しいことや真実を表し、「当」は道理にかなうことや当たり前であることを表します。
本当の注意すべき表現
「本当」を用いた注意すべき表現には「本当ですか」があります。「本当ですか」は敬語表現ではありますが、相手の発言に対する真偽を尋ねる意味を持ちます。そのため、目上の人や取引先の相手には使用すると失礼に当たることがあります。口癖のように「本当ですか」と言う人は気をつけましょう。
本当の対義語
本当の対義語・反対語としては、事実でないことや誤りを意味する「嘘」、いつわることや事実でないことを意味する「偽り」などがあります。
本当の類語
本当の類語・類義語としては、うそ偽りのないことを意味する「真実」、本物であることを意味する「正真正銘」、実際のものや現物を意味する「実物」、正当な方式を意味する「正式」、本来の筋道を意味する「本途」、身にしみて強く感じるさまを意味する「切」などがあります。
本来の例文
この言葉がよく使われる場面としては、はじめからその状態であること、物事の由来や道理から言ってそうあるはずのこと、当たり前を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、本来の慣用的な言い回し、慣用的な表現には「本来の」「本来ならば」「本来であれば」などがあります。「本来であれば」とは、本当はこうあるべきであったことを意味し、多くはそれが叶わなかった場合に使用される言い回しです。
本当の例文
この言葉がよく使われる場面としては、偽りでなく事実や真実であること、もともとの筋道であること、程度がはなはだしいこと、心底を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「本当」は、程度がはなはだしいことを意味し、心の底から学びたいことを表しています。
本来と本当という言葉は、どちらも「物事の道理」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、もともとの道理を表現したい時は「本来」を、うそ偽りではないことを表現したい時は「本当」を使うようにしましょう。