似た意味を持つ「刷新」(読み方:さっしん)と「一新」(読み方:いっしん)と「更新」(読み方:こうしん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「刷新」と「一新」と「更新」という言葉は、物事を改めることという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
刷新と一新と更新の違い
刷新と一新と更新の意味の違い
刷新と一新と更新の違いを分かりやすく言うと、刷新は不都合があって新しくする時に使い、一新は不都合なしに新しくする時に使い、更新は今まであったものを変える時に使うという違いです。
刷新と一新と更新の使い分け方
刷新という言葉は、悪い点を取り除いて全く新しくすることを意味します。そのため、「業務の刷新」「デザインの刷新」などのように使うことで、業務上に何らかの不都合があったり、デザインにおいて好ましくない点があることを表します。
一新という言葉は、刷新と同じように新しくすることを意味する言葉ですが、不都合な点がない場合に使います。そのため「デザインを一新」という使い方をすることで、前のデザインも特に問題はないものの新しくするということを表します。
また、更新という言葉は、それまであったものを改めることを意味します。そのため、「ウェブサイトの更新」「自身の記録を更新」などのように使うことで、全てが新しいものに取り替わったわけではなく、塗り替えられたり付け加えられることを表します。
これらが刷新、一新、更新の明確な違いです。
刷新の意味
刷新とは
刷新とは、弊害を除き去って全く新しいものにすることを意味しています。
刷新の読み方
刷新は「さっしん」という読み方をします。「さつしん」という発音はしません。
表現方法は「刷新を図る」「刷新する」「刷新される」
「刷新を図る」「刷新する」「刷新される」「刷新した」などが、刷新を使った一般的な言い回しです。
刷新の使い方
刷新を使った分かりやすい例としては、「古くなったITシステムの刷新を図る」「これを機に社内のコンプライアンスへの意識を刷新する」「ライバル会社のパンフレットが大きく刷新されていて驚いた」「現在の選挙制度を刷新しなければ若者が投票に来てくれない」などがあります。
「刷新運動」とは
刷新を使った言葉として「刷新運動」があります。16世紀のヨーロッパで起きたカトリック教会内の改革刷新運動を指す言葉です。
当時のローマ教皇レオ10世がサン・ピエトロ大聖堂の改築工事の資金集めのために、罪を軽くする贖宥状を販売し始めたことをきっかけに始まった運動です。
中心となったのは10世紀のフランスに設立されたクリュニー修道院というキリスト教の修道生活を共同で送る人々の住居の人々です。多くの修道院がクリュニー修道院の支配下にはいり、教会粛清を進める運動の中心となりました。
もとより14世紀から聖職者の堕落は指摘されており、金儲けをする司教や世俗につかった司祭たちの問題など様々な問題があったことから、「修道院運動」や「対抗宗教改革」などの名称で長い期間を指すのが一般的です。
刷新の対義語
刷新の対義語・反対語としては、性能や品質などが低下して以前より劣ってくることを意味する「劣化」、前人のやり方などをそのまま受け継ぐことを意味する「踏襲」があります。
刷新の類語
刷新の類語・類義語としては、内容を変えて違ったものにすることを意味する「改変」、旧来の制度などを改めて新しくすることを意味する「革新」、すでにある物を加工してその形や内容などを変えることを意味する「変造」などがあります。
刷新の刷の字を使った別の言葉としては、原稿をインクなどをつけて文字などを他の紙や布に刷り移すことを意味する「印刷」、版の大きさをはじめのものより小さく縮めて印刷することを意味する「縮刷」、追加して印刷することを意味する「増刷」などがあります。
一新の意味
一新とは
一新とは、すっかり新しくすることや新しくなることを意味しています。
表現方法は「一新する」「一新される」「一新した」
「一新する」「一新される」「一新した」などが、一新を使った一般的な言い回しです。
一新の使い方
一新を使った分かりやすい例としては、「何をしてもダメな時は気分を一新する必要がある」「クレジットカードのデザインが一新された」「これまでのシリーズと比べると機能が一新されたスマホが登場した」などがあります。
一新を使った言葉として、「人心一新」「面目一新」があります。
四字熟語「人心一新」の意味
一つ目の「人心一新」(読み方:じんしんいっしん)とは、人々の心、気分、態度を全く新しくすることを意味する四字熟語で、民衆が新しい気持ちになるような政策や改革を行うことを意味する言葉です。
四字熟語「面目一新」の意味
二つ目の「面目一新」(読み方:めんもくいっしん)とは、世間の評判が一新して、それまでとは違う高い評価を得ることを意味する四字熟語です。外見や内容が全く新しく変わることも意味します。
一新の対義語
一新の対義語・反対語としては、古くなって役に立たないことや年老いて役に立たないことを意味する「老朽」があります。
一新の類語
一新の類語・類義語としては、悪いところを改めて良くすることを意味する「改善」、物事を改めて新しくすることを意味する「改新」、変えて改めてみることを意味する「変改」、欠点や悪習などを正常な状態に直すことを意味する「矯正」などがあります。
一新の一の字を使った別の言葉としては、広く全体に共通して認められ行き渡ることを意味する「一般」、一つにまとめることを意味する「統一」、質や量などがどれも同じであることを意味する「均一」、全部同じ様子であることを意味する「一様」などがあります。
更新の意味
更新とは
更新とは、新しく改めることや改まることを意味しています。その他にも、契約期間が満了した際に、その契約をさらに継続させることも意味します。
更新の読み方
更新は「こうしん」と読みます。更という字は訓読みで「さら」と読みますが、「さらしん」とは読みません。
表現方法は「更新する」「更新しない」「更新が終わらない」
「更新する」「更新しない」「更新が終わらない」「更新に失敗した」「更新できない」などが、更新を使った一般的な言い回しです。
更新の使い方
更新を使った分かりやすい例としては、「更新期限が近づいてきたので免許の更新に行くことにした」「いつまでたってもパソコンのアップデート更新が終わらない」「更新に失敗したというエラーメッセージが表示されている」などがあります。
更新を使った言葉として「萌芽更新」「天然更新」があります。
「萌芽更新」の意味
一つ目の「萌芽更新」(読み方:ほうがこうしん)とは、樹林を人為的に更新する方法の一つです。樹木を伐採した後、その切り株や木の根元から伸びた萌芽が成長して、やがて新しい樹林を構成するようになります。
「天然更新」の意味
二つ目の「天然更新」とは、自然に落ちた種子から発生した稚樹や、根株から芽を出した若芽を育てる造林法を指す言葉です。松ぼっくりで有名なマツ類やモミ類に有利な方法です。
天然更新した林は、多くの樹の種が混在した混交林をつくる場合が多いため、病虫害の大発生が抑制されるだけでなく、気象害への抵抗力が増すというメリットがあります。
更新の対義語
更新の対義語・反対語としては、再びもとの場所や状態に戻ることを意味する「逆戻り」があります。
更新の類語
更新の類語・類義語としては、古いものを改めて新しく始めることを意味する「更始」、不用品などに手を加えてもう一度使えるようにすることを意味する「更生」、不足しているものを補うことを意味する「補充」などがあります。
更新の更の字を使った別の言葉としては、古い決まりやしきたりなどを新しいものに変えることを意味する「更改」、ある地位や役目にある人を他の人と代えることを意味する「更迭」、決められた物事などを変えることを意味する「変更」などがあります。
刷新の例文
この言葉がよく使われる場面としては、悪い点をなくして新しくすることを意味する時などが挙げられます。
例文1の「刷新を図る」という表現は、「刷新を計画する」という表現に変えることもできます。
一新の例文
この言葉がよく使われる場面としては、もとあるものに不都合はないが、全く新しくすることを意味する時などが挙げられます。
例文1の「心を一新して」という表現を「心を一新にして」とするのは間違いです。一新するという動詞を形を変えて使っているため、助詞の「に」は入れてはいけません。「心を新たにして」「心機一転」などの表現であれば置き換えることが可能です。
更新の例文
この言葉がよく使われる場面としては、もとあるものを変えることや塗り替えることを意味する時などが挙げられます。
例文2の「更新漏れ」とは、更新を忘れていたという意味の言葉です。他の刷新や一新に置き換えて使うことはできません。
刷新と一新と更新どれを使うか迷った場合は、不都合があるものを新しくする場合は「刷新」を、不都合はないが新しくする場合は「一新」を、新しくするのではなく変更する場合は「更新」を使うと覚えておけば間違いありません。