【違う】と【異なる】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「異なる」(読み方:ことなる)と「違う」(読み方:ちがう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「異なる」と「違う」という言葉は同義語で、どちらも他の物からの差異を意味するという同じ意味を持ちますが、それぞれの言葉の使い方には少し違いがあります。




「異なる」と「違う」の違い

「異なる」と「違う」の意味の違い

異なると違うの違いを分かりやすく言うと、異なるというのは、書き言葉でよく使われる言葉で、違うというのは、話し言葉と書き言葉を問わず一般的に使われる言葉という違いです。

また後者の違うという言葉は、基準からずれていること、間違っていることを意味する場合もあります。

「異なる」と「違う」の使い分け方

二つの言葉は意味は同じですが、使われ方にいくつかの違いがあります。

最初の違いについて説明します。異なるは「異なる文化の間の対話」や「異なる国を旅する」のように、名詞を修飾する形容詞として使うことも出来れば、「犬と猫は異なる」のように、述語として使うことも出来る言葉です。

それに対して違うという言葉は、「男と女は違う」のように述語として使う分には問題はありませんが、形容詞として使う場合には、何と違うのかを明記する必要があります。例えば「違う状況」とは言えませんが、「いつもと違う状況」となら言うことが出来ます。

二つめの違いは、話し言葉と書き言葉に関係しています。「犬と猫は異なりしつけが出来る」と「犬と猫は違ってしつけが出来る」は同じ意味ですが、異なるを使うと書き言葉のような堅い印象、違うなら話し言葉のような砕けた印象があります。

違うも「犬は猫と違い、しつけが出来る」などのように使えば、落ち着いた調子が感じられ、書き言葉になじみます。

そのため、異なるは硬質な書き言葉で用いられ、違うは使い方次第で書き言葉にも話し言葉にも用いられるという使い方の違いがあります。

三つめの違いは、違うにだけある使い方です。違うには「基準からずれていること、間違っている」ことを意味する使い方があります。

「基準からずれている」というのは、例えば電話がかかってきた場合の「佐藤さんのお宅ですか?」「違います」というやり取りのことを考えてみて下さい。佐藤さんという基準からずれているという意味の「違う」です。

「間違っている」というのは、「計算間違い」のことを「計算が違っている」というような場合のことです。

また、道義的に間違っているという意味でも違うという言葉が用いられます。例えば「約束が違う」というのは、内容としては「約束が異なる」と同じですが、怒りや責めるようなニュアンスが込められています。

「異なる」の意味

「異なる」とは

異なるとは、他の物から差異を持つことを意味しています。違うと意味は同一ですが、使い方はそれぞれ異なります。

表現方法は「時間が異なる」「事実と異なる」「異なるもの」

「時間が異なる」「事実と異なる」「異なるもの」などが、異なるを使った一般的な言い回しです。

「異なる」の使い方

「日本とは違う景色」のように、「違う」を名詞を修飾する形容詞として用いる時には、必ず何から区別されるのかを明記する必要があるのに対して、「異なる景色を思い浮かべる」のように、形容詞「異なる」は何から区別されるか明記せずに用いることが出来ます。

もちろん区別の対象が省略されているだけの場合もありますが、以下のようになる場合もあります。

同じ「景色」という言葉を修飾していますが、「異なる景色」の景色は集合名詞です。集合名詞とは、ひとまとめのグループを対象にする言葉です。「異なる景色」という言葉は、景色A、景色B、景色C・・・を指示していて、それぞれ区別があるという意味です。

なお、異なるを漢字だけの「異」にして例えば「異国」や「異教徒」のように使う場合には、「自分のものとは異なり」という意味になります。異国は自分の国ではない国のことで、異教徒は自分と宗教が異なる人のことです。

異なると違うの他の区別としては、話し言葉で使われるかどうかという違いがあります。違うは話し言葉でも書き言葉でも広く用いられている言葉ですが、異なるの方は堅い印象を与えるために、話し言葉ではあまり使われず、書き言葉で多く使われる傾向があります。

「いままでとは違う展開だ」と「いままでとは異なる展開だ」では、異なるを使った方が堅い印象が感じられます。

「異なる」の対義語

異なるの対義語・反対語としては、ある物と別の物が同じであることを意味する「同一」、同じような物、同じカテゴリに入る物を意味する「同質」、二つ以上のものの間に食い違いがないことを意味する「一致」「合致」などがあります。

「異なる」の類語

異なるの類語・類義語としては、ある物と別のものに異なる点があることを意味する「区別がある」、二つ以上のものがお互いに異なることを意味する「相違する」などがあります。

異なるの異の字を使った別の言葉としては、まわりの雰囲気にそぐわないこと、体の部位の調子が悪いことを意味する「違和」、他の物から区別される点を意味する「差異」、異なっている部分を意味する「異同」などがあります。

「違う」の意味

「違う」とは

違うとは、他のものから差異があること、ある基準から外れていること、道義的に間違っていることを意味しています。違うは異なると意味は同じですが、使い方が区別されます。

表現方法は「格が違う」「話が違う」「訳が違う」

「格が違う」「話が違う」「訳が違う」などが、違うを使った一般的な言い回しです。

「違う」の使い方

違うを名詞を修飾する形容詞として使う時には、必ず何から区別されているのか明記する必要があります。例えば「彼とは違う趣味」や「これまでとは違うやり方」などの表現を考えてみて下さい。異なるを使う時に必ずしも比較対象を書く必要がないのとは違います。

違うは述語としては異なると全く同じ使い方をされますが、話し言葉では違うを使うことが多いです。「ドイツとフランスは違う」と「ドイツとフランスは異なる」は意味は同じですが、異なるを使った方は堅く、かしこまっているような印象を与えます。

異なるが持たない用法として、違うは「基準から外れていること」や「道義的に間違っていること」を表現することが出来ます。

例えば国際電話で「今そっちは12時くらい?」「ちょっと違う。10時すぎだね」というような場合が「基準から外れている」ことを意味する違うの用法です。

また「道義的に間違っている」場合の具体例としては、「話が違う」という表現があります。相手が約束を破っている場合などに使われる表現です。「話が違う」は、意味としては「以前と話が異なる」ということですが、相手を責めるような語調になっています。

「違う」の類語

違うの類語・類義語としては、大阪の方言である「ちゃう」「アカン」、良くない状態にあることを意味する「駄目」、2つの物の間に違いがあることを意味する「相違」などがあります。

違うを使った言葉としては、その場の雰囲気にそぐわないことを意味する「場違い」、理屈が通っていないことを意味する「筋違い」、間違って考えていたことを意味する「勘違い」、程度が全く異なることを意味する「段違い」などがあります。

「異なる」の例文

1.勤務時間が異なる従業員同士の親睦を深めるために、酒の席を設けた。
2.このレポートでは、テーマが似ているが制作された時代が異なる作品を比較して、それぞれの時代の特徴を際立たせようとしました。
3.彼女の集中力は、普通の人のそれとはちょっと異なるところがあった。
4.推定されるどの凶器も、遺体に残る傷口のものとは異なる。
5.その作家の文章は、その文体の点において、他の作家と著しく異なっているという特徴がある。
6.物件の見取り図に、「見取り図と現状が異なる場合、現状を優先とする」と小さく書かれているのに後から気が付いた。
7.性格の異なるもの同士のほうが結婚生活はうまく行くという話があるが、そうではないという話も聞くのでどちらが正しいのかわからないでいる。
8.子どもたちを小さいうちから異なる文化に触れる機会を増やしたいという思いから、インターナショナル・スクールに通わせている。
9.不倫スキャンダルについてタレント側は週刊誌の記事には事実と異なる部分があるとして週刊誌の出版社に抗議をした。
10.精巧な偽札にもなると一見するだけではわからないが、詳細に調べるとデザインの一部が微妙に異なるのでそれで見分けることができるそうだ。

この言葉がよく使われる場面としては、書き言葉で「違う」という意味を表現したい時などが挙げられます。しかし話し言葉で絶対に用いられないというわけではなく、堅い言葉遣いが相応しい場合には、違うという言葉に変えて異なるを用います。

堅い言葉が相応しい場合とは、例えば裁判や会議での報告などが挙げられます。友人同士の砕けた会話で「異なる」という言葉を用いることは、普通ありません。

「違う」の例文

1.彼と笑いの感覚が全然違うから、よく言い合いになる。
2.今までの失敗とはわけが違ったので、今回ばかりはさすがに怒らずにはいられなかった。
3.最後の最後で勝敗を左右したのは、踏んできた場数の違いだった。
4.若手も伸びてきたし、大物の補強もあった。今年は去年までとは一味違うよ。
5.急に仕様変更が言い渡されて、話が違うじゃないかと思った。
6.子どもが間違えたことを言っても、主人は決してストレートに「違うよ」とは言わず「パパはこう考えるけど、どうかな?」と優しく諭すように話す。
7.息子は性格がおっちょこちょいなので、テストでも簡単な計算を間違うなどして満点を逃してしまうこともあるので注意するように言っている。
8.家が新築になってから初めて飼い猫を放したが、前の家と違う状況に落ち着かないようで、あちこちをうろうろしていた。
9.松茸の土瓶蒸しをはじめて食べたがこんなに美味しいものだったとはね。やはり松茸の風味のお吸い物とは訳が違うよ。
10.はじめて関西のうどんを食べたときに、「東と西とではこんなにも食文化が違うものなのか」と強いカルチャーショックを受けた。

この言葉がよく使われる場面としては、差異があることを表現したい時などが挙げられます。違うという言葉は異なると同じ意味を持ちますが、日本語の慣用表現の中では、違うを使った言い回しの方が多いです。

また「話が違う」や「筋が違う」のような、相手を責めるような意味合いを出すことが出来るのは、違うの方だけです。

言い回しや用法が多いということは、それだけ違うという言葉の方が広く用いられているということですので、違うの意味をぜひ覚えておきましょう。

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