似た意味を持つ「先進国」(読み方:せんしんこく)と「発展途上国」(読み方:はってんとじょうこく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「先進国」と「発展途上国」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
先進国と発展途上国の違い
先進国と発展途上国の意味の違い
先進国と発展途上国の違いを分かりやすく言うと、先進国とは経済や社会が大きく発展している国、発展途上国とは経済や社会が発展する途中にある国という違いです。
先進国と発展途上国の使い方の違い
一つ目の先進国を使った分かりやすい例としては、「日本は経済先進国の一つです」「IMFは先進国の成長予想を引き上げた」「主要先進国では最低水準の成長率です」「先進国首脳会議が最初に開催された都市はどこですか」などがあります。
二つ目の発展途上国を使った分かりやすい例としては、「発展途上国の公害問題が深刻化している」「開発途上国の多くは紛争問題を抱えています」「英語圏で発展途上国はありますか」「日本政府が発展途上国に支援する」などがあります。
先進国と発展途上国の使い分け方
先進国と発展途上国という言葉は、国際的な政治経済のニュースでよく耳にする言葉です。
先進国とは、経済や社会の発展段階が世界の先を進んでいる国のことです。経済水準が高く、政治体制や社会秩序が安定している欧米や日本などは、先進国に分類されます。
発展途上国とは、経済や社会の発展段階が途上であり、国民の所得水準が低く、第1次産業の比重が高いなど発展の程度を示す指標の水準が低い国のことです。多くのアフリカや南アジアの国々が発展途上国に分類されています。
二つの言葉は、どのぐらいの経済水準であれば先進国になるのかといった明確な定義はありません。先進国と発展途上国とは、国の発展度合いによって呼び分けているものであり、対比して用いられる言葉なのです。
先進国と発展途上国の英語表記の違い
先進国を英語にすると「advanced country」「developed country」となり、例えば上記の「経済先進国」を英語にすると「economically advanced country」となります。
一方、発展途上国を英語にすると「developing countries」「emerging country」となり、例えば上記の「発展途上国の公害問題」を英語にすると「pollution problems in developing countries」となります。
先進国の意味
先進国とは
先進国とは、政治・経済・文化などが国際水準からみて進んでいる国を意味しています。
先進国の使い方
先進国を使った分かりやすい例としては、「日本は先進国ランキングの上位に入るはずだ」「中国は先進国に入りますか」「先進国とはどんな国のことですか」「2021年版の先進国一覧はありますか」などがあります。
その他にも、「先進国首脳会議が東京で開催される」「ドイツは環境先進国です」「先進国を対象とした調査です」「先進国株式インデックスの利回りをチェックする」「先進国の首脳が集まって議論する」などがあります。
先進国の特徴
先進国とは、発展途上国と対比して用いられる言葉です。国際的に明確な定義はありませんが、技術や経済が他の国に比べて先に進んでいる国を表し、一般的には、先進国クラブといわれるOECD(経済協力開発機構)に加盟する国々を指します。
「環境先進国」「IT先進国」「コロナ対策先進国」という抽象的表現もある
「環境先進国」「IT先進国」「コロナ対策先進国」のように、特定の事象が発展していることについて抽象的に用いられることもあります。
「主要先進国首脳会議」の意味
先進国という言葉を用いた日本語には「主要先進国首脳会議」があります。「サミット」と呼ばれ、主要国の首脳が集まり、国際社会が直面するさまざまな課題について意見交換を行う、非公式の国際会議のことです。7ヶ国で行われるG7、8ヶ国で行われるG8などがあります。
先進国の対義語
先進国の対義語・反対語としては、開発途上国の旧称である「後進国」、国民所得が低く発展の余地のある国を意味する「発展途上国」などがあります。
先進国の類語
先進国の類語・類義語としては、投資や貿易が盛んになり急速に経済成長を続けている国を意味する「新興国」などがあります。
発展途上国の意味
発展途上国とは
発展途上国とは、発展・開発の途上にあって、現在は一人当たりの実質所得が低く、産業構造では一次産品の比重が高い国を意味しています。
発展途上国の使い方
発展途上国を使った分かりやすい例としては、「発展途上国とはどこの国ですか」「2020年度の発展途上国一覧を調べる」「発展途上国の具体的な国名を挙げて下さい」「発展途上国をランキング形式で紹介します」などがあります。
その他にも、「発展途上国の環境問題に取り組む」「発展途上国で教育を普及させたい」「日本は発展途上国にさまざまな援助をしている」「発展途上国はなぜ貧しいのでしょうか」「2021年度の発展途上国一覧を作成中です」などがあります。
発展途上国とは、経済発展や開発の水準が低く、成長の途上にある国を指す言葉であり、「開発途上国」とも言います。先進国と対になる言葉であり、1960年代に入って用いられてきた言葉です。以前は「後進国」「低開発国」などと呼ばれましたが差別的な言葉であるため、これは改められました。
発展途上国の特徴
発展途上国の共通する特徴としては、所得水準が低いこと、農業を中心とする産業構造であること、人口増加率が高いこと等が挙げられます。
発展途上国の対義語
発展途上国の対義語・反対語としては、工業が発達し経済が発展している国を意味する「先進国」などがあります。
発展途上国の類語
発展途上国の類語・類義語としては、発展の程度を示すいろいろな指標の水準が低い国を意味する「開発途上国」、産業や経済などの発達が他に比べて遅れている国を意味する「後進国」、一人当りの国民所得が相対的に低い低開発地域の国々を意味する「低開発国」などがあります。
先進国の例文
この言葉がよく使われる場面としては、主に経済が大きく発展している国々を表現したい時などが挙げられます。
例文1について、先進国という言葉に明確な定義があるわけではないため、日本がいつから先進国になったと明言は出来ません。ただし、先進国クラブとも言われるOECDに日本が加盟したのは1964年なので、この時期から先進国として世界から認められたと考えられます。
発展途上国の例文
この言葉がよく使われる場面としては、発展の程度を示すいろいろな指標の水準が低い国を表現したい時などが挙げられます。
例文1について、発展途上国が抱える問題は様々あり、教育が普及していないことはその一つです。他にも、貧困問題、保健医療の問題、食糧問題、内紛の問題などがあります。
先進国と発展途上国という言葉は、どちらも国の発展度合いを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、経済や社会が大きく発展している国を表現したい時は「先進国」を、経済や社会が発展する途中にある国を表現したい時は「発展途上国」を使うようにしましょう。