似た意味を持つ「吟味」(読み方:ぎんみ)と「玩味」(読み方:がんみ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「吟味」と「玩味」という言葉は、どちらも「作品を味わうこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
吟味と玩味の違い
吟味と玩味の意味の違い
吟味と玩味の違いを分かりやすく言うと、吟味とは詩歌をたのしむことや念入りに調べることを表し、玩味とは文章を理解することや食物を味わうことを表すという違いです。
吟味と玩味の使い方の違い
一つ目の吟味を使った分かりやすい例としては、「彼女の誕生日プレゼントを吟味する」「新鮮な魚を吟味しています」「吟味思考でフェイクニュースを見破る」「値上がりしそうな有望株を吟味する」「松尾芭蕉の名句を吟味する」などがあります。
二つ目の玩味を使った分かりやすい例としては、「食べ物を玩味することは心と体の栄養になります」「難しい文学作品を時間をかけて熟読玩味する」「何度見ても玩味できない映画があります」「この文章を咀嚼玩味できましたか」などがあります。
吟味と玩味の使い分け方
吟味と玩味という言葉は、どちらも詩歌や文章などを味わうことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
吟味とは、「名句を吟味する」のような使い方で、もともと詩歌を作って楽しんだり、その趣きをじっくりと味わったりすることを意味しました。この意味が転じて、現在では、物事を念入りに調べること、じっくりと調べて選ぶことの意味で使用されている言葉です。
玩味とは、食べ物をよくかんで味わうことを意味します。また、文章の内容をよく理解して味わうことの意味も持ち、「熟読玩味」という四字熟語で使用されることが多い言葉です。
つまり、一般的に、吟味は物事を念入りに調べること、玩味は文章を理解して味わうことの意味で用いられています。また、どちらも「味」という漢字を含みますが、食物の味については「玩味」を使用し、「吟味」とは言わないことに注意しましょう。
吟味と玩味の英語表記の違い
吟味を英語にすると「close examination」「investigation」「careful selection」となり、例えば上記の「吟味する」を英語にすると「examine closely」となります。
一方、玩味を英語にすると「taste」「relish」「appreciate」となり、例えば上記の「食べ物を玩味する」を英語にすると「relish food」となります。
吟味の意味
吟味とは
吟味とは、物事を念入りに調べること、念入りに調べて選ぶことを意味しています。
その他にも、「罪状を調べただすこと」「詩歌を吟じてその趣を味わうこと」の意味も持っています。
吟味の読み方
吟味の読み方は「ぎんみ」です。誤って「こんみ」「いまあじ」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「吟味する」「吟味して買う」「吟味を重ねる」
「吟味する」「吟味して買う」「吟味を重ねる」などが、吟味を使った一般的な言い回しです。
吟味の使い方
「SNSの情報はよく吟味する必要があります」「まずは自分の英語力を吟味するべきです」「ベテラン杜氏が素材を吟味して醸したお酒です」「ビジネススーツをカタログから吟味して選ぶ」などの文中で使われている吟味は、「念入りに調べること」の意味で使われています。
一方、「大坂町奉行の吟味伺書を考察する」の文中で使われている吟味は「罪状を調べただすこと」の意味で、「好きな詩人の詩集を吟味する」「時間ができたら万葉集を再吟味したいです」などの文中で使われている吟味は「詩歌を吟じて趣きを味わうこと」の意味で使われています。
吟味の「吟」は内容を探り確かめることや、詩歌を詠むことを表し、「味」は味をみることや、内容をよく調べ味わってみることを表します。吟味とは、物事を念入りに調査すること、罪状を調べただすこと、詩歌などを作って趣きを味わうこと、という複数の意味を持つ言葉です。
吟味という言葉は、「吟味する」という使い方で、日常生活からビジネスシーンまで使用されています。特にビジネスの場においては、物事の内容や品質をきちんと調べて確かめるという意味で用いられることが多くあります。
「吟味伺書」の意味
吟味を用いた日本語には、「吟味伺書」(読み方:ぎんみうかがいしょ)があります。吟味伺書とは、江戸時代の訴訟文書の一種です。代官が勘定奉行に、また三奉行が老中に、刑罰についての指示を仰ぐ場合に提出する文書を指します。「仕置伺書」とも言います。
吟味の対義語
吟味の対義語・反対語としては、短い時間でざっと見ることを意味する「瞥見」(読み方:べっけん)、ちょっとだけ見やることを意味する「一瞥」、物事の真意をよく理解せずに受け入れることを意味する「鵜呑み」などがあります。
吟味の類語
吟味の類語・類義語としては、よしあしや優劣などを批評し判定することを意味する「品定め」、作品などの価値を論じ定めることを意味する「品評」、詳しく調べることを意味する「精査」、罪人を取り調べることを意味する「詮議」などがあります。
玩味の意味
玩味とは
玩味とは、食物をよく噛んで味わうことを意味しています。
その他にも、「言葉や文章などの表している意味や内容などを、よく理解して味わうこと」の意味も持っています。
玩味は「翫味」とも表記可能
玩味は「翫味」とも書きますが、一般的には「玩味」と表記されています。
玩味の読み方
玩味の読み方は「がんみ」です。誤って「げんみ」などと読まないようにしましょう。
玩味の使い方
「ランチ会で中華料理を玩味する」「釧路の朝市で海鮮丼を玩味しました」「取り寄せたキャビアを玩味する」「親知らずを抜いて咀嚼玩味できる幸せを感じた」などの文中で使われている玩味は、「食物をよく噛んで味わうこと」の意味で使われています。
一方、「論語を熟読玩味して子どもに教える」「熟読玩味で更に理解が深めよう」「英文を玩味できる域に達していません」などの文中で使われている玩味は、「意味や内容をよく理解して味わうこと」の意味で使われています。
玩味とは、食べ物を噛みわけてよく味わうこと、言葉や文章の意味内容をよく考え味わうこと、の二つの意味を持つ言葉です。玩味の「玩」は訓読みで「あじわう」と読み、物事の趣を深く味わうことを表し、「味」は舌で味をみること、物事を考えて理解することを表す漢字です。
四字熟語「熟読玩味」の意味
玩味を用いた日本語には、「熟読玩味」(読み方:じゅくどくがんみ)があります。 熟読玩味とは、文章の内容をよく考えながら読んで十分その意味内容を味わうことを意味する四字熟語です。
玩味の対義語
玩味の対義語・反対語としては、毒物の有無を確かめることを意味する「毒味」などがあります。
玩味の類語
玩味の類語・類義語としては、食べ物のおいしさをよく味わって食べることを意味する「賞味」、味のよさを楽しむことを意味する「賞翫」(読み方:しょうがん)、飲食物を口に入れてうまみを十分に感じとることを意味する「味わう」などがあります。
吟味の例文
この言葉がよく使われる場面としては、品質や内容あるいは罪状などについて、詳しく調べ確かめることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にある「吟味する」とは、物事を念入りに調べたり、注意深く調べて選ぶことを意味します。例文5の「勘定吟味役」とは、江戸幕府の職名であり、訴訟や犯罪を調べただすことを担当する役人です。「勘定吟味方」とも言います。
玩味の例文
この言葉がよく使われる場面としては、食物を噛みわけてよく味わうこと、意味や内容をよく考え味わうことを表現したい時などが挙げられます。
例文1と例文2にある玩味は、食物を噛みわけてよく味わうことの意味で用いられています。例文3から例文5の玩味は、意味や内容をよく考え味わうことの意味で用いられています。
吟味と玩味という言葉は、どちらも「作品を味わうこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、念入りに調べることや詩歌を味わうことを表現したい時は「吟味」を、食物を味わうことや文章を理解して味わうことを表現したい時は「玩味」を使うようにしましょう。