同じ「せつり」という読み方の「摂理」と「節理」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「摂理」と「節理」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
摂理と節理の違い
摂理と節理の意味の違い
摂理と節理の違いを分かりやすく言うと、摂理とは自然界の法則を意味し、節理とは物事の道理を意味するという違いです。
摂理と節理の使い方の違い
一つ目の摂理を使った分かりやすい例としては、「同性愛は自然の摂理に反するのだろうか」「生まれては消える世の中の摂理を感じます」「彼女は神様の摂理を信じる熱心なクリスチャンです」などがあります。
二つ目の節理を使った分かりやすい例としては、「節理を深く理解する努力が大切です」「節理をわきまえて行動しよう」「方丈節理は深成岩に見られます」「板状節理という岩石の割れ目を観察する」などがあります。
摂理と節理の使い分け方
摂理と節理という言葉は、どちらも「せつり」と読み、物事の条理や法則などを表しますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
摂理とは、「自然の摂理」のような使い方で、自然界やこの世に存在するあらゆる物事を支配している法則を意味します。また、キリスト教における教えや導きの意味もあり、「神の摂理」などと表現されることがあります。
節理とは、物事のことわりや筋道を意味し、物事があるべき状態となっている様子を表します。道理や筋道と同義の言葉であり、節理という言葉はあまり使われず、道理や筋道と表現されることが多くなっています。また、節理は地学用語として、岩石の割れ目を表します。
つまり、摂理とは自然界の法則やキリスト教の教えを表し、節理とは物事の道理や岩石の割れ目を意味します。摂理と節理という言葉は、意味が全く異なる同音異義語なので、区別して使い分けるようにしましょう。
摂理と節理の英語表記の違い
摂理を英語にすると「providence」「destiny」「laws」となり、例えば上記の「自然の摂理」を英語にすると「the laws of nature」となります。
一方、節理を英語にすると「reason」「logic」「joint」となり、例えば上記の「板状節理という」を英語にすると「called platy joint」となります。
摂理の意味
摂理とは
摂理とは、自然界を支配している法則を意味しています。
その他にも、「キリスト教で、創造主である神の宇宙と歴史に対する永遠の計画や配慮」の意味も持っています。
表現方法は「自然の摂理」「この世の摂理」「宇宙の摂理」
「自然の摂理」「この世の摂理」「宇宙の摂理」などが、摂理を使った一般的な言い回しです。
摂理の使い方
「自然の摂理に反する行為はしたくありません」「自然の摂理に抗うことはできません」「世の中の摂理には逆らえない」「この世の摂理を知りたい」などの文中で使われている摂理は、「自然界を支配している法則」の意味で使われています。
一方、「神の摂理に従って生きる」「私たちは摂理に導かれています」「キリスト教の摂理を理解する日本人は少ない」などの文中で使われている摂理は、「神の宇宙と歴史に対する計画や配慮」の意味で使われています。
摂理の「摂」は様々なことを合わせ取り入れること、「理」は物事に備わった筋道を表します。摂理とは、自然界に存在している法則を意味します。また、キリスト教において神の計画を意味し、神はこれによって各々の目標に導くとしています。
「自然の摂理」の意味
上記の例文にある「自然の摂理」とは、万物に逆らったり抗うことはできないことを意味する言葉です。転じて、「当たり前のこと」といった意味で慣用的に用いられています。
摂理の対義語
摂理の対義語・反対語としては、自然さがないことや無理があることを意味する「不自然」、人の力で何かを行うことを意味する「人為」などがあります。
摂理の類語
摂理の類語・類義語としては、自然における出来事などの必然的な関係を表した法則を意味する「自然律」、普遍的に守られるべき不変の法を意味する「自然法」、神仏から受ける利益や恩恵を意味する「冥利」、神仏の目に見えない助けを意味する「冥助」などがあります。
節理の意味
節理とは
節理とは、物事の道理や筋道を意味しています。
その他にも、「岩石に発達する割れ目」の意味も持っています。
表現方法は「板状節理」「方状節理」「放射状節理」
「板状節理」「方状節理」「放射状節理」などが、節理を使った一般的な言い回しです。
節理の使い方
「聖人君子が節理を説く」「彼は節理がわからない人のようだ」「英語の先生は節理に反することを嫌っている」「節理にかなったことが正しく行われる」などの文中で使われている節理は、「物事の道理や筋道」の意味で使われています。
一方、「岩体に発達した節理を観察してみよう」「岩の節理面は削られやすくなっています」「柱状節理のでき方を習いました」「節理の種類をいくつ言えますか」「節理は片理や層理と違って連続性があまりない」などの文中で使われている節理は、「岩石に発達する割れ目」の意味で使われています。
節理の「節」は言動にけじめをつけて、はみ出ないことを表す漢字です。物事に備わった筋道を表す「理」と結び付き、節理とは、世間一般に当てはまる正しい道理や筋道を意味します。ただし、同義語の「道理」や「筋道」という言葉の方が使用される傾向があり、マイナーな表現となっています。
また、節理という言葉は、岩石の割れ目も意味します。火成岩の冷却に伴う張力でできる板状節理や柱状節理、水成岩の凝固に伴う張力でできる層理に直角な節理、岩石がひずみを受けてできる節理など、いくつかの種類があります。
節理を用いた有名な一文には「節理も無く禍殃を語る人に心を許さぬ。 齊しく、其れを辯疏する亊にも。」があります。これは、インターネット上にコピペで広まった文であり、「やたらと酷い目にあったと話す人には心を開きません。それを言い訳する人も同様である。」という意味です。
節理の対義語
節理の対義語・反対語としては、物事の筋道が立たず道理に合わないことを意味する「無理」、道理に合わないことを意味する「理不尽」などがあります。
節理の類語
節理の類語・類義語としては、物事のすじみちや道理を意味する「理屈」、物事の道理や確かな理由や根拠のある関係を意味する「筋合い」、マグマが岩石内に入り込んで固まり新しい火成岩体をつくることを意味する「貫入」などがあります。
摂理の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自然界を支配している理法、キリスト教で造物主である神の計画や神の導きを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にある摂理は、自然界を支配している理法の意味で用いられています。例文4や例文5の摂理は、神の計画や神の導きの意味で使用されています。
節理の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事のことわり、地層や岩石の割れ目のうちズレを伴わないものを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある節理は、物事のことわりの意味で使用されています。例文2から例文5の節理は、地層や岩石の割れ目の意味で用いられています。
摂理と節理という言葉は、どちらも「せつり」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、自然界の法則やキリスト教の教えを表現したい時は「摂理」を、物事の道理や岩石の割れ目を表現したい時は「節理」を使うようにしましょう。