似た意味を持つ「大過なく」(読み方:たいかなく)と「つつがなく」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「大過なく」と「つつがなく」という言葉は、どちらも何事もなく終えることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「大過なく」と「つつがなく」の違い
「大過なく」と「つつがなく」の意味の違い
「大過なく」と「つつがなく」の違いを分かりやすく言うと、「大過なく」の方が「つつがなく」よりも一般的に使われているという違いです。
「大過なく」と「つつがなく」の使い方の違い
一つ目の「大過なく」を使った分かりやすい例としては、「大過なく定年まで勤めることができました」「3年の任期を大過なく勤め上げました」「大過なく仕事を終わらせることができました」「私は大過なく過ごしております」などがあります。
二つ目の「つつがなく」を使った分かりやすい例としては、「つつがなく日程を終えることができました」「つつがなく暮らしているので幸せです」「皆様のおかげでつつがなく終えることができました」「イベントをつつがなく終わることができました」などがあります。
「大過なく」と「つつがなく」の使い分け方
「大過なく」と「つつがなく」はどちらも何事もなく終えることを意味しており、大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「大過なく」の方が「つつがなく」よりも一般的に使われているという点です。
ただし、どちらも正しい日本語なので、基本的に好きな方を使って問題ないと覚えておきましょう。
「大過なく」と「つつがなく」の英語表記の違い
「大過なく」も「つつがなく」も英語にすると「safely」「without incident」となり、例えば上記の「イベントをつつがなく終わることができました」を英語にすると「We succeed the event without any incident」となります。
「大過なく」の意味
「大過なく」とは
「大過なく」とは、大きな過ちや失敗がないことを意味しています。
「大禍なく」は誤用
「大過なく」を「大禍なく」とするのは誤用なので間違えないよう注意しましょう。
表現方法は「大過なく過ごしております」「大過なく勤め上げる」
「大過なく過ごしております」「大過なく勤め上げる」などが、「大過なく」を使った一般的な言い回しになります。
「大過なく」の使い方
「大過なく」を使った分かりやすい例としては、「皆様のおかげで大過なく過ごしております」「大過なく勤め上げることができて感慨無量です」「今日まで大過なく過ごすことができたのでとても感謝しております」などがあります。
「大過なく」は大きな過ちや失敗のことを意味する「大過」に、否定形の「なく」が合わさり、大きな過ちや失敗がないことの意味で使われている言葉です。
「大過なく」は手紙やメールで使うことが多い
「大過なく」は手紙やメールなどで相手の近況を尋ねる場合に使うことが多いですが、ビジネスシーンにおいても使うことができます。
例えば、大きなプロジェクトが何も問題なく終わった場合などに、「大過なく終えることができて一安心です」のように使います。また、退職時の挨拶として、「本日まで大過なく過ごすことができたのは皆さんのおかげです」のように使うことが可能です。
「大過なく」を使う上で注意しなければならないのは、自分のことについて謙遜する場合にのみ使うという点になります。「大過なくお勤めご苦労様です」のように他人に対して使うことはできないと覚えておきましょう。
「大過なく」の類語
「大過なく」の類語・類義語としては、穏やかで何も変わったこともなく安らかであることを意味する「平穏無事」があります。
「つつがなく」の意味
「つつがなく」とは
「つつがなく」とは、病気や災難などが無く日々を送ることを意味しています。
「つつがなく」の漢字表記
「つつがなく」を漢字で表すと「恙無く」「恙なく」とすることができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「つつがなく」を使うようにしましょう。
表現方法は「つつがなく暮らす」「つつがなく過ごす」「つつがなくお過ごしでしょうか」
「つつがなく暮らす」「つつがなく過ごす」「つつがなくお過ごしでしょうか」「お陰様でつつがなく」「つつがなく進む」「つつがなく終了」などが、「つつがなく」を使った一般的な言い回しになります。
「つつがなく」の使い方
「つつがなく」を使った分かりやすい例としては、「こちらはつつがなく過ごしておりますのでご安心ください」「猛暑が続いておりますがつつがなくお過ごしください」「皆様のおかげで開店準備はつづがなく進んでいる」などがあります。
「つつがなく」は病気や災難などがなく日を送るという意味の言葉ですが、病気や災難はいつ起こってもおかしくないため、病気や災難だけではなく、何か問題が起こりそうだったが問題なく終わる場合にも使える言葉と覚えておきましょう。
「つつがなく」の注意点
「つつがなく」を使う上で注意しなければならないのは、結婚式やお葬式などでは使えないという点です。なぜなら、「つつがなく」にはトラブルが起きそうであったが起こらなかったというニュアンスがあるため、結婚式やお葬式などの問題が起こるはずない場面に使うのは適していません。
「つつがなく」の語源
「恙無く」の「恙」(読み方:つつが)という漢字が「つつがなく」の語源になっています。「恙」とは、病気や災難のことを意味しており、それに打消しの「無い」が合わさったことで、病気や災難が無いという意味の「つつがない」という言葉になりました。
「つつがなく」の類語
「つつがなく」の類語・類義語としては、普段と変わりないことを意味する「無事」があります。
「大過なく」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、大きな過ちや失敗がないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「大過なく」はビジネスシーンと日常生活どちらに対しても使える言葉です。
「つつがなく」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、病気や災難などが無く日々を送ることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「つつがなく」はビジネスシーンと日常生活どちらに対しても使える言葉です。
「大過なく」と「つつがなく」はどちらも何事もなく終えることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、意味に大きな違いはないので、基本的に好きな方を使って問題ないと覚えておきましょう。