同じ「てもと」という読み方の「手元」と「手許」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「手元」と「手許」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
手元と手許の違い
手元と手許の意味の違い
手元と手許の違いを分かりやすく言うと、手許よりも手元の方が、一般的に使用されているという違いです。
手元と手許の使い方の違い
一つ目の手元を使った分かりやすい例としては、「大事なものは手元に置くようにしています」「キッチンの手元灯を新しくしました」「コンパクトな屋外用の手元開閉器を探しています」「手元流動性の計算方法を教えてください」などがあります。
二つ目の手許を使った分かりやすい例としては、「老眼で手許の文字が見づらくなった」「倒産リスク低減のために手許資金を確保する」「帳簿の残高を実際の手許有高を照らし合わせる」「手許現金は相続人全員の共有財産です」などがあります。
手元と手許の使い分け方
手元と手許という言葉は、どちらも「てもと」と読み、「手の届くあたり、手の動かし方、生活のためのお金」などを意味します。二つの言葉は同じ意味を持つため、どちらを使っても間違いではなく、また、互いに置き換えて使うことができます。
二つの言葉の違いは「もと」の漢字表記にあります。「元」は常用漢字表で「もと」という訓読みが掲載されていますが、「許」は常用漢字表に「もと」の訓読みが記載されていません。
そのため、公用文や新聞などに用いる場合には「手元」と表記することが適切です。また、一般的な文章においても、手許よりも手元が使用されることが多くなっています。どちらの漢字を使っても正しい日本語になりますが、公文書には「手元」を使用することを覚えておきましょう。
手元と手許の英語表記の違い
手元も手許も英語にすると「hand」「fingers」「with one」となり、例えば上記の「手元に置く」を英語にすると「keep something at hand」となります。
手元の意味
手元とは
手元とは、手の届くあたり、手近、自分のそばを意味しています。
その他にも、「道具などの手で握るところ、握り」「手の動かし方、手の動き、また、手並み」「生計をたてるための金、また、暮らし向き」の意味も持っています。
手元の使い方
「骨壺を自宅に置いて手元供養しています」「手元スピーカーの売れ筋ランキングをチェックする」の文中で使われている手元は「手の届くあたり」の意味で、「古くなった包丁の手元を交換しました」の文中で使われている手元は「手で握るところ」の意味で使われています。
一方、「うっかり手元が狂うことがあります」の文中で使われている手元は「手の動かし方」の意味で、「債務者による手元不如意の抗弁が認められた」「我が家の手元は以前よりよくなっている」などの文中で使われている手元は「生計をたてるための金」の意味で使われています。
手元とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。手元の「手」は肩先から指までの総称や腕前を表し、「元」は物事の根本や始まりを表す漢字です。
「手元不如意」の意味
手元を用いた日本語には「手元不如意」(読み方:てもとふにょい)があります。手元不如意は「手許不如意」とも書き、手元に生計を立てるための金の持ち合わせがなく、暮らし向きが苦しいことを意味します。「不如意」は「意の如くならず」の意味で、思い通りにならないことです。
手元の対義語
手元の対義語・反対語としては、足が地についている所やその周りを意味する「足元」などがあります。
手元の類語
手元の類語・類義語としては、空間的に間隔が少ないことを意味する「間近」、きわめて近いことを意味する「目前」、自分の目の前や自分の領域を意味する「手前」、手が届くほどの近さにあることを意味する「手近い」、家族が暮らしていくための費用を意味する「家計」などがあります。
手許の意味
手許とは
手許とは、手の届くあたり、手近、自分のそばを意味しています。
その他にも、「道具などの手で握るところ、握り」「手の動かし方、手の動き、また、手並み」「生計をたてるための金、また、暮らし向き」の意味も持っています。
手許の使い方
「いつも眼鏡を手許に置いています」「財産が全て手許現金とは驚きだ」「手許金は最小限にしている」の文中で使われている手許は「手の届くあたり」の意味で、「手許の位置を調整する」「杖の手許が壊れてしまった」の文中で使われている手許は「手で握るところ」の意味で使われています。
一方、「手許が狂って物を落としてしまった」「手許と脳の発達には深い関係があります」の文中で使われている手許は「手の動かし方」の意味で、「物価高で手許が苦しい」「手許不如意な生活を送っています」の文中で使われている手許は「生計をたてるための金」の意味で使われています。
手許とは、上記の例文にあるように複数の意味を持つ言葉です。それぞれの意味で使用されているので、文脈により意味を判断する必要があります。手許の「許」は、その近くやそのあたりを表す漢字です。
「手許有高」の意味
手許を用いた日本語には「手許有高」(読み方:てもとありだか)があります。手許有高とは、銀行預金など以外の、紙幣や硬貨など手元に保有している現金の総量を意味します。「手元有高」とも書きます。
手許の対義語
手許の対義語・反対語としては、立っている足の付近を意味する「足許」などがあります。
手許の類語
手許の類語・類義語としては、きわめて距離が近いことを意味する「至近」、手の届くあたりや身のまわりを意味する「手回り」、距離や時間などの隔たりが少ないを意味する「程近い」、内々の経済状態や家の暮らし向きを意味する「内証」などがあります。
手元の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、手の届くあたり、握り、手の動き、手並み、暮らし向きを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にある「手元」は、常用漢字表に載っていない読みを用いた「手許」に置き換えても意味は変わりません。
例文2にある「手元工」とは、職人が効率よく作業するための補助を行う作業員を意味します。例文4の「手元供養」とは、故人の遺骨の全部または一部を、自宅などの身近な場所で保管する供養方法のことです。
手許の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、手の届くあたり、握り、手の動き、手並み、暮らし向きを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にある「手許」は、常用漢字表に載っていない読み方を用いた「手元」に置き換えても問題ありません。
例文3にある手許現金(読み方:てもとげんきん)とは、預金口座等に入っていない手持ちの現金のことです。「手元現金」とも書きます。
手元と手許という言葉は、どちらも「てもと」と読む同音異義語です。どちらを使っても構いませんが、公的な書類などに記載する場合は、常用漢字表に掲載された読みを用いた「手元」を使用する方がよいでしょう。