【割り切る】と【諦める】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「割り切る」(読み方:わりきる)と「諦める」(読み方:あきらめる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「割り切る」と「諦める」という言葉は、どちらも断念することを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「割り切る」と「諦める」の違い

「割り切る」と「諦める」の意味の違い

「割り切る」と「諦める」の違いを分かりやすく言うと、「割り切る」とは未来のために自分の意に叶うものではない現状を受け入れること、「諦める」とは希望や見込みがなくこれ以上先に進まないことという違いです。

「割り切る」と「諦める」の使い方の違い

一つ目の「割り切る」を使った分かりやすい例としては、「仕事の人間関係を割り切る」「割り切ることができないので同じ事をいつまでも悩んでしまう」「彼とは割り切った恋愛をしている」「仕事はお金のためと割り切るしかない」「私達は割り切って考えなければならない」などがあります。

二つ目の「諦める」を使った分かりやすい例としては、「大人になるにつれて諦めることも多くなっていく」「諦めることによって得るものもある」「雪が降っているので出かけるのを諦めた」「私はサッカー選手になるのを諦める」などがあります。

「割り切る」と「諦める」の使い分け方

「割り切る」と「諦める」は断念するという共通するニュアンスを持つ言葉ですが、使い方は異なっています。

「割り切る」は、将来や未来のために自分の意に叶うものではない現状を受け入れることを意味しています。そのため、ポジティブな意味合いで使われる言葉になります。

もう一方の「諦める」は、希望や見込みがないと思って辞めることを意味しており、これから先の状況は全く見えていません。そのため、ネガティブな意味合いで使われる言葉です。

「割り切る」と「諦める」の英語表記の違い

「割り切る」の直訳はないのですが、上記の「私達は割り切って考えなければならない」を英語にすると「We must not be so sentimental about it」となります。

一方、「諦める」を英語にすると「give up」「quit」「abandon」となり、例えば上記の「私はサッカー選手になるのを諦める」を英語にすると「I give up becoming a soccer player」となります。

「割り切る」の意味

「割り切る」とは

「割り切る」とは、未来のために自分の意に叶うものではない現状を受け入れることを意味しています。その他にも、割り算で余りを出さずに割ることの意味も持っています。

「割り切る」の使い方

「割り切る」を使った分かりやすい例としては、「この数字は割り切ることができない」「割り切ることができる人が羨ましい」「始めは上手く行かないものだと割り切ることが大切です」「割り切るのは辛いかもしれないけど先に進むには必要です」などがあります。

「割り切る」は二つの意味を持つ言葉ですが、主に未来のために自分の意に叶うものではない現状を受け入れることの意味で使われています。割り算で余りを出さずに割ることは数学の場や、飲み会の勘定をする際に使う意味です。

「割り切る」は、将来や未来にに繋げるために自分の感情を押さえて、論理的や思考的な選択をする場合に使います。そのため、仕事や恋愛などで、割り切る場面に出くわすことも多いでしょう。

表現方法は「仕事を割り切る」「恋愛を割り切る」「割り切るしかない」

「仕事を割り切る」「恋愛を割り切る」「割り切るしかない」「割り切る方法」「割り切る力」「割り切る人生」などが、「割り切る」を使った一般的な言い回しになります。

「割り切る」の類語

「割り切る」の類語・類義語としては、人の意見や要求などを認めることを意味する「受け入れる」、今までのものを辞めて別のものにすることを意味する「切り替える」、見込みがないと判断することを意味する「見切りを付ける」などがあります。

「諦める」の意味

「諦める」とは

「諦める」とは、希望や見込みがないと思って辞めることを意味しています。

「諦める」の使い方

「諦める」を使った分かりやすい例としては、「諦めるのも選択肢の一つです」「大雨が降っているのでBBQするのを諦める」「何でもすぐ諦める癖を直したい」「叶わない恋は諦めるしかないのかもしれない」「諦めるのは簡単だが続けるのは難しい」などがあります。

「諦める」の由来

「諦める」は、「諦観」(読み方:ていかん)という仏教用語が由来になります。諦観とは本質をはっきりと見極めることを意味しています。この本質をはっきりと見極めることが「明らかに見極める」となり、「諦める」となりました。

本質をはっきりと見極めるという意味が時代とともに変化していき、希望や見込みがないと思って辞めるという意味で使われています。

表現方法は「諦める人生」「諦めるということ」「諦める生き方」

「諦める人生」「諦めるということ」「諦める生き方」「諦めることも必要」「自分を諦める」などが、「諦める」を使った一般的な言い回しになります。

「諦める」の対義語

「諦める」の対義語・反対語としては、長時間根気よく頑張ることを意味する「粘る」があります。

「諦める」の類語

「諦める」の類語・類義語としては、希望が無いと思って辞めることを意味する「思い切る」、自分の希望などをきっぱりと諦めることを意味する「断念する」、諦めて状況を受け入れることを意味する「観念する」などがあります。

「割り切る」の例文

1.ここの勘定は人数で割り切ることができないので、少し多めに出すことにした。
2.組織の中で過ごすにあたって、嫌われても仕方ないと割り切ることも大切です。
3.同僚と性格が合わないが、仕事だけの関係だと思って割り切るしかない。
4.割り切る方法はたくさんあるので、自分にあったやり方を選ぶのがいいと思う。
5.仕方ないと割り切ることができない、頑固な性格を直したいと考えています。
6.個人的に良いと思えない商品でも、それを売ることが私の仕事なのだと割り切ってしまえば、案外スラスラとセールストークが出てきた。
7.この仕事が本当に自分に向いているのかどうかなんてわからなかったが、とりあえずせっかく入社できたのだからと割り切って働いているのだった。
8.フリーランスとして毎日時間がない中で、仕事は仕事、家事は家事と割り切って考えることで、公私混同せずに時間管理が出来ると思っている。
9.わたしは自分が心の底から納得しないと何事も行動できない性格なので、世間でありがちな割り切った考えを持てず結果としてグズグズしてしまうのだ。
10.もしわたしがこの店の客だったら、こんな質の悪いものは食べたくないが、きっとこの店は商売のためと割り切って売っているのだなと思った次第である。

この言葉がよく使われる場面としては、未来のために自分の意に叶うものではない現状を受け入れることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、割り算で余りを出さずに割ることの意味を表現したい時にも使います。

例文1は、割り算で余りを出さずに割ることの意味で使っています。また、例文2から例文5は、未来のために自分の意に叶うものではない現状を受け入れることの意味で使っています。

「諦める」の例文

1.もう30歳になるので、今年の司法試験に受からなかったら、この道は諦めることにした。
2.大型台風が上陸しそうなので、外に飲み行くのを諦めることにしました。
3.親が医者なので医学部を志望していたが、模試の結果が悪かったので諦めるべきか悩んでいる。
4.世の中には諦めるしかないことがたくさんあると思うが、選択肢は一つではないので落ち込まずに頑張ろう。
5.諦めることが良い場合もありますが、人生諦めてばかりではいけません。
6.久しぶりの家族揃っての温泉旅行だったが、前日から子どもが高熱を出し、今回ばかりは諦めるより他なかった。
7.彼は中学の頃からスポーツも出来て、成績も優秀で、将来は有望とされていたが、家庭が貧しかったため、大学進学を諦めざるを得なかったのだ。
8.友人たちはわたしに人生諦めが肝心と慰めてくれていたが、本当はわたしが抜け駆けして成功してほしくなかったのではないかと思うようになったのだ。
9.わたしはどんなに辛いことがあろうとも歌手になる夢を諦めるという選択肢はいつでもできるとして、一生懸命頑張ろうと自分に発破をかけ続けていた。
10.彼は他より能力が優れていたのも拘わらず、ちょっと困難に立ちはだかるとすぐになんでも諦めてしまう癖があり、せっかくの才能が実にならなかったのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、希望や見込みがないと思って辞めることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、マイナスなイメージで使われることが多い言葉です。

「割り切る」と「諦める」どちらを使うか迷った場合は、未来のために自分の意に叶うものではない現状を受け入れる時は「割り切る」を、希望や見込みがないと思って辞める時は「諦める」を使うと覚えておきましょう。

また、「割り切る」はポジティブな意味で使う言葉で、「諦める」はネガティブな意味で使う言葉になります。もし、先のことを見据えて「諦める」場合は、それは「諦める」ではなく、「割り切る」です。

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