似た意味を持つ「恫喝」(読み方:どうかつ)と「脅迫」(読み方:きょうはく)と「恐喝」(読み方:きょうかつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「恫喝」と「脅迫」と「恐喝」という言葉は、脅すことという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
恫喝と脅迫と恐喝の違い
恫喝と脅迫と恐喝の意味の違い
恫喝と脅迫と恐喝の違いを分かりやすく言うと、恫喝は大声で怒鳴り脅すことを表す時に使い、脅迫は脅して行動を強制させることを表す時に使い、恐喝は脅して金品を脅し取ることを表す時に使うという違いです。
恫喝と脅迫と恐喝の使い方の違い
恫喝という言葉は、「職場で上司に恫喝される後輩が心配だ」「いくら仕事が出来る人であっても他を恫喝するのは間違っている」などの使い方で、大声を出して人を脅し、恐れさせることを意味します。
脅迫という言葉は、「脅迫じみた発言が多いことから先輩は上司に注意された」「脅迫されたが怖くて言い出せない」などの使い方で、相手を脅しつけることを意味します。
恐喝という言葉は、「新たな恐喝の方法が増える」「オレオレ詐欺も恐喝の一種である」などの使い方で、相手の弱みにつけこんで脅すことを意味します。
恫喝と脅迫と恐喝の使い分け方
恫喝と脅迫は相手を怖がらせて脅すことを意味しますが、前者は言葉だけを使うのに対し、後者は暴力など害を加えることを告知することや、実際に害を加えることで自分の言うことを聞くようにするという意味が含まれています。
一方の恐喝は、相手の弱みを握って脅すことだけではなく、金銭などを脅し取ることも意味します。身代金を要求する脅迫があるように、脅迫という言葉も金銭を脅し取る行為を表すことができますが、脅迫は他の行為を強制させることも表すことができます。
また、脅迫罪と恐喝罪は存在しますが、大きな声を出して脅すといった恫喝罪は存在しません。これらが恫喝、脅迫、恐喝の明確な違いです。
恫喝の意味
恫喝とは
恫喝とは、人を脅して恐れさせることを意味しています。
表現方法は「恫喝する」「恫喝を受ける」「恫喝される」
「恫喝する」「恫喝を受ける」「恫喝される」などが、恫喝を使った一般的な言い回しです。
恫喝の使い方
恫喝を使った分かりやすい例としては、「恫喝するような人は基本的に小心者だから気にする必要はない」「店長から理不尽な恫喝を受けるようになったので本部にメールした」「見ず知らずの人から突然恫喝される事件が増えてきた」などがあります。
恫喝を使った言葉として、「恫喝訴訟」「恫喝外交」があります。
「恫喝訴訟」の意味
一つ目の「恫喝訴訟」とは、勝つ見込みがないのにも関わらず、自分たちを批判した相手に対して威圧する目的で起こす訴訟のことで、スラップ訴訟とも呼ばれています。有名な衣料品会社や外食産業で事業展開をしている企業など身近な会社も行っています。
当事者からすると納得がいかない理由で裁判が起こされることによって、相手への批判や意見をするのがだんだん面倒になってきます。威圧が目的であるため、仮に敗訴したとしても嫌がらせができていれば目的は達成したといえます。
「恫喝外交」の意味
二つ目の「恫喝外交」とは、相手を脅す外交を意味する言葉です。過去にも砲艦外交と呼ばれていた外交方法があり、交渉において軍艦など軍事力による威嚇などを間接的に使うことで相手の政府に国家意思を示して圧力をかけることで、事を有利に運びます。
恫喝の類語
恫喝の類語・類義語としては、強い力や勢いで脅かすことを意味する「脅威」、あることをするように無理に要求することを意味する「強迫」があります。
脅迫の意味
脅迫とは
脅迫とは、相手にあることをさせようと脅しつけることを意味しています。
表現方法は「脅迫する」「脅迫される」「脅迫された」
「脅迫する」「脅迫される」「脅迫された」などが、脅迫を使った一般的な言い回しです。
脅迫の使い方
脅迫を使った分かりやすい例としては、「退職したい社員を脅迫するようなブラック企業も存在する」「部下の女性にセクハラだと脅迫された」などがあります。
脅迫を使った言葉として、「脅迫罪」「脅迫状」があります。
「脅迫罪」の意味
一つ目の「脅迫罪」とは、人を脅して怖がらせる犯罪を指します。ただし、対象が恐怖を感じたかが基準になるのではなく、一般的に見て恐怖を感じるようであれば脅迫罪の対象になり得ます。そのため、脅迫罪に未遂という状態はありません。
例えば、命はないなど自分や身内の生命を脅かすような発言、痛い目に遭わせるなど自分の身体に危害を及ぼすような発言、帰れると思うななど自由を奪うような発言などが該当するため、小さな喧嘩が大きな事件になる可能性もあります。
「脅迫状」の意味
二つ目の「脅迫状」とは、人物や団体に対して一方的に要求を押し付け、万が一その要求に応じなかった場合、爆弾を起動させるなどの破壊的行為などを行うと宣言して対象を脅すような文書を指します。
例えば、誘拐した子どもを返す代わりに金銭を要求したり、イベントの中止を求めて爆破予告を出すなど様々な事例があり、大学に対する爆破予告もこれに該当します。最近は手紙ではなくメールや掲示板が使われることもあるため、脅迫文とも言われます。
脅迫の類語
脅迫の類語・類義語としては、威力を示して相手を脅し従わせようとすることを意味する「威迫」、無理に頼むことを意味する「強請」があります。
恐喝の意味
恐喝とは
恐喝とは、相手の弱みなどに付け込んで脅すことを意味しています。
表現方法は「恐喝する」「恐喝される」「恐喝まがいな発言」
「恐喝する」「恐喝される」「恐喝まがいな発言」などが、恐喝を使った一般的な言い回しです。
恐喝の使い方
恐喝を使った分かりやすい例としては、「人の弱みにつけ込んで恐喝するような男は少なからずいる」「自分の息子から恐喝されるなんて夢にも思わなかった」「恐喝まがいな発言をする上司をなんとかしてほしい」などがあります。
「恐喝罪」の意味
恐喝を使った言葉として、「恐喝罪」があります。これは、暴力や脅迫によって金銭やその他の価値あるものを脅し取る犯罪を指します。単なる威圧感を与えるだけでは脅迫に該当しませんが、威圧して金銭を奪い取るカツアゲは恐喝に該当します。
恐喝罪と脅迫罪の違いは、前者が被害者から金銭やその他の財が加害者に渡った時に成立し、後者は危害を加えるといった宣言や告知で脅すだけで成立する点です。そのため、脅迫罪よりも恐喝罪の方が罰が重く設定されています。
また、恐喝罪は、実際金品授受がなされなかった場合も恐喝未遂として罰されます。ただし、恐喝未遂は調査によって脅迫罪として扱われることもあり、その場合には罪が脅迫未遂罪の時よりもやや軽くなります。
恐喝の類語
恐喝の類語・類義語としては、おどしつけて恐れさせることを意味する「恐嚇」(読み方:きょうかく)、威力をもって脅すことを意味する「威嚇」があります。
恫喝の例文
この言葉がよく使われる場面としては、言葉で相手を怖がらせ脅すことを意味する時などが挙げられます。
何か行為を強制したり、金品を要求するわけではないので、上の例文の恫喝を脅迫や恐喝に置き換えて使うことはできません。
脅迫の例文
この言葉がよく使われる場面としては、害を加えることを告知したり暴力で相手を脅すことを意味する時などが挙げられます。
例文1の「脅迫まがい」とは、脅迫のようなということを意味する表現です。
恐喝の例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手の弱みや秘密につけこんで脅すことを意味する時などが挙げられます。
例文2の「恐喝まがい」とは、恐喝のようなということを意味する表現です。「脅迫まがい」とほとんど同じ意味ですが、金銭やその他のものに関することをいう場合にはどちらを使っても間違いではありません。
恫喝と脅迫と恐喝どれを使うか迷った場合は、言葉で脅すことを表す場合は「恫喝」を、脅して行動を強制することを表す場合は「脅迫」を、金品を脅し取ることを表す場合は「恐喝」を使うと覚えておけば間違いありません。