似た意味を持つ「作業」(読み方:さぎょう)と「仕事」(読み方:しごと)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「作業」と「仕事」という言葉は、どちらも「何かを成し遂げるための行為」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
作業と仕事の違い
作業と仕事の違いを分かりやすく言うと、作業とは明確な目標を持たずに行うもの、仕事とは明確な目標を持って行うものという違いです。
一つ目の作業を使った分かりやすい例としては、「ストレッチ素材の作業ズボンが欲しい」「作業療法士を目指せる大学に行きたいです」「AIを活用した作業分析システムを導入しました」「流れ作業にならないように気をつけてください」などがあります。
二つ目の仕事を使った分かりやすい例としては、「学級委員の主な仕事はクラスをまとめることです」「将来は英語を使う仕事に就きたいです」「今年の仕事納めは何日ですか」「仕事ができない人は時間の使い方が下手なのだろう」などがあります。
作業と仕事という言葉は、どちらも何かを作り出すための行為や成し遂げるための行為を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
作業とは、何かを作り出すことを意味し、特に、ある目的や計画のもとで体や頭を使って行うことを意味します。「単純作業」「流れ作業」のような使い方で、主体的な目標を持たずに、与えられた指示に沿って何かを行う場合に使われることが多い言葉です。
仕事とは、「学級委員の仕事」の使い方で何かを成し遂げる行動を意味したり、「英語を使う仕事に就く」の使い方で生計を立てる手段として従事する職業を意味します。仕事は、明確な目標や目的を持つような能動的なニュアンスを伴う言葉です。
つまり、作業とは明確な目標を持たずに行うことを指す場合に使われ、仕事とは明確な目標や目的を持って行うことを表すことに使用される言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
作業も仕事も英語にすると「work」「job」となり、例えば上記の「救助作業」を英語にすると「rescue work」となります。
作業の意味
作業とは、仕事、仕事をすること、特に一定の目的と計画のもとに身体または知能を使ってする仕事を意味しています。
作業を使った分かりやすい例としては、「作業手順書の英語版を作成する」「作業環境測定士試験の難易度を教えてください」「作業員のイラストをダウンロードする」「おしゃれな作業着をワークマンで買いました」などがあります。
その他にも、「作業療法士の年収はどれぐらいですか」「音楽を聴きながら作業をする」「オリジナルの作業用BGMを編集しました」「折りたたみ式の作業台を探しています」「近くの作業着屋には大きいサイズがありません」などがあります。
作業の「作」は訓読みで「つくる」と読み、ある行為をすることや物を作りあげることを表します。生活のために行う仕事を表す「業」と結びつき、作業とは、仕事をすることを意味します。特に、身体や知能を使って一定の手順に従って仕事をすることを指す言葉です。
作業を用いた日本語には「作業療法士」があります。作業療法士とは、リハビリテーションの一つである作業療法を行なう専門職であり、国家資格を必要とします。医師の指導のもと、工作や家事といった作業を通じて、身体の回復や精神状態の改善などを図り、社会的適応能力を回復させる仕事です。
作業の対義語・反対語としては、仕事や運動などを一時やめて休むことを意味する「休憩」などがあります。
作業の類語・類義語としては、収入を得る目的で体や知能を使って働くことを意味する「労働」、報酬を受ける目的で行う労働勤務を意味する「労務」、身体を動かして課せられた役務をすることを意味する「労務」、機械などを動かして作業をすることを意味する「操業」などがあります。
仕事の意味
仕事とは、何かを作り出す、または、成し遂げるための行動を意味しています。
その他にも、「生計を立てる手段として従事する事柄、職業」「したこと、行動の結果、業績」「悪事をしたり、たくらんだりすること、しわざ、所業」「力学で、物体が外力の作用で移動したときの、移動方向への力の成分と移動距離との積」の意味も持っています。
「心配事があって仕事が手に付きません」の文中で使われている仕事は「何かを作り出すための行動」の意味で、「今や仕事探しはアプリやネットが主流です」「疲れて仕事に行きたくない」「同僚から仕事を辞めたいと相談された」などの文中で使われている仕事は「職業」の意味で使われています。
一方、「偉大な仕事を成し遂げる」の文中で使われている仕事は「行動の結果や業績」の意味で、「これは真人間には出来ない仕事だ」の文中で使われている仕事は「所業」の意味で、「仕事率の求め方を教えてください」の文中で使われている仕事は「力学用語」の意味で使われています。
仕事とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。仕事の「仕」は「する」の当て字で、動作や行為などを行うことを表し、「事」は特定の行為や用件を表す漢字です。
仕事を用いた日本語には「仕事率」があります。仕事率とは、力学で単位時間あたりになされる仕事の量を意味し、「工率」「出力」とも呼ばれるものです。単位はMKS単位でワット、また実用単位で馬力などが用いられます。
仕事の対義語・反対語としては、仕事や職業としてでなく個人が楽しみとしてしている事柄を意味する「趣味」などがあります。
仕事の類語・類義語としては、生活のための職業を意味する「生業」、生活を営むための仕事を意味する「なりわい」、生活の基盤になっている仕事を意味する「商売」、職業や事業などに関して継続して行う仕事を意味する「業務」、職業や事業を意味する「ビジネス」などがあります。
作業の例文
この言葉がよく使われる場面としては、体や頭脳を使って仕事をすること、特に製作や操作の仕事を表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文4にある作業と業務の違いは、作業とは具体的なタスクや手順を指しますが、業務とは組織内としての職務や作業を指す点にあります。
仕事の例文
この言葉がよく使われる場面としては、すること、しなくてはならないこと、生計をたててゆくための職、ふつうでない行動をおこすこと、悪事を働いたりたくらんだりすること、針仕事や裁縫、力学で物体に力を作用させその位置を移動させることを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「仕事納め」とは、その年の仕事を終える日を意味します。反対の意味を持つ言葉は「仕事始め」であり、新年になって初めて仕事をする日を指します。
作業と仕事という言葉は、どちらも「何かを成し遂げるための行為」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、明確な目標を持たずに行うものを表現したい時は「作業」を、明確な目標を持って行うものを表現したい時は「仕事」を使うようにしましょう。