【餞別】と【はなむけ】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「餞別」(読み方:せんべつ)と「はなむけ」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「餞別」と「はなむけ」という言葉は、どちらも金品を贈ることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「餞別」と「はなむけ」の違い

「餞別」と「はなむけ」の意味の違い

「餞別」と「はなむけ」の違いを分かりやすく言うと、「餞別」とは金品を贈る場合にのみ使う、「はなむけ」とは言葉などの金品以外も贈る場合にも使うという違いです。

「餞別」と「はなむけ」の使い方の違い

一つ目の「餞別」を使った分かりやすい例としては、「海外へ引っ越す友人に餞別を贈る」「寿退社する部下に餞別を渡す」「お別れのしるしとして餞別を贈る」「餞別に何を贈っていいか分かりません」「人に餞別を贈る」「お世話になった上司に餞別を渡す」などがあります。

二つ目の「はなむけ」を使った分かりやすい例としては、「はなむけの言葉を贈る」「はなむけの言葉がでてきません」「海外へ転勤する友人にはなむけを贈る」「栄転する同僚にはなむけの言葉を贈る」などがあります。

「餞別」と「はなむけ」の使い分け方

「餞別」と「はなむけ」はどちらも金品を贈ることを意味する言葉ですが、厳密な使い方に違いがあるので注意が必要です。

「餞別」は別れのしるしとして金品を贈る場合にのみ使うのに対して、「はなむけ」は金品だけではなく記念品や感謝の言葉を贈る場合にも使えるというのが違いになります。

「餞別」と「はなむけ」の英語表記の違い

「餞別」も「はなむけ」も英語にすると「farewell gift」「parting gift」となり、例えば上記の「人に餞別を贈る」を英語にすると「send a person a parting gift」となります。

「餞別」の意味

「餞別」とは

「餞別」とは、転勤や転居などをする人に別れのしるしとして金品を贈ることを意味しています。

表現方法は「餞別を贈る」「餞別を渡す」「餞別をいただく」

「餞別を贈る」「餞別を渡す」「餞別をいただく」「お餞別」などが、「餞別」を使った一般的な言い回しになります。

「餞別」の使い方

「餞別」を使った分かりやすい例としては、県外へ転勤する同僚に餞別を贈る」「お隣さんが引っ越すので餞別を贈る」「退職する上司に餞別を贈る」「お世話になった先生に餞別を渡す」「君に私たちから餞別があります」などがあります。

「餞別」は引っ越し、退職、転勤など様々な場面で使うことができる言葉ですが、贈り物としては現金を贈ることが定番になっています。また、「餞別」は基本的にお返しや返礼の風習はないと覚えておきましょう。

個人的に退職者へ送る「餞別」の一般的な額は、同僚への場合は三千円から一万円、上司への場合は五千円から二万円と言われています。また、現金を贈ることに抵抗がある場合はカタログギフトや商品券を贈ることも可能です。

「餞別」の類語

「餞別」の類語・類義語としては、別れる人へのはなむけのことを意味する「手向け」(読み方:たむけ)、人に贈るプレゼントのことを意味する「贈り物」、別れて行く人への贈り物のことを意味する「送別品」などがあります。

「はなむけ」の意味

「はなむけ」とは

「はなむけ」とは、旅立ちや門出を祝って別れて行く人に金品や言葉を贈ることを意味しています。

表現方法は「はなむけを贈る」「はなむけをいただく」「はなむけの品」

「はなむけを贈る」「はなむけをいただく」「はなむけを渡す」「はなむけの品」などが、「餞別」を使った一般的な言い回しになります。

「はなむけ」の使い方

「はなむけ」を使った分かりやすい例としては、「退職する上司にはなむけの言葉を贈る」「卒業生に向けてはなむけの歌を歌う」「引っ越しをする友人にはなむけを渡す」「海外に転勤する部下にはなむけを贈る」「新郎新婦へはなむけの言葉を贈る」などがあります。

「はなむけ」は旅立ちや門出を祝って別れて行く人に金品や言葉を贈ることを意味しており、主に結婚式、卒業式、送別会などで使われる言葉です。

「はなむけ」の由来

「はなむけ」は「馬の鼻向け」という言葉が変化したのが由来になります。昔は今とは違い旅行には危険が付き物で、無事に帰って来ないことも多かったそうです。そのため、旅立つ人の馬の鼻を行く先の方向に向けて見送ることで安全や無事を祈るという習慣がありました。

この「馬の鼻向け」という行為が転じて「はなむけ」という言葉になりました。また、「馬の鼻向け」という言葉は、「伊勢物語」や「土佐日記」でも使われている記録があります。

「はなむけ」の漢字表記

「はなむけ」を漢字にすると「餞」や「贐」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。

「はなむけ」をお葬式で使うのには適していない

「はなむけ」を使う上で注意しなければならいのは、お葬式で使うのには適していないという点です。完全に誤用というわけではないのですが、あまりおめでたい場面ではないので「はなむけ」ではなく神仏や死者の霊に物を供えることを意味する「手向け」を使うようにしましょう。

「はなむけ」の類語

「はなむけ」の類語・類義語としては、励まして奮い立たせることを意味する「激励」、後々まで思い出として残しておくために作成された物品のことを意味する「記念品」などがあります。

「餞別」の例文

1.海外へ転勤する同僚に餞別を贈るために、デパートへ足を運びました。
2.仲が良かったママ友が、旦那さんの転勤で引っ越すらしいので餞別を贈る。
3.結婚して主夫になる部下に餞別を渡したら、とても喜んでくれました。
4.学生時代とてもお世話になった恩師が定年退職を迎えるので、餞別を贈ることにしました。
5.来月いっぱいで会社を辞めることを伝えたら、たくさんの餞別を貰いました。
6.お世話になった上司に餞別を送ろうと思い、同じ部署の人たちに声を掛けたが、それをどこから聞きつけたのか他の部署の人たちからも集まったのは、上司の人柄の良さを感じさせた。
7.今年度をもって退職する上司たちは社員一同から餞別の花束やらプレゼントやらを渡されて、大粒の涙を流していた。
8.家庭の事情で大学をやめなければならない友人に、少しばかりの餞別を渡したいと思い、皆と話し合っているところだ。
9.餞別に対して何かお返しをする風習がないのは、むかしの別れというのはもう二度と会えないくらいの重みがあったからではないか。
10.お世話になった先生に餞別を渡しに行ったら、反対に手に入らないような貴重な本をプレゼントしていただいたので思わず恐縮してしまった。

この言葉がよく使われる場面としては、転勤や転居などをする人に別れのしるしとして金品を贈ることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、「餞別」は金品を贈る場合にしか使いません。

「はなむけ」の例文

1.見事本社への栄転を決めた部下に対して、はなむけの言葉を贈る。
2.結婚をするので会社を辞めることを伝えたら、上司からはなむけの言葉を貰いました。
3.拙い挨拶ではございましたが、これをもちまして私から卒業生へのはなむけの言葉とさせていただきます。
4.海外へ引っ越す友人にはなむけを贈ったら、とても喜んでくれました。
5.お世話になった先生が退職するという噂を聞いたので、はなむけを贈ることにしました。
6.きみが私との別れを惜しんで流してくれただろうその涙が、他のどのはなむけの品よりも嬉しくて、私は今胸がいっぱいだよ。
7.父親は反対を押し切って上京するわたしを無言で送り出してくれたが、今思えば何も言わないことがいちばんのはなむけだったのかもしれない。
8.卒業式では在校生たちが卒業生へのはなむけとして合唱をしていたが、すぐに卒業生の親御さんの目頭が熱くなっているのが分かった。
9.海外に転勤する同僚に向けてはなむけとして、きっと和食が恋しくなるだろうから、梅干しやらかつお節やらの日本の食材セットを贈ることにした。
10.友人はわたしたちの結婚へのはなむけとして曲を作ってくれたのだが、それが彼のメジャーデビューのきっかけになるとは思ってもみなかったのだった。

この言葉がよく使われる場面としては、旅立ちや門出を祝って別れて行く人に金品や言葉を贈ることを表現したい時などが挙げられます。

例文1から例文3の「はなむけ」は言葉を贈っており、例文4と例文5の「はなむけ」は金品を贈っています。

「餞別」と「はなむけ」はどちらも金品を贈ることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、金品だけしか贈らないのが「餞別」、言葉などの金品以外も贈るのが「はなむけ」と覚えておきましょう。

言葉の使い方の例文
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