同じ「あしもと」という読み方の「足元」と「足下」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「足元」と「足下」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
足元と足下の違い
足元と足下の意味の違い
足元と足下の違いを分かりやすく言うと、足元は足が地についている周辺を表現する時に使い、足下は足が地についているところのみを表現する時に使うという違いです。
元と下の意味の違い
足元の元は、根のある部分や根のあたりを意味する「根元」という言葉にも使われるように、足元の場合も足がある周辺を意味します。
一方、足下の下は空間的位置関係の低い方を表す漢字であるため、足の接地している箇所を意味します。
足許と足元の違い
人間の「あしもと」を意味する言葉としては、常用漢字表の音訓にはない「足許」を含めてどれを使っても問題ありません。ただし、住宅建設における土台と床を張るために必要になる根太(読み方:ねだ)までの部分を表す際には「足元」を使います。
また足下は、手紙の宛名に書き添えて「そっか」と読むこともあります。この読み方の場合は意味が大きく異なるため注意しましょう。
足許と足元の慣用句
ちなみに足元と足下、どちらでも使うことが出来る慣用句は多くありますが、その中でも、相手のすきをついて失敗させるという意味で使われる「足元(足下)をすくう」「足元(足下)をすくわれる」という慣用表現は本来の言い方ではありません。
他の「足元」や「足下」を使った慣用句では、足そのものではなくその人の立場や立ち位置を指すことが多いため、足をそのものを掬わねば転ばすことはできないところから、「足をすくう」「足をすくわれる」という表現が正しい表記となります。
足許と足元の英語表記の違い
足元も足下も英語にすると「one’s feet」「step」「footing」となり、例えば「足元に気を付けてください」を英語にすると「Watch your step」となります。
足元の意味
足元とは
足元とは、足が地についているところやその周りを意味しています。
足元を使った言葉として、「足元が軽い」「足元を見る」「足元にも及ばない」があります。
「足元が軽い」の意味
一つ目の「足元が軽い」とは、喜びなどで歩くときの足の運びが弾むように軽快な様子を意味する言葉で、「足どりが軽い」とも言い換えることができる慣用句です。
「足元を見る」の意味
二つ目の「足元を見る」とは、相手の弱点を見抜いて利用したり、弱みに付け込むことを意味する慣用句です。「足元に付け込む」「足元を見て付け上がる」という慣用表現も同じ意味を持ちます。
昔は人を運ぶ駕籠(読み方:かご)や荷物を運ぶ馬方(読み方:うまかた)などが旅人の履物や足の疲労具合を見て、疲れた客に高い料金を要求していたことが「足下を見る」や「足下に付け込む」などの由来となっている言葉です。
また、今日では「足元価格」という言葉もありますが、これは「足元を見た価格」のことで、買う側の弱みに付け込んで平常時よりも高く設定された価格を意味する言葉です。
「足元にも及ばない」の意味
三つ目の「足元にも及ばない」とは、相手が優れていて比べることもできないという意味の慣用句です。「足元へも寄り付けない」という慣用句も同じ意味を持ちます。
足元の対義語
足元の対義語・反対語としては、手の届くあたりや自分のそばを意味する「手元」があります。
足元の類語
足元の類語・類義語としては、歩く時の足の運び方を意味する「足取り」、難しいところや避難するべきところを意味する「難点」、落ち目や他人に悪く見える点を意味する「悪目」(読み方:あくめ)、などがあります。
足元の元の字を使った別の言葉としては、もとの形態や位置に戻すことを意味する「復元」、1年の最初の日を意味する「元日」、商品を仕入れたときの値段を意味する「元値」、出生や出自、経歴などの事柄を意味する「身元」などがあります。
足下の意味
足下とは
足下とは、足の接地面や足の下部を意味しています。
足下の読み方
足下は「そっか」と読む場合もありますが、この場合は相手の足もとやあなたのそばという意味となり、手紙の脇付に使われる言葉となります。
脇付(読み方:わきづけ)とは、手紙を送る際に相手の宛名に書き添えることで敬意を示す言葉のことで、差出人の性別や手紙を送る相手によって使い分けられます。上の「足下」は、男性が一般の人に対して手紙を送る際に使う脇付です。
ただし、哲学者ニーチェの言葉に「足下に泉あり」「足下を掘れ、そこに泉あり」などと訳される言葉がありますが、ここでの足下は「そっか」と読みます。
「足下に泉あり」とは、自分の足下を掘り続けることで泉を見つけるというところから、自分の強みや自分にとって価値のあるものは身近なところにあることを意味する言葉ですので、「足下」の意味は脇付のような敬意を示すものではありません。
足下を使った言葉として、「足下から鳥が立つ」と「足下に火が付く」があります。
「足下から鳥が立つ」の意味
一つ目の「足下から鳥が立つ」とは、身近なところで意外なことが突然起きることや急に思い立って慌しく行動を起こすことを意味する慣用句です。
鳥は巣の中にいるとき、人が近づいてもなかなか飛び立たないものの、ごく近くまで寄っていくと踏みつぶされると感じて急に飛び立ちます。その羽音に人間のほうが驚いてしまうことが由来となった言葉です。「足下から鳥が飛び立つ」ともいいます。
「足下に火が付く」の意味
二つ目の「足下に火が付く」とは、危険や都合の悪いことが身辺に迫っていることを意味する慣用句です。この言葉の類義語として、追い詰められた状態を意味する「尻に火が付く」という言葉もあります。
足下の類語
足下の類語・類義語としては、歩き方や足の動かし方のくせを意味する「足癖」、不十分なところを意味する「欠点」、劣っているとこや他人に対して後ろめたいと思っているところを意味する「弱み」、苦手な人物や事柄を意味する「鬼門」などがあります。
足下の下の字を使った別の言葉としては、身に近いところや父母など保護してくれる人のそばを意味する「膝下」(読み方:ひざもと)全体を一つの勢力としてまとめる指導的な人物や機関の下で支配をうける立場にあることを意味する「傘下」などがあります。
足元の例文
この言葉がよく使われる場面としては、足が地についている箇所やその周囲を意味する時などが挙げられます。
例文2の「足元の悪い中」とは、雨や雪で地面が歩きにくく汚れやすい状態を意味する言葉です。ビジネスシーンで多く使われ、例文2のような使い方で感謝や労わりを表す際に使います。
例文3の「足元を固める」とは、油断しないよう念入りに準備をすることを意味する慣用句です。「足場を固める」という言葉も同じ意味を持ちます。
例文5の「足元にも及ばない」は、相手が優れていて勝てる見込みがない様子を表す慣用句ですが、「適うわけがない」「適うはずがない」などの表現に言い換えることができます。
足下の例文
この言葉がよく使われる場面としては、足の下部や足取りを意味する時などが挙げられます。
例文5の「足下」は直近や最近を意味する言葉として使われているため、「足下の業績」は直近の業績と言い換えることができます。
足元と足下どちらを使うか迷った場合は、足があるところやその周辺を表す場合には「足元」を、足の接している地面を表す場合は「足下」を使うと覚えておけば間違いありません。