似た意味を持つ「聴講」(読み方:ちょうこう)と「受講」(読み方:じゅこう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「聴講」と「受講」という言葉は、どちらも「講義を受けること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
聴講と受講の違い
聴講と受講の意味の違い
聴講と受講の違いを分かりやすく言うと、聴講とは講義や講演を聴くこと、受講とは講義や講習などを受けることという違いです。
聴講と受講の使い方の違い
一つ目の聴講を使った分かりやすい例としては、「納入された聴講料は返金できません」「マーケティングの授業を聴講しました」「聴講生制度のある大学を教えてください」「ビジネス英語セミナーはどなたでも聴講可能です」などがあります。
二つ目の受講を使った分かりやすい例としては、「受講料は来週までにお振込みください」「オンライン授業を受講する」「お得に受講できるキャンペーンを実施中です」「開講にあたり受講者を若干名募集します」などがあります。
聴講と受講の使い分け方
聴講と受講という言葉は、どちらも講義を受けることや講習に出ることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
聴講とは、講義や会議あるいは説法などを聞くことを意味します。文字通り「聴く」ことに重きを置いた表現であり、大学の聴講生は正規の学生ではなく、特にある講義を受けることを許可されている者を意味します。聴講生は単位の取得を目的とせず、試験やレポート提出が不要な場合がほとんどです。
受講とは、講義や講習を受けることを意味し、知識やスキルを身に付けるための行為を表します。正規の大学生であれば、講義を受講して、要求されたレポート提出や試験などの基準を満たせば、履修した証明として単位が与えられます。
つまり、聴講とは聴くことに重きを置いた言葉であり、受講とは受けることに重きを置いた表現です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
聴講と受講の英語表記の違い
聴講を英語にすると「hearing」「admission」となり、例えば上記の「聴講料」を英語にすると「an admission-fee」となります。一方、受講を英語にすると「attending lecture」「taking a course」となり、例えば上記の「受講料」を英語にすると「course fee」となります。
聴講の意味
聴講とは
聴講とは、講義を聞くことを意味しています。
聴講の読み方
聴講の読み方は「ちょうこう」です。同じ読み方をする熟語に「兆候」や「長江」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
聴講の使い方
聴講を使った分かりやすい例としては、「聴講生になるために英語の試験を受けました」「聴講生に単位認定はありません」「聴講者にアンケートを実施する」「聴講生の学費はどれぐらいですか」などがあります。
その他にも、「聴講生として東大の授業を受けています」「英語教育プログラムの聴講者を募集します」「大学の聴講生制度について調べる」「専門学校のコースを聴講しながら英語も学べます」などがあります。
聴講の「聴」は訓読みで「きく」と読み、耳をすまして聞くことや聞き取ることを表す漢字です。学問を説き聞かせることを表す「講」と結びつき、聴講とは、講義や会議あるいは法話などを聞くことを意味します。
表現方法は「聴講制度」
聴講を用いた日本語には「聴講制度」があります。聴講制度とは、大学または他の高等教育機関において、学位取得や卒業を目的としないで、特定の学科目を選んで聴講する学生を受け入れる制度を言います。聴講生の資格や入学料、聴講料や単位認定の有無は、各大学で規定しています。
聴講の対義語
聴講の対義語・反対語としては、ある題目について大勢の人にわかりやすく講義をすることを意味する「講話」、大勢の人に向かってある題目に従って話をすることを意味する「講演」などがあります。
聴講の類語
聴講の類語・類義語としては、会議や公判などを許可を受けて静かに聞くことを意味する「傍聴」、CDや放送番組などをためしに聞くことを意味する「試聴」、説教や演説などを耳を傾けて聞くことを意味する「聴聞」などがあります。
受講の意味
受講とは
受講とは、講義や講習を受けることを意味しています。
受講の読み方
受講の読み方は「じゅこう」です。誤って「ずこう」「うこう」などと読まないようにしましょう。
受講の使い方
受講を使った分かりやすい例としては、「ビジネスマナー研修を受講する」「受講料の勘定科目を会計士に確認する」「受講料に消費税はかかりますか」「テンプレートを利用して受講証明書を作成しました」などがあります。
その他にも、「受講証明書を発行してもらいました」「受講生マイページにログインできません」「シニアでも中学英語講座の受講者になれます」「受講料は月単位で払っています」「受講料はインボイスの対象になりますか」などがあります。
受講の「受」は訓読みで「うける」と読み、差し出されたものを自分の方に取り入れることを表します。論じたり説き明かすことを表す「講」と組み合わさり、受講とは、講義や講習などを受けることを意味します。
上記の例文にある「受講料」とは、「授業料」とも呼ばれ、講義やセミナーあるいは資格試験などの授業を受けるために支払うお金のことです。受講料の勘定科目は目的によって異なり、「研修費」や「交際費」などに区分されます。
「受講を受ける」は誤用
受講を用いた誤った表現には「受講を受ける」があります。「受講を受ける」は、「頭痛が痛い」のような二重表現となるため誤用とされています。正しくは「受講する」「講義を受ける」などと言います。
受講の対義語
受講の対義語・反対語としては、講義し教授することを意味する「講授」、講義や講演を行うことを意味する「レクチャー」などがあります。
受講の類語
受講の類語・類義語としては、規定の学科や課程などを習い修めることを意味する「履修」、特定の学問や技術のみを専門に学ぶことを意味する「専修」、勉強して学問を身につけることを意味する「学修」などがあります。
聴講の例文
この言葉がよく使われる場面としては、講義を聴くことを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「社会人聴講生」とは、一般学生に向けて開講されている授業科目の一部を聴講する社会人や市民のことです。また、聴講と傍聴の違いは、聴講は授業を受ける当事者として聞くことですが、傍聴は話題の当事者でない人が許可を得て話を聞くことを指す点です。
受講の例文
この言葉がよく使われる場面としては、講習や講義を受けることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、受講の慣用的な言い回しには「受講する」「受講修了証」「受講者」などがあります。「受講者」とは、講義や講習を受ける人のことであり、「受講生」とも言います。
聴講と受講という言葉は、どちらも「講義を受けること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、単位取得を目的とせず講義を聴くことを表現したい時は「聴講」を、単位を取得するために講義を受けることを表現したい時は「受講」を使うようにしましょう。