似た意味を持つ「具現化」(読み方:ぐげんか)と「具体化」(読み方:ぐたいか)と「具象化」(読み方:ぐしょうか)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「具現化」と「具体化」と「具象化」という言葉は、形にして表すという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
具現化と具体化と具象化の違い
具現化と具体化と具象化の意味の違い
具現化と具体化と具象化の違いを分かりやすく言うと、具現化は目に見える状態にする時に使い、具体化はより認識されやすい状態にする時に使い、具象化は曖昧なものを明確にする時に使うという違いです。
具現化と具体化と具象化の使い方の違い
具現化という言葉は、「抱えている思いはいつか具現化されるはずだ」「理想を具現化した商品がようやく発売される」などの使い方で、具体的な形にして実現させることを意味します。
具体化という言葉は、「計画を具体化するために長い時間が必要だ」「具体化に向けて策を考えている」などの使い方で、抽象的で詳しい説明がなされていないものを具体的にすることを意味します。
具象化という言葉は、「目標の具象化を行い全体で共有する」「脳内のものを具象化するにはまだ足りないものがある」などの使い方で、形をはっきりとさせることを意味します。
具現化と具体化と具象化の使い分け方
具現化は実際に作り上げることや、具体的な計画にして現実に反映する場合に使い、具象化は脳内にある曖昧な考えやイメージをかき集めてはっきりとした姿や形を現す場合に使います。
脳内のイメージやアイデアを現実のものにする場合には具現化を使うことができますが、脳内でイメージを固める場合には使うことはできません。そのため、後者は具象化が使われます。
また、具現化は現実にはない状態や目に見えない状態から作り上げたり目に見える状態にすることを意味しますが、具体化はすでにあるものをより認識されやすい形にすることや、実際に動かしてみることを意味します。
そのため、具現化には具体化の意味が含まれることが多く、計画を一から具体的に作り上げる場合には具現化を、すでにある計画などを実行に移すなどの場合には具体化を使います。
これらが、具現化、具体化、具象化の明確な違いです。
具現化の意味
具現化とは
具現化とは、実際に具体的な形に現すことを意味しています。
アニメの能力「具現化系」の意味
具現化を使った言葉として、「具現化系」があります。これは、週刊少年ジャンプで連載されているマンガ『HUNTER×HUNTER』に登場する能力の一つで、何もないところから武器を作り出したり、建造物を作り上げるなど、脳内イメージを具現化させる能力です。
似たような力に錬金術があります。本来の錬金術は、18世紀にヨーロッパでようやく学問として認められた学問ですが、鉄や銅などの貴重ではない金属を貴重な金属に変えるだけでなく、不完全な物質から完全な物質を生み出そうとする場合も含みます。
現代ではファンタジーの要素として錬金術を題材としたマンガやアニメも多くあり、『鋼の錬金術師』では化学反応を起こし、既存の金属の形を変え、武器を具現化させたりする能力を指すなど、解釈は違えど世に広く流布されている技術です。
具現化の類語
具現化の類語・類義語としては、人には本来見えない現象やものを映像や図などにして分かりやすくすることを意味する「可視化」、考え方などを具体的な形で表したり身をもって実現することを意味する「体現化」があります。
具体化の意味
具体化とは
具体化とは、抽象的な事柄を実際に形にして表すことを意味しています。
表現方法は「具体化する」「具体化を図る」
「具体化する」「具体化を図る」などが、具体化を使った一般的な言い回しです。
「具体化検討会」の意味
具体化を使った言葉として「具体化検討会」があります。これは、会合やイベントなどが世界的な環境変化などを踏まえて現在の国の政策を実現するのに適切なのかや、その内容が具体的にイメージできるかなどの観点からイベントを行うかを定める検討会です。
万博や園芸に関する博覧会などは規模が大きいため検討会が行われ、テーマなどが具体化されていきます。
具体化の対義語
具体化の対義語・反対語としては、対象から重要な要素だけを抜き出した状態にすること「抽象化」があります。
具体化の類語
具体化の類語・類義語としては、哲学において概念的なものや抽象的なものを独立したものとして具体化することを意味する「実体化」、実際の事実や状態となってあらわれることを意味する「現実化」があります。
具象化の意味
具象化とは
具象化とは、形をはっきりとさせることを意味しています。
「具象化鏡」の意味
具象化を使った言葉として「具象化鏡」(読み方:ぐしょうかきょう)があります。これは、マンガ『ドラえもん』に出てくるひみつ道具の一つで、言葉で表現されたものが実際に見えるようになる機械です。
例えば、真っ赤なウソをつくた上でその道具を使えばその人の身体が真っ赤に染まったり、暗い人だと思って使えばその人の周りが暗くなるなどして、曖昧で目にしたこともないような表現が具象される道具です。
具象化の類語
具象化の類語・類義語としては、曖昧なものをはっきりとさせることを意味する「明確化」、人間でないものを人間に見立てて表現することを意味する「擬人化」があります。
具現化の例文
この言葉がよく使われる場面としては、具体的な形にすることを意味する時などが挙げられます。
例文1は具体的という言葉に置き換えて使うことができ、例文2であれば具体化に置き換えて使うことができます。ただし、例文3は一から作り上げることを前提としているため具体化は使うことができません。
具体化の例文
この言葉がよく使われる場面としては、抽象的なものを具体的にすることを意味する時などが挙げられます。
例文1の具体化は詳細を示すなどではなく、計画を実行に移すという意味で使っている言葉です。そのため、具現化や具象化を置き換えて使うことはできません。
具象化の例文
この言葉がよく使われる場面としては、曖昧なものをはっきりとさせることを意味する時などが挙げられます。
どの言葉もまとまりきっていないものや曖昧なものを表す言葉があるため、具象化しか使うことができません。
具現化と具体化と具象化どれを使うか迷った場合は、目に見える状態にすることを表す場合は「具現化」を、既存のものを実際に形にすることを表す場合は「具体化」を、姿や形を明確にすることを表す場合は「具象化」を使うと覚えておけば間違いありません。