似た意味を持つ「ノウハウ」と「ハウツー」と「メソッド」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ノウハウ」と「ハウツー」と「メソッド」という言葉は、方法という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
ノウハウとハウツーとメソッドの違い
ノウハウとハウツーとメソッドの意味の違い
ノウハウとハウツーとメソッドの違いを分かりやすく言うと、ノウハウは専門的な方法を表現する時に使い、ハウツーは実践的な方法を表現する時に使い、メソッドは体系的な方法を表現する時に使うという違いです。
ノウハウとハウツーとメソッドの使い方の違い
ノウハウという言葉は、「優秀な後輩にとってノウハウを理解するのに時間は掛からなかった」「ノウハウの継承を行わなければ衰退することもある」などの使い方で、専門的な技術やその蓄積を意味します。
ハウツーという言葉は、「ハウツー本を買う前にインターネットで検索してみる」「今日では様々なハウツーが出回っている」などの使い方で、実用的な方法や技術を意味します。
メソッドという言葉は、「その企業のメソッドは多くの人に親しまれた」「ケースメソッドによって応用がきくようになった」などの使い方で、体系的な方法や方式を意味します。
ノウハウとハウツーとメソッドの使い分け方
ハウツーとメソッドは、どちらも物事を行う方法を指す言葉ですが、前者は実践的な場面で使われ、後者はハウツーよりも論理的なものを指す場面で使われます。
一方、ノウハウも方法や技術を指す言葉ですが、より専門的なものを指す場合に使われ、ハウツーはノウハウという言葉に含まれます。
そのため、ハウツー<メソッド<ノウハウという順に、技法やその説明が難化していくため、ハウツーは初心者向けのものを指す場合に使われることが多い言葉です。
これが、ノウハウ、ハウツー、メソッドの明確な違いです。
ノウハウの意味
ノウハウとは
ノウハウとは、専門的な技術やその蓄積を意味しています。
その他にも、技術競争の有力な手段となり得る情報や経験も意味し、いわゆる秘訣などと言われることもあります。
表現方法は「ノウハウを身につける」「ノウハウがある」「ノウハウがない」
「ノウハウを身につける」「ノウハウがある」「ノウハウがない」などが、ノウハウを使った一般的な言い回しです。
ノウハウの語源
ノウハウは「know-how」や「knowhow」と表記される英語の読み方が、そのままカタカナ語として使われている言葉であるため、和製英語ではありません。日本では「ノーハウ」と表記されたり、読まれることもあります。
「ノウハウ保護基準条項」の意味
ノウハウを使った言葉として、「ノウハウ保護基準条項」があります。これは、1960年に、国際商業会議所によって作成されたもので、技術やそれを応用するための秘密の技術的知識や経験、そしてそれらの集積がノウハウであると定義しています。
特許やデザインなどのように登録しておく制度はありませんが、ノウハウは知的財産の一つとして扱われます。
ノウハウの類語
ノウハウの類語・類義語としては、あることをおこなうために技術的な能力を意味する「技能」、物事を取り扱ったり処理したりする時の方法を意味する「技術」、芸術の政策や表現における技術的な工夫を意味する「技巧」などがあります。
ハウツーの意味
ハウツーとは
ハウツーとは、実用的な方法や技術を意味しています。
表現方法は「ハウツー動画」「ハウツー本」「ハウツー記事」
「ハウツー動画」「ハウツー本」「ハウツー記事」などが、ハウツーを使った一般的な言い回しです。
ハウツーの語源
ハウツーは「how-to」と表記される英語の読み方を、そのままカタカナ語として使っている言葉で、本来の発音を忠実に再現した「ハウトゥー」と表記されることも稀にあります。
作業方法や手順に関する記述は、文字ができる前から、ことわざや寓話などを通して若い世代に口伝で伝わっていき、言語が書かれるようになってから文字で残されるようになりました。
徐々に生活の知恵といったものだけではなく、社会形成について書かれたプラトンの『国家』や、マキアヴェリの『君主論』などの著作も生まれることとなります。
今日では、絵画やパソコンなど趣味やビジネス上の業務に使えるようなハウツー本も存在し、携帯などで検索をしただけで情報が出る場合もあります。
ハウツーの類語
ハウツーの類語・類義語としては、物事のやり方を意味する「手法」、はかりごとや手段を意味する「方策」、決まっているやり方を意味する「定法」(読み方:じょうほう)、物の作り方を意味する「製法」などがあります。
メソッドの意味
メソッドとは
メソッドとは、体系的な方法や方式を意味しています。
メソッドを使った言葉として、「プロジェクト・メソッド」「ケースメソッド」があります。
「プロジェクト・メソッド」の意味
一つ目の「プロジェクト・メソッド」とは、20世紀初頭にアメリカの教育学者であるキルパトリックが提唱した学習指導形態の一つで、「構案法」「構案教授」「プロジェクト法」とも呼ばれます。
教員は支援を行うのみで、児童や生徒らが自分たちで計画を立て、その計画の評価までを行います。現実生活の中で問題を解決する活動を重視します。
「ケースメソッド」の意味
二つ目の「ケースメソッド」とは、事例や判例を参考にして、あらゆる事態に対応するための策を考え、答えを導き出す教育方法を指す言葉です。
似たような言葉に「ケーススタディ」がありますが、こちらは実際に起きた出来事などを参考に教わることを指すため、ケースメソッドで行われるような学習者による討論などの自発的な学習は含みません。
メソッドの類語
メソッドの類語・類義語としては、物事を行う手順を意味する「順序」、物事を行う時の正しい順序を意味する「筋道」、物事をする方法を意味する「仕様」、ある事を実現させるために取る方法を意味する「手段」などがあります。
ノウハウの例文
この言葉がよく使われる場面としては、専門的な技術やその蓄積を意味する時などが挙げられます。
ノウハウは、ハウツーやメソッドが表す内容とは難度が異なるため、置き換えて使うことはあまり適していません。
ハウツーの例文
この言葉がよく使われる場面としては、実用的な方法や技術を意味する時などが挙げられます。
例文2の「ハウツー本」や例文3の「ハウツー動画」など、その媒体と共に使われることが多い言葉です。
メソッドの例文
この言葉がよく使われる場面としては、体系的な方法や方式を意味する時などが挙げられます。
例文3の「オーラル・メソッド」とは、語学教育において発音や会話を中心に教授を行う方法で、動作や写真など目で見てわかるような教材を使ったり、適したシチュエーションが想定されます。
ノウハウとハウツーとメソッドどれを使うか迷った場合は、専門的な方法を表す場合は「ノウハウ」を、実践的な方法を表す場合は「ハウツー」を、体系的な方法を表す場合は「メソッド」を使うと覚えておけば間違いありません。