同じ「いたらない」という読み方の「至らない」と「到らない」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「至らない」と「到らない」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
「至らない」と「到らない」の違い
「至らない」と「到らない」の意味の違い
「至らない」と「到らない」の違いを分かりやすく言うと、「至らない」とは事態や物事などの物理的なもの以外にも使える、「到らない」とは場所や距離など物理的なものにしか使えないという違いです。
「至らない」と「到らない」の使い方の違い
一つ目の「至らない」を使った分かりやすい例としては、「まだまだ至らない点がありますがよろしくお願いします」「実行するに辺りそこまで考えが至りませんでした」「私が至らないばかりに皆様にご迷惑をおかけしました」などがあります。
二つ目の「到らない」を使った分かりやすい例としては、「私の足では30分で目的地へは到らなかった」「私の住んでる地域には台風が到らないだろう」などがあります。
「至らない」と「到らない」の使い分け方
「至らない」と「到らない」は同音でどちらも到達しないことという同じ意味を持つ言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「至らない」は「そこまでは考えが至らなかった」「大事に至らなくて良かった」などのように、事態や物事などの物理的なもの以外にも使うことができます。
一方、「到らない」は「台風が到らないだろう」「山頂へは到らなかった」のように、場所や距離など物理的なものにしか使えないというのが違いです。
そのため、「そこまで考えは到らなかった」や「大事に到らなくてよかった」などと置き換えることはできません。ただし、現代では区別している人が少なく、どちらの状況でも好きな方を使うという風潮になっています。
また、「至らない」は未熟であることの意味を思っており、「まだまだ至らない点がありますがよろしくお願いします」や「至らない点がありましたらご指摘いただければ幸いです」などのような使い方をするのが一般的です。
「至らない」と「到らない」の英語表記の違い
「至らない」も「到らない」も英語にすると「careless」「negligent」「incompetent」となり、例えば上記の「私が至らないばかりに皆様にご迷惑をおかけしました」を英語にすると「I have inconvenienced everyone through my carelessness」となります。
「至らない」の意味
「至らない」とは
「至らない」とは、未熟であることを意味しています。その他にも、到達していないことの意味も持っています。
表現方法は「至らない人間」「至らない嫁ですが」「至らない息子」
「至らない人間」「至らない嫁ですが」「至らない息子」「購入に至らない」「至らない点」「大事に至らない」「考えが至らない」などが、「至らない」を使った一般的な言い回しになります。
「至らない」の使い方
「至らない点も多い娘だがよろしくお願いします」「至らない点がありましたらご指摘いただければ幸いです」「私が至らないばかりにご心配をお掛けして申し訳ありません」などの文中で使われている「至らない」は、「未熟であること」の意味で使われています。
一方、「掲げた目標に至らなかった」「そこまで考えが至らなかった」「これだけ証拠があっても事件の解決に至らない」などの文中で使われている「至らない」は、「到達していないこと」の意味で使われています。
「至らない」はある目的地や場所に行き着くこと、ある段階や状態になることを意味する「至る」に否定を意味する「ない」が合わさり、未熟であることや到達していないことの意味している言葉です。
「至らない」は年賀状、スピーチ、祝いの場、謝罪など、日常生活とビジネスシーンのどちらの場面で使うことができます
「至らない」の類語
「至らない」の類語・類義語としては、ある状態や目的に行きつかないことを意味する「到達しない」、心を配ることが足りていないことを意味する「配慮に欠ける」、 細かいところにまで注意が及んでいないことを意味する「気が利かない」などがあります。
「到らない」の意味
「到らない」とは
「到らない」とは、ある場所まで到達していないことを意味しています。
「到らない」の使い方
「到らない」を使った分かりやすい例としては、「5時間もかかっているがまだ目的地までは到らない」「大型ハリケーンは私の住んでいる街には到らなかった」「途中で力尽きてしまったので山頂までは到らなかった」などがあります。
「到らない」はある目的地や場所に行き着くことを意味する「到る」に否定を意味する「ない」が合わさり、ある場所へ到達していないことの意味している言葉です。
「到らない」は「山頂までは到らなかった」「目的地までは到らない」のように、物理的な場所や距離にのみ使う言葉ですが、現代ではその定義があやふやになっており、「至らない」と同じ感覚で使う人が増えてきています。
また、「到らない」の「到」を「いたる」と読むのは表外音訓です。表外音訓とは、常用漢字表に載っている漢字なのですが、漢字表にはその読みがないことを意味しています。
「到らない」の類語
「到らない」の類語・類義語としては、目的地に行き着かないことを意味する「辿り着かない」、達することができないことを意味する「届かない」などがあります。
「至らない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、未熟であることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、到達していないことを表現したい時にも使います。
例文1から例文4の「至らない」は未熟であることの意味で使っており、例文5の「到らない」は到達していないことの意味で使っています。
「到らない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ある場所まで到達していないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「到らない」は物理的な場所や距離にのみ使います。
「至らない」と「到らない」は同音で似た意味を持つ言葉ですが、使い方が少し違います。どちらの言葉を使うか迷った場合、事態や物事などの物理的以外にも使えるのが「至らない」、場所や距離など物理的なものにしか使えないのが「到らない」と覚えておきましょう。