似た意味を持つ「禍根」(読み方:かこん)と「遺恨」(読み方:いこん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「禍根」と「遺恨」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
禍根と遺恨の違い
禍根と遺恨の意味の違い
禍根と遺恨の違いを分かりやすく言うと、禍根とは災いの原因を表し、遺恨とは災いで生じた恨みを表すという違いです。
禍根と遺恨の使い方の違い
一つ目の禍根を使った分かりやすい例としては、「天下騒乱の禍根を断つためにキリスト教を禁止した」「曖昧な態度では禍根を残すことになるでしょう」「交通事故の禍根を残さないよう円満解決を目指す」などがあります。
二つ目の遺恨を使った分かりやすい例としては、「主君の遺恨を晴らすべく攻め入った」「納得のいかない処遇に遺恨が残る」「遺恨を残さないようによく話し合いましょう」「あれこれ考えると遺恨なことばかりです」などがあります。
禍根と遺恨の使い分け方
禍根と遺恨という言葉は、漢字や言葉の響きが似ており、どちらもトラブルや災難に関して用いられています。「禍根を残す」「遺恨を残す」のように似た表現をする言葉ですが、意味や使い方には大きな違いがあります。
禍根とは、災いの起こるもとや原因を意味します。「根」は木の根っこを表し、物事の「原因」や「源」を指しています。「禍根を残す」とは、将来的に災難の元になる物事が消えずに存在していることを表します。
遺恨とは、忘れられずにいつまでも残る恨みを意味します。「恨」は訓読みで「うらむ」「うらめしい」と読み、不満に思って憤り憎む気持ちを表す言葉です。「遺恨を残す」とは、不満や嘆きなどが心の中にわだかまって、いつまでも消えないことを表します。
つまり、禍根は災いの原因であることに対して、遺恨は災いの後に生じる気持ちであるという違いがあります。
禍根と遺恨の英語表記の違い
禍根を英語にすると「source of calamity」「the root of future trouble」となり、例えば上記の「禍根を断つ」を英語にすると「eradicate the root of future trouble」となります。
一方、遺恨を英語にすると「grudge」「enmity」「gall」となり、例えば上記の「遺恨を晴らす」を英語にすると「wreak one’s grudge」となります。
禍根の意味
禍根とは
禍根とは、災いの起こるもとや原因を意味しています。
禍根の使い方
禍根を使った分かりやすい例としては、「禍根を残すような曖昧なルールではいけません」「このままでは禍根が残る恐れがあります」「拙速に事を進めると禍根を残すことになります」「将来に大きな禍根が残る」などがあります。
その他にも、「禍根を断つために契約を交わすことにした」「伝え方を誤って禍根を残すことになった」「ジョークは即興に限る、禍根を残せば嘘になる」「SNSの使い方が禍根となることがある」「不満や禍根を残さないよう規則を定める」などがあります。
禍根とは、災いの生ずる原因や、不幸な出来事が起こる根源を意味します。禍根の「禍」は訓読みで「わざわい」と読み、思いがけない災難を表します。「根」は、物事のもとや、おおもとを表します。
「禍根を残す」の意味
上記の例文にある「禍根を残す」とは、のちに問題を起こす原因になるような物事が残ることを意味する言い回しです。この意味を持つ四字熟語には、「放虎帰山」(読み方:ほうこきざん)があります。
禍根の対義語
禍根の対義語・反対語としては、残るものが何もないさまを意味する「すっきり」、煩わしさがなくなって気持ちが晴れるさまを意味する「清々」、反発しあっていたものが仲直りすることを意味する「和解」、争いをやめて仲直りすることを意味する「和睦」などがあります。
禍根の類語
禍根の類語・類義語としては、事件や騒動などの起こる原因となるものを意味する「火種」、心の中にこだわりとなっている重苦しく嫌な気分を意味する「わだかまり」、物事が片付いた後まで残るわだかまりを意味する「しこり」などがあります。
遺恨の意味
遺恨とは
遺恨とは、忘れがたい深い恨み、宿怨を意味しています。
その他にも、残念に思うことの意味も持っています。
遺恨の使い方
「遺産相続で家族間に遺恨が残る」「両国間に深い遺恨を残す議論となった」「パワハラ申請で遺恨を晴らすつもりです」「プロレスの遺恨試合に熱くなる」などの文中で使われている遺恨は、「忘れがたい深い恨み」の意味で使われています。
一方、「引退に際して遺恨はありません」「これまでの人生で遺恨に思うことは何ですか」「他界した親に対して遺恨がある」などの文中で使われている遺恨は、「残念に思うこと」の意味で使われています。
遺恨とは、上記の例文にあるように二つの意味を持っていますが、一般的には「忘れがたい深い恨み」の意味で用いられています。遺恨の「遺」は後に残ること、「恨」はうらめしいことを表す漢字です。
「遺恨が残る」の意味
上記の例文にある「遺恨が残る」とは、根深い恨みや忘れがたい恨みが、いつまでも残っている状態を表します。
遺恨の類語
遺恨の類語・類義語としては、他からの仕打ちを不満に思って憤り憎む気持ちを意味する「恨み」、恨むことや深い恨みの心を意味する「怨恨」、筋違いなことを理由に人を恨むことを意味する「逆恨み」、うらみに思う気持ちを意味する「怨念」、心残りであることを意味する「遺憾」などがあります。
禍根の例文
この言葉がよく使われる場面としては、災いの生ずる原因を表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「禍根を断つ」とは、災いの元凶となっているものをなくすこと、良くないことが生じている根本の原因をなくすることを意味する言い回しです。
遺恨の例文
この言葉がよく使われる場面としては、忘れられない憎しみ、心残りを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3の文中にある遺恨は、忘れられない憎しみの意味で用いられています。例文4や例文5の遺恨は、心残りや残念に思うことの意味で用いられています。
禍根と遺恨という言葉は、似ていますが意味は大きく異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合、災いが起こる原因を表現したい時は「禍根」を、忘れられない深い恨みを表現したい時は「遺恨」を使うようにしましょう。