似た意味を持つ「人畜無害」(読み方:じんちくむがい)と「毒にも薬にもならない」(読み方:どくにもくすりにもならない)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「人畜無害」と「毒にも薬にもならない」という言葉は、どちらも役に立たないことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「人畜無害」と「毒にも薬にもならない」の違い
「人畜無害」と「毒にも薬にもならない」の意味の違い
「人畜無害」と「毒にも薬にもならない」の違いを分かりやすく言うと、「人畜無害」の方が「毒にも薬にもならない」よりも一般的に使われているという違いです。
「人畜無害」と「毒にも薬にもならない」の使い方の違い
一つ目の「人畜無害」を使った分かりやすい例としては、「小さい子供がいるので人畜無害の洗剤を使っています」「彼は人畜無害の優しい人です」「弊社は人畜無害な人を採用するつもりはありません」「この肥料は人畜無害です」などがあります。
二つ目の「毒にも薬にもならない」を使った分かりやすい例としては、「部長はいつも毒にも薬にもならない話をする」「即戦力が欲しいので毒にも薬にもならない人は採用しません」「この本は毒にも薬にもならない」などがあります。
「人畜無害」と「毒にも薬にもならない」の使い分け方
「人畜無害」と「毒にも薬にもならない」はどちらも役に立たないことを意味しており、大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「人畜無害」の方が「毒にも薬にもならない」よりも一般的に使われているという点です。
また、「人畜無害」と「毒にも薬にもならない」は同じ意味を持つ言葉なので、お互いに置き換えることが可能となっています。
「人畜無害」と「毒にも薬にもならない」の英語表記の違い
「人畜無害」を英語にすると「Harmless to humans and animals」「neither good nor bad」となり、例えば上記の「この肥料は人畜無害です」を英語にすると「This fertilizer is harmless to humans and animals」となります。
一方、「毒にも薬にもならない」も英語にすると「serves no purpose」「pointless」となり、例えば上記の「この本は毒にも薬にもならない」を英語にすると「This book serves no purpose」となります。
「人畜無害」の意味
「人畜無害」とは
「人畜無害」とは、人や動物に対して害がないことを意味しています。その他にも、他に何の影響も及ぼさないような平凡で取り柄のない人のことの意味も持っています。
「人畜無害」の読み方
「人畜無害」の読み方は「じんちくむがい」です。誤って「にんちくむがい」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「人畜無害な人」「人畜無害な顔」「人畜無害の死に損ない」
「人畜無害な人」「人畜無害な顔」「人畜無害の死に損ない」などが、「人畜無害」を使った一般的な言い回しになります。
「人畜無害」の使い方
「彼女は人畜無害で誰に対しても優しい人です」「弊社の目玉商品は人畜無害の除草剤です」などの文中で使われている「人畜無害」は、「人や動物に対して害がないこと」の意味で使われています。
一方、「人畜無害な人とお付き合いしても楽しいことは何もありません」「彼は人畜無害なので出世することはないだろう」などの文中で使われている「人畜無害」は、「他に何の影響も及ぼさないような平凡で取り柄のない人のこと」の意味で使われています。
「人畜無害」は人や動物に対して害がないことと、他に何の影響も及ぼさないような平凡で取り柄のない人のことの二つの意味を持つ言葉です。
元々は人や動物に対して害がないことの意味で使われていたのですが、周りに害がないことに皮肉や侮蔑の意を込めて、他に何の影響も及ぼさないような平凡で取り柄のない人のことの意味で使われるようになりました。
したがって、人や動物に対して害がないことの意味は褒め言葉としてプラスのイメージで使いますが、他に何の影響も及ぼさないような平凡で取り柄のない人のことの意味は悪口としてマイナスなイメージで使う言葉になります。
分かりやすい例を挙げると、「彼は強面だが人畜無害なので一緒にいても安心です」「彼女とは初対面だったが、人畜無害なのですぐに仲良くなることができました」などがプラスのイメージでの使い方です。
一方、「人畜無害な人は一緒にいてもつまらないで結婚することはないだろう」「人畜無害な人を採用しないように人事部に働きかけました」などが、マイナスのイメージでの使い方になります。
また、人や動物に対して害がないことの意味は、人や動物に危害を加えることのない食品や薬品などの、物に対しても使うことが可能です。
「人畜無害」の類語
「人畜無害」の類語・類義語としては、役に立たない人や物のことを意味する「役立たず」、特に良くもなくまた悪くもないことを意味する「可もなく不可もなし」、平凡で取り柄のないことを意味する「凡庸」などがあります。
「毒にも薬にもならない」の意味
「毒にも薬にもならない」とは
「毒にも薬にもならない」とは、邪魔にもならないが大して役に立たないことを意味しています。
「毒にも薬にもならない」の使い方
「毒にも薬にもならない」を使った分かりやすい例としては、「先輩の話は毒にも薬にもならない」「弊社は毒にも薬にもならない人を採用する余裕はありません」「この本棚には毒にも薬にもならない本がたくさんある」などがあります。
「毒にも薬にもならい」は邪魔にもならないが大して役に立たないこと、つまり、あってもなくてもいい物や、居ても居なくても変わらない人のことを意味することわざです。したがって、基本的にマイナスなイメージで使う言葉になります。
「毒にも薬にもならない」の由来
「毒にも薬にもならない」の語源は「毒」と「薬」です。「毒」とは健康や生命を害するもののことを意味しており、人が飲み込むと健康に害を与えます。つまり、体に対して悪いものことを指しています。
一方、「薬」とは病気や傷の治療のために飲んだり塗ったりするもののことを意味しており、人が飲み込むと健康を維持することができます。つまり、体に対して役に立つもののことを指しています。
そして、この「毒」と「薬」のどちらにもならないということは、飲んでも全く役に立たないものということになります。このことが転じて、邪魔にもならないが大して役に立たないことを「毒にも薬にもならない」と言うようになりました。
「毒にも薬にもならない」の類語
「毒にも薬にもならない」の類語・類義語としては、問題とするに足りないことを意味する「屁でもない」、意味のないことを意味する「無意味」、面倒なことがないことを意味する「訳ない」などがあります。
「人畜無害」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人や動物に対して害がないことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、他に何の影響も及ぼさないような平凡で取り柄のない人のことを表現したい時にも使います。
例文1と例文2の「人畜無害」は人や動物に対して害がないことを意味しており、例文3から例文5の「人畜無害」は他に何の影響も及ぼさないような平凡で取り柄のない人のことの意味で使っています。
「毒にも薬にもならない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、邪魔にもならないが大して役に立たないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「毒にも薬にもならない」はマイナスなイメージで使う言葉です。
「人畜無害」と「毒にも薬にもならない」はどちらも役に立たないことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、「人畜無害」の方が「毒にも薬にもならない」よりも一般的に使われていると覚えておきましょう。