【どんぐりの背比べ】と【五十歩百歩】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「どんぐりの背比べ」(読み方:どんぐりのせくらべ)と「五十歩百歩」(読み方:ごじっぽひゃっぽ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「どんぐりの背比べ」と「五十歩百歩」という言葉は、どちらも互いに優劣や差異がないことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「どんぐりの背比べ」と「五十歩百歩」の違い

「どんぐりの背比べ」と「五十歩百歩」の意味の違い

「どんぐりの背比べ」と「五十歩百歩」の違いを分かりやすく言うと、「どんぐりの背比べ」とは対象が複数の場合に使う、「五十歩百歩」とは対象が二つの場合に使うという違いです。

「どんぐりの背比べ」と「五十歩百歩」の使い方の違い

一つ目の「どんぐりの背比べ」を使った分かりやすい例としては、「どの作品もどんぐりの背比べで採点のしがいがありません」「彼は自惚れているが、所詮はどんぐりの背比べです」「今年のメンバーはどんぐりの背比べなので勝ち上がるのは厳しそうだ」などがあります。

二つ目の「五十歩百歩」を使った分かりやすい例としては、「25分遅刻も30分遅刻も五十歩百歩です」「どちらの商品とも性能は五十歩百歩で大差ありません」「今回はお互いにミスをしたので五十歩百歩です」などがあります。

「どんぐりの背比べ」と「五十歩百歩」の使い分け方

「どんぐりの背比べ」と「五十歩百歩」はどちらも互いに優劣や差異がないことを意味している言葉ですが、使い方に少し違いあるので注意が必要です。

「どんぐりの背比べ」は上記の「今年のメンバーはどんぐりの背比べなので勝ち上がるのは厳しそうだ」のように比べる対象が複数ある場合に使います。

一方、「五十歩百歩」は「25分遅刻も30分遅刻も五十歩百歩です」のように、比べる対象が二つの場合に使うというのが違いになります。

「どんぐりの背比べ」と「五十歩百歩」の英語表記の違い

「どんぐりの背比べ」を英語にすると「There is little to choose among them」となります。一方、「五十歩百歩」を英語にすると「It’s six of one and a half dozen of the other」「There is little difference between the twoとなります。

「どんぐりの背比べ」の意味

「どんぐりの背比べ」とは

「どんぐりの背比べ」とは、どれもこれも平凡で特に優れて目立つものがないことを意味しています。

「どんぐりの背比べ」の漢字表記

「どんぐりの背比べ」を漢字にすると「団栗の背比べ」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「どんぐりの背比べ」を使うようにしましょう。

「どんぐりの背比べ」の使い方

「どんぐりの背比べ」を使った分かりやすい例としては、「このチームはどんぐりの背比べで傑出した人がいないので、いつも県大会の予選で敗戦しています」「今年の新入社員はどんぐりの背比べで優秀な人材はいません」などがあります。

「どんぐりの背比べ」はどれもこれも平凡で特に優れて目立つものがないことを意味することわざです。つまり、比較してもほとんど違いがない場合に使います。

また、「どんぐりの背比べ」は比較している対象が優れていて差がないのではなく、求める水準に達していなくて差がないというマイナスなイメージで使うのが特徴です。

「どんぐりの背比べ」の由来

「どんぐりの背比べ」の由来は、言葉の通りどんぐりです。どんぐりとはクヌギ、カシワ、コナラ、カシなどのブナ科植物の実で、球形や卵形で堅く、下方を殻斗が包んでいます。

そしてこのどんぐりはどれも形や大きさがほぼ同じで、背比べをしても優劣をつけることができません。これが転じて、どれもこれも平凡で特に優れて目立つものがないことを「どんぐりの背比べ」と言うようになりました。

「どんぐりの背比べ」の類語

「どんぐりの背比べ」の類語・類義語としては、互いに優劣や差異などがほとんどないことを意味する「似たり寄ったり」、似たりよったりで大した差のないことを意味する「大同小異」(読み方:だいどうしょうい)などがあります。

「五十歩百歩」の意味

「五十歩百歩」とは

「五十歩百歩」とは、少しの違いはあっても本質的には同じであることを意味しています。

「五十歩百歩」の読み方

「五十歩百歩」の読み方は「ごじっぽひゃっぽ」です。誤って「ごじゅっぽひゃっぽ」などと読まないようにしましょう。

「五十歩百歩」の使い方

「五十歩百歩」を使った分かりやすい例としては、「栃木と群馬どっちが栄えているかと争っているが、五十歩百歩です」「二人が成績で争っていたが、五十歩百歩である」「売り上げを見てみたがどちらの商品も五十歩百歩です」などがあります。

「五十歩百歩」は少しの違いはあっても本質的には同じであることを意味しており、多少の違いはあっても、全体的にみたらそこまで大きな差がない場合に使う言葉です。

また、どちらも良くないというマイナスなイメージで使うのが特徴になります。基本的に、プラスのイメージでは使わないと覚えておきましょう。

「五十歩百歩」の由来

「五十歩百歩」の由来は中国の思想書『孟子』です。中国の戦国時代に、梁の国惠王とう人がいました。惠王は「私は凶作の地にいる人を豊作の地に移動させるなど、常に民のために気を配っているのに、なぜ私の領地に人集まらないのか」と孟子に尋ねました。

それに対して、孟子は「五十歩逃げた人が、百歩逃げた人を臆病だと嘲笑ったら、どう思うか」と逆に質問を返しました。これに対して、惠王は「逃げ出したことに変わりはないので同じだ」と答えました。

その答えに孟子は「その道理が分かっておられるなら、他国より多い人数を望むべきではない」と言います。つまり、人々が苦しんでいるのを凶作のせいにしているのでは、他国の政治と大差はないため、人々は集まらないということを言っています。

このことが転じて、少しの違いはあっても本質的には同じであることを「五十歩百歩」と言うようになりました。

「五十歩百歩」の類語

「五十歩百歩」の類語・類義語としては、一見関係がないようでも実は同類や仲間であることを意味する「同じ穴の狢」(読み方:おなじあなのむじな)、自分の欠点には気がつかないで他人のことをあざ笑うことを意味する「目糞鼻糞を笑う」などがあります。

「どんぐりの背比べ」の例文

1.今日のオーディションはどんぐりの背比べだったので、誰を選んでもあまり変わりがないだろう。
2.彼らは学力を自慢しあっているが、どんぐりの背比べでしかありません。
3.社員全員に新しい企画書を提出してもらったが、どんぐりの背比べでしかなかった。
4.このクラスの生徒の成績はどんぐりの背比べで突出した人はいません。
5.新入社員を採用するために広告を出してみたものの、どんぐりの背比べで採用したい人材はいませんでした。
6.日本国内で東大卒だとか慶応卒だとかどんぐりの背比べをしている間に、世界の潮流から置いて行かれてしまったのだ。
7.舞台のオーディションを開催してみたものの、どの人もどんぐりの背比べで、これといっていい人が見つかりませんでした。
8.この狭いタワーマンション社会の中で、階数格差を競っている奥様方のどんぐりの背比べには他人事ながらとても虚しく感じた。
9.うちの会社はどんぐりの背比べで突出した人材はいないが、チームワークの良さだけはどこにも負けません。
10.所詮地方の大会で勝ったとしてもどんぐりの背比べで優勝したとしても賞金もたかが知れているだろうよ。

この言葉がよく使われる場面としては、どれもこれも平凡で特に優れて目立つものがないことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「どんぐりの背比べ」はマイナスなイメージで使われている言葉です。

「五十歩百歩」の例文

1.赤点の二人が私の方が頭は良いと争っているが、五十歩百歩でしかありません。
2.太っている二人が私の方がダイエットに成功したと言い争っているが、私からみたら五十歩百歩でしかない。
3.彼らの言い争いを聞いていると、五十歩百歩とはまさにこのことだろうと心底思います。
4.鳥取県出身の私を田舎者と馬鹿にしているが、彼は高知県出身なので五十歩百歩だろう。
5.海であれば、私にとって日本海だろうがオホーツク海であろうが五十歩百歩です。
6.私は友達が遅刻したことを揶揄したが、お前も今着いたばかりなのだから五十歩百歩だと逆に言い返されてしまった。
7.ネットで検索して色々なゲーミングパソコンのスペックを吟味したが、どれも五十歩百歩であとは好みの問題だということに気づいた。
8.テレビのバラエティで埼玉と千葉がどちらが栄えているか争っているようだが、都民からすれば五十歩百歩の違いでしかない。
9.私と同僚でどちらの営業成績が上か争っていたが、上司から君たちは五十歩百歩だと一蹴されてしまい、私達は思わず閉口してしまった。
10.早稲田大学と慶応義塾大学どちらが上かなんて論争は、高卒者にとっては五十歩百歩の事情に過ぎないのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、少しの違いはあっても本質的には同じであることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「五十歩百歩」はマイナスなイメージで使われている言葉です。

「どんぐりの背比べ」と「五十歩百歩」はどちらも互いに優劣や差異がないことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、対象が複数の場合は「どんぐりの背比べ」を、対象が二つの場合は「五十歩百歩」を使うと覚えておきましょう。

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