【敵対】と【対立】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「敵対」(読み方:てきたい)と「対立」(読み方:たいりつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「敵対」と「対立」という言葉は、どちらも「二つの立場が向かい合うこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




敵対と対立の違い

敵対と対立の意味の違い

敵対と対立の違いを分かりやすく言うと、敵対とは嫌悪や敵意の感情がある、対立とは嫌悪や敵意の感情はないという違いです。

敵対と対立の使い方の違い

一つ目の敵対を使った分かりやすい例としては、「なぜ敵対的買収が行われるのだろう」「敵対的TOBによって経営権を掌握した」「医薬品業界で敵対的価格競争が勃発しています」「同僚に対して敵対心を持ってしまう」などがあります。

二つ目の対立を使った分かりやすい例としては、「価値観の違いは対立を引き起こす要因になります」「対立仮説の立て方を教えてもらいました」「国際秩序が動揺すると対立や紛争が起きてしまいます」などがあります。

敵対と対立の使い分け方

敵対と対立という言葉は、どちらも二つの異なる立場が向かい合うことを表しますが、意味や使い方には違いがあります。

敵対とは、相手を敵とみなして対抗すること、敵視して逆らうことを意味します。敵対という言葉には嫌悪と敵意の感情が含まれており、マイナスイメージを伴う表現です。「敵対的買収」とは、買収対象会社の取締役会の同意を得ないで買収を仕掛けることであり、「敵対的TOB」とも言います。

対立とは、利害関係の相異なる者同士が、自分の立場を保持するために競り合うこと意味します。対立という言葉には敵意や嫌悪といったマイナス感情は含まれず、あくまで反対の立場にある者が互いに譲らないことを表現します。

つまり、敵対とは嫌悪や敵意の感情を伴った異なる立場を表し、対立とは嫌悪や敵意のような感情はない異なる立場のことです。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

敵対と対立の英語表記の違い

敵対を英語にすると「hostility」「opposition」「antagonism」となり、例えば上記の「敵対的買収」を英語にすると「hostile takeover」となります。

一方、対立を英語にすると「confrontation」「opposition」「allelomorphism」となり、例えば上記の「対立を引き起こす」を英語にすると「provoke a confrontation」となります。

敵対の意味

敵対とは

敵対とは、相手を敵とみなして対抗すること、敵としてはむかうことを意味しています。

敵対の使い方

敵対を使った分かりやすい例としては、「なぜか彼女は私を敵対視してくる」「敵対的な冒険者と情報交換する」「万人に対して敵対的であるわけではありません」「敵対的サンプル攻撃の有効性を検証する」などがあります。

その他にも、「敵対的買収を阻止する買収防衛策を検討しています」「敵対的メディア認知を社会心理学の観点から分析する」「あの一件から公然と敵対することをを翻した」「敵対的生成ネットワークに関する本を探しています」などがあります。

敵対の「敵」は訓読みで「かたき」と読み、競ったり憎んだりして張り合う相手を表します。「対」は向かい合うことや、相手になって受け答えすることを表す漢字です。敵対とは、相手を 敵として憎みはむかうこと、敵視して攻撃的な対立関係を築くことを意味します。

表現方法は「敵対的生成ネットワーク」

敵対を用いた日本語には「敵対的生成ネットワーク」があります。敵対的生成ネットワークとは、「GAN」(読み方:がん)とも呼ばれ、人工知能の機械学習における教師なし学習の一種です。あらかじめ用意されたデータから特徴を学習し、擬似的にその特徴をもつデータを生成します。

敵対の対義語

敵対の対義語・反対語としては、立場などの異なるもの同士が協力し合うことを意味する「協調」、自分を支持したり応援してくれる人を意味する「味方」などがあります。あらかじめ用意されたデータから特徴を学習し、擬似的にその特徴をもつデータを生成します。

敵対の類語

敵対の類語・類義語としては、相手の存在や言動に対して反抗する気持ちを意味する「反感」、敵対しようとする心や相手を敵として憎む気持ちを意味する「敵意」、互いに張り合うことを意味する「対抗」、互いに競争することを意味する「競合」などがあります。

対立の意味

対立とは

対立とは、二つのものが反対の立場に立つこと、また、二つのものが互いに譲らないで張り合うことを意味しています。

対立の使い方

対立を使った分かりやすい例としては、「近年、アメリカと中国は対立を深めています」「国際社会において米中対立は懸念材料です」「夫と意見が対立することもあります」「英語の学習方法について意見が対立している」などがあります。

その他にも、「つい対立煽りの質問にムキになってしまう」「帰無仮説と対立仮説は否定の関係にあります」「遺伝子がはっきりとした対立形質である」「対立遺伝子についてわかりやすく簡単に教えてもらいました」などがあります。

対立とは、二つの事柄が対をなして向かいあっていること、互いに自らの立場を譲らないことを意味します。対立の「対」は二つが向き合うことや相手になること、「立」は足場を定めてたつことを表す漢字です。

表現方法は「対立遺伝子」

対立を用いた日本語には「対立遺伝子」があります。対立遺伝子とは、「アレル」とも言い、対になった形質を支配する遺伝子のことを意味します。野生型と突然変異型とがあり、多くの場合は野生型が優性で、変異型は劣性を示します。

対立の対義語

対立の対義語・反対語としては、力を合わせて事にあたることを意味する「協力」、衝突などがなくまとまっていることを意味する「調和」などがあります。

対立の類語

対立の類語・類義語としては、三つの勢力が鼎(かなえ)の足のように互いに対立することを意味する「鼎立」(読み方:ていりつ)、互いに自分の意見を強く主張して譲らないことを意味する「確執」、物事の位置やあり方などが逆の関係にあることを意味する「反対」などがあります。

敵対の例文

1.私は何とも思っていないのに、同性から敵対視されやすいのはなぜでしょうか。
2.他人に対して敵対する心を抱くと、ストレスが倍増し健康を害する可能性があります。
3.二歳の幼い娘は、生まれたばかりの弟に敵対心を燃やすようになりました。
4.誰かに敵対する気持ちは、現状打破のモチベーションにもなります。
5.企業間の敵対関係は、業界の成長を促すというメリットもあります。

この言葉がよく使われる場面としては、相手を敵とみなしてはむかうこと、敵視して逆らうことを表現したい時などが挙げられます。

例文3にある「敵対心」とは、相手に対して攻撃的で、反発や対立を抱く心理を意味します。「敵対心を燃やす」とは、敵に対する強い不満や敵意で心を高ぶらせるさまを表現しています。

対立の例文

1.意見が対立することは、ビジネスに限らず日常でもよくあることです。
2.英語ディベート部に入部して、英語力だけでなく対立する立場から議論する力も養われました。
3.対立関係を解消するためには、相手の意見を理解しようとする姿勢が欠かせません。
4.野外の生物集団における対立遺伝子の頻度を研究するために、大学院に進みました。
5.SNSなどインターネットの世界では、対立煽りを無視するスキルが不可欠です。

この言葉がよく使われる場面としては、向かいあって立つこと、反対の立場にある者が互いに譲らないことを表現したい時などが挙げられます。

例文5にある「対立煽り」とは、ネットスラングの一種であり、インターネットの掲示板などで事あるごとに喧嘩を吹っかけ対立を煽ることです。「対立厨」とも言います。

敵対と対立という言葉は、どちらも「二つの立場が向かい合うこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、嫌悪や敵意の感情を伴うさまを表現したい時は「敵対」を、嫌悪や敵意の感情を伴わないさまを表現したい時は「対立」を使うようにしましょう。

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