似た意味を持つ「どういたしまして」と「お気になさらないでください」(読み方:おきになさらないでください)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「どういたしまして」と「お気になさらないでください」という言葉は、どちらも相手の言葉に対しての返事を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「どういたしまして」と「お気になさらないでください」の違い
「どういたしまして」と「お気になさらないでください」の意味の違い
「どういたしまして」と「お気になさらないでください」の違いを分かりやすく言うと、「どういたしまして」は目上の人に使えない、「お気になさらないでください」は目上の人にも使えるという違いです。
「どういたしまして」と「お気になさらないでください」の使い方の違い
一つ目の「どういたしまして」を使った分かりやすい例としては、「どういたしましてと彼女は答えました」「どういたしまして、当然のことをしたまでです」などがあります。
二つ目の「お気になさらないでください」を使った分かりやすい例としては、「いえいえ、どうぞお気になさらないでください」「私の方こそいつもお世話になっておりますので、お気になさらないでください」などがあります。
「どういたしまして」と「お気になさらないでください」の使い分け方
「どういたしまして」と「お気になさらないでください」はどちらも似た意味を持つ言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「どういたしまして」は文法的には敬語表現ですが、上から目線な印象を相手に与えてしまうため、目上の人に対して使うのは好ましくないとされています。
一方、「お気になさらず」は文法的に正しい表現かつ、上から目線の印象を与えないので目上の人に対して使うことが可能です。
つまり、「どういたしまして」は目上の人に使えない言葉なのに対して、「お気になさらないでください」は目上の人に対して使えるというのが違いになります。
「どういたしまして」と「お気になさらないでください」の英語表記の違い
「どういたしまして」を英語にすると「You’re welcome」「Don’t worry about it」「No problem」「Not at all」となります。一方、「お気になさらないでください」を英語にすると「Don’t be concerned about that」「Don’t worry about it」となります。
「どういたしまして」の意味
「どういたしまして」とは
「どういたしまして」とは、相手の礼や詫びなどの言葉に対して丁寧に打ち消しながら返す挨拶のことを意味しています。
「どういたしまして」の漢字表記
「どういたしまして」を漢字にすると、「如何致しまして」とすることができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「どういたしまして」を使うようにしましょう。
「どういたしまして」の使い方
「どういたしまして」を使った分かりやすい例としては、「いえいえ、どういたしまして」「親切にありがとうございましたと言われたので、どういたしましてと答えました」「どういたしまして、お役に立ててよかったです」などがあります。
「どういたしまして」は「する」の謙譲語「いたす」に、方法や状態に関する疑問の気持ちのことを意味する「どう」、丁寧語の「ます」、助詞の「て」が合わさった言葉です。そのため、文法的にはとても丁寧な表現になります。
ただし、文法的には丁寧であっても上から目線な印象を相手に与えてしまうため、ビジネスシーン使うのは好ましくないとされています。
もし、ビジネスシーンでも目上の人に対して使いたいのであれば、「お気になさらないでください」「とんでもございません」「恐れ入ります」などに置き換えるようにしましょう。
「どういたしまして」はビジネスシーンで目上の人に対して使うことはできませんが、それ以外では幅広く使われている言葉です。主にお礼やお詫びなどに対して、丁寧に打ち消しすことで謙遜の気持ちを表しています。
「どういたしまして」の類語
「どういたしまして」の類語・類義語としては、相手の好意などに対してありがたいと思うことを意味する「恐れ入ります」、相手からの褒め言葉に対して謙遜しながら軽く打ち消すことを意味する「とんでもございません」などがあります。
「お気になさらないでください」の意味
「お気になさらないでください」とは
「お気になさらないでください」とは、気にしなくて大丈夫と返事をすることを意味しています。
「お気になさらないでください」の使い方
「お気になさらないでください」を使った分かりやすい例としては、「次の駅で降りますのでお気になさらないでください」「今回の件はこちらの確認不足もありますので、お気になさらないでください」「子供の喧嘩はよくあることです、お気になさらないでください」などがあります。
「お気になさらないでください」は心などの状態の働きのことを意味する「気」に、接頭語の「お」、するの尊敬語「なさる」の否定形の「なさらない」、「くれ」の丁寧語の「ください」が合わさった敬語表現です。
正しい敬語表現かつ、相手に良い印象を与えることができるので、ビジネスシーンで上司や取引先などの目上の人に対して使っても問題ありません。
「お気になさらないでください」は様々な場面で使うことができる言葉なので、使う場面を紹介していきます。
一つ目は謝罪された時の返答で相手を労う言葉として使います。二つ目は相手に申し出を遠回しにやんわりと断る時です。三つ目は相手から気遣いを受けた時の返事として使います。四つ目は相手の干渉を防ぐ場合に使うと覚えておきましょう。
「お気になさらないでください」の類語
「お気になさらないでください」の類語・類義語としては、気を遣わないでくださいのことを意味する「お気遣いなく」、気にしないでくださいのことを意味する「お気に留められませんよう」などがあります。
「どういたしまして」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手の礼や詫びなどの言葉に対して丁寧に打ち消しながら返す挨拶のことを表現したい時などが挙げられます。
例文3のように、「どういたしまして」は目上の人に対しては使えない言葉になります。
「お気になさらないでください」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、気にしなくて大丈夫と返事をすることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「お気になさらないでください」はビジネスシーンにおいてよく使われている表現です。
「どういたしまして」と「お気になさらないでください」はどちらも相手の言葉に対しての返事を表しています。どちらの言葉を使うか迷った場合、目上の人に対して使えないのが「どういたしまして」、目上の人に対して使えるのが「お気になさらないください」と覚えておきましょう。