【いなす】と【あしらう】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「いなす」と「あしらう」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「いなす」と「あしらう」という言葉は、どちらもかわすことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「いなす」と「あしらう」の違い

「いなす」と「あしらう」の意味の違い

「いなす」と「あしらう」の違いを分かりやすく言うと、「いなす」とはまともに受け合わないこと、「あしらう」とは一応相手にするが適当に扱うことという違いです。

「いなす」と「あしらう」の使い方の違い

一つ目の「いなす」を使った分かりやすい例としては、「突きをいなされて土俵に手をつく」「鋭い質問を軽くいなす」「相手の攻撃をいなす」「彼は相手をいなすプレーが上手だ」「彼女は男を軽くいなす」「相手のタックルをいなす」などがあります。

二つ目の「あしらう」を使った分かりやすい例としては、「かばんに刺繍をあしらう」「難しい客も上手にあしらう」「彼のことを冷たくあしらう」「ナンパしてきた男をを軽くあしらう」「その質問は適当にあしらわれた」などがあります。

「いなす」と「あしらう」の使い分け方

「いなす」は自分に向けられた追及を言葉巧みにかわすことなので、まともに受け合わないのに対して、「あしらう」は相手を軽んじた扱いをすることなので、一応相手にするが適当に扱うというのが違いになります。

「いなす」はほとんど相手にしていなく、「あしらう」は相手にするが適当に扱うと覚えておきましょう。

また、「いなす」は、スポーツなどで、急に体をかわして攻撃に出ている相手の体制を崩すことの意味を持っているのに対して、「あしらう」は、素材や色などを上手く取り合わせることの意味を持っているというのも違いになります。

例えば、上記の「かばんに刺繍をあしらう」は、素材や色などを上手く取り合わせることの意味なので、「かばんに刺繍をいなす」とすることはできません。

「いなす」と「あしらう」の英語表記の違い

「いなす」を英語にすると「dodge」「parry」「avoid」となり、例えば上記の「相手のタックルをいなす」を英語にすると「Dodge the opponent’s tackle」となります。

一方、「あしらう」を英語にすると「treat」「handle」「arranged」となり、例えば上記の「その質問は適当にあしらわれた」を英語にすると「The question was handled perfunctorily」となります。

「いなす」の意味

「いなす」とは

「いなす」とは、急に体をかわして攻撃に出ている相手の体制を崩すことを意味しています。その他にも、自分に向けられた追及を言葉巧みにかわすことや方言で帰るらせるという意味も持っています。

「いなす」の使い方

「いなす」を使った分かりやすい例としては、「質問を適当にいなす」「攻撃をいなされてよろける」「ブラジル代表の相手をいなすプレーは素晴らしい」「気配りの足りない発言を軽くいなす」「飲み会で泥酔してたので早めにいなした」などがあります。

「いなす」は複数の意味を持つ言葉なので適切な使い方を覚えましょう。

「いなす」の相撲・柔道・剣道・サッカーでの意味

一つ目の急に体をかわして攻撃に出ている相手の体制を崩すことの意味は、体がぶつかり合うスポーツで使われています。代表的なのを挙げると、相撲、柔道、剣道、サッカーです。

「いなす」のビジネスシーンや記者会見での意味

二つ目の自分に向けられた追及を言葉巧みにかわすことの意味は、ビジネスシーンや記者会見などで厳しい質問を受けた際に、上手にかわす場合に使われています。

「いなす」の関西弁や広島弁の方言での意味

三つ目の帰らせるという意味は、関西弁や広島弁で使われる方言です。

表現方法は「軽くいなす」「いなすぞ」

「軽くいなす」「いなすぞ」などが、「いなす」を使った一般的な言い回しになります。

「いなす」の漢字表記

「いなす」を漢字にすると、「往なす」「去なす」となります。

「いなす」の類語

「いなす」の類語・類義語としては、相手の追及を逃れようとして話しの焦点をぼかすことを意味する「はぐらかす」、ぶつからないように身を翻して避けることを意味する「かわす」、程よくあしらって相手の攻撃をかわすことを意味する「受流す」などがあります。

「あしらう」の意味

「あしらう」とは

「あしらう」とは、相手を軽んじた扱いをすることを意味しています。その他にも、応対することや素材や色などを上手く取り合わせることの意味も持っています。

「あしらう」の使い方

「好みの違う客を巧みにあしらう」「注意したら鼻であしらわれたので喧嘩になった」「言い寄ってきた人を軽くあしらう」などの文中で使われている「あしらう」は、「相手を軽んじた扱いをすることや応対すること」の意味で使われています。

一方、「帽子にリボンをあしらう」「刺繍をあしらうことで華やかさをだす」などの文中で使われている「あしらう」は、「素材や色などを上手く取り合わせること」の意味で使われています。

「あしらう」は複数の意味を持つ言葉なので適切な使い方を覚えましょう。

相手を軽んじた扱いをすることや応対することの意味はどちらも人に対して使う言葉ですが、適当に対応するか、まともに相手をするかの違いがあります。前後の文章に注意して上手く使い分けましょう。

例えば、上記の「好みの違う客を巧みにあしらう」は、応対することの意味で使っており、「注意したら鼻であしらわれたので喧嘩になった」は、相手を軽んじた扱いをすることの意味で使っています。

三つ目の素材や色などを上手く取り合わせることの意味は、物に対して使います。刺繍や宝石など上手く取り合わせて引き立たせる場合に使うようにしましょう。

「鼻であしらう」の意味

「あしらう」を使った慣用句に、「鼻であしらう」があります。「鼻であしらう」とは、相手の言葉にとりあおうとせず冷淡に扱うことを意味しています。

表現方法は「軽くあしらう」「人をあしらう」「宝石をあしらう」

「軽くあしらう」「人をあしらう」「宝石をあしらう」「レースをあしらう」「刺繍をあしらう」などが、「あしらう」を使った一般的な言い回しになります。

「あしらう」の類語

「あしらう」の類語・類義語としては、二つ以上のものを組み合わせることを意味する「配合する」、二つ以上のものを合わせて一つにすることを意味する「統合する」、意気込んで向かってくる相手の勢いを上手く逸らすことを意味する「肩透かし」などがあります。

「いなす」の例文

1.柔道の試合で、いなす動作を入れながら俊敏に技を仕掛けることができた。
2.サッカーにおいて相手の攻撃をいなすプレーは、とても重要です。
3.子供に失礼なことを言われても、軽くいなすのが大人の余裕ってもんでしょ。
4.剣道を上達するためには、相手が打ち込もうとする瞬間にその竹刀をいなす練習をすることです。
5.新入社員には残業を一切させずに、定時にいなすのが我が社の方針です。
6.記者からの鋭い質問を軽くいなしたつもりだろうが、傍から見ればビビって誤魔化したのは明らかだった。
7.国会中継では野党議員が献金問題で総理を糾弾していたが、答弁に立った総理はのらりくらりといなし、まったく動じていないようすであった。
8.あの柔道選手は相手の攻撃をいなすのがうまかったが、試合への消極的な態度が審判員の目に付いたことでたびたび指導されていた。
9.こんなにお金を使っているじゃないかとわたしは無駄遣いを責めたが、夫はなんら悪びれるようすもなく軽くいなすようにあれは必要経費だったと言ってのけた。
10.不倫疑惑の大物タレントは、ワイドショーのレポーターからの質問を適当にいなすとすぐさまに車に乗り込んでその場から去っていった。

この言葉がよく使われる場面としては、急に体をかわして攻撃に出ている相手の体制を崩すことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、自分に向けられた追及を言葉巧みにかわすことや帰らせることを表現したい時にも使います。

例文1や例文2は、急に体をかわして攻撃に出ている相手の体制を崩すことの意味で使っており、例文3は、自分に向けられた追及を言葉巧みにかわすことの意味で使っています。また、例文5は帰らせることの意味で使われています。

「あしらう」の例文

1.危険だから絶対にやってはいけないと忠告したのに、鼻であしらわれてしまった。
2.テーブルクロス、クッション、エプロンなど様々な日用品に刺繍をあしらう。
3.職場にいる面倒な人に話しかけれても、軽くあしらうようことにした。
4.彼女のために、多様な宝石をあしらった指輪をオーダーしました。
5.気になる男性から冷たくあしらわれてしまったので、物凄く落ち込んでいる。
6.日本人じゃない私は、修行したいと寿司屋に弟子入りを頼んでも、軽くあしらわれるどころか話さえ聞いてもらえなかった。
7.男は意中の女性に告白して軽くあしらわれたことをずっと根に持っていて、以前からいつか復讐してやると息巻いていたのだ。
8.堅物で真面目な男というのは煽られるとすぐに怒り心頭になってしまうが、ときには真に受けずにあしらう対処も覚えるべきだろうよ。
9.わたしが大学を出ていないことを知った男はまるで上流階級にでもなったかのような嫌味な態度でわたしを鼻であしらってきたのだ。
10.我が国に対して周辺諸国が意地悪なことを言ってきても、上から目線で軽くあしらうくらいの余裕がなければ、生き馬の目を抜くグローバルな社会で勝てないだろう。

この言葉がよく使われる場面としては、相手を軽んじた扱いをすることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、応対することや素材や色などを上手く取り合わせることを表現したい時にも使います。

例文1や例文2は、相手を軽んじた扱いをすることの意味で使っており、例文2や例文4は、素材や色などを上手く取り合わせることの意味で使っています。

「いなす」と「あしらう」どちらを使うか迷った場合は、「いなす」はほとんど相手にしていなく、「あしらう」は相手にするが適当に対応する時に使うと覚えておきましょう。

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