似た意味を持つ「発明」(読み方:はつめい)と「開発」(読み方:かいはつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「発明」と「開発」という言葉は、どちらも「新しいものを考え出すこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
発明と開発の違い
発明と開発の違いを分かりやすく言うと、発明とは今までなかったものを新たに考え出すこと、開発とは既存のものを発展させたりすることという違いです。
一つ目の発明を使った分かりやすい例としては、「日本で最も有名な発明家は誰でしょう」「スマホは世界を変えた発明品の一つです」「発明を商品化すると同時に特許を取る」「弊社は発明推進協会と提携しています」などがあります。
二つ目の開発を使った分かりやすい例としては、「多摩ニュータウンの開発業者について調べる」「江戸時代に新田開発が盛んに行われました」「初心者におすすめの開発環境を教えてください」「北海道開発局の職員採用試験を受ける」などがあります。
発明と開発という言葉は、どちらも新しいものを考え出すことを表すクリエイティブな言葉ですが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
発明とは、今までなかったものを新たに考え出すことを意味し、機械や器具類あるいはそれに関する技術を初めて考案することを表す言葉です。芸術家のレオナルド・ダ・ヴィンチは、戦車や自転車の原型を考え出した発明家としても有名です。
開発とは、「ニュータウンの開発」のような使い方で、土地や天然資源などを活用して住宅などをつくることを意味します。また、「開発環境」のような使い方で、新しいものを考え出して実用化することも意味する言葉です。
つまり、発明とは今までなかったものを新たに考え出すことであり、開発とは既存のものを改良したり発展させたりすることを表現します。二つの言葉を比べると、開発より発明の方が、よりクリエイティブな言葉だと言えるでしょう。
発明を英語にすると「invention」「contrivance」となり、例えば上記の「発明家」を英語にすると「an inventor」となります。一方、開発を英語にすると「exploitation」「development」となり、例えば上記の「開発業者」を英語にすると「a developer」となります。
発明の意味
発明とは、今までなかったものを新たに考え出すこと、特に新しい器具・機械・装置また技術・方法などを考案することを意味しています。
その他にも、「物事の道理や意味を明らかにすること、明らかに悟ること」「賢いこと、そのさま、利発」の意味も持っています。
「インスタントラーメンは日本で生まれた発明品です」「発明協会の会長にコンタクトを取る」「英語圏には優秀な発明家がたくさんいます」「発明家になるにはどうしたらいいですか」などの文中で使われている発明は、「今までなかったものを新たに考え出すこと」の意味で使われています。
一方、「ついに彼らは真実を発明するに至った」「修行の末に悟道発明した」などの文中で使われている発明は「物事の道理や意味を明らかにすること」の意味で、「発明な子は話をよく聞いています」の文中で使われている発明は「賢いさま、利発」の意味で使われています。
発明とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、一般的な用法では「今までなかったものを新たに考え出すこと」の意味で使用されることが多い言葉です。発明の「発」は外に現れ出ることや明るみに出すこと、「明」は解明することや明白にすることを表します。
発明を用いたことわざには「必要は発明の母」があります。「必要は発明の母」とは、発明は必要があるところから生まれるということを意味します。このことわざの由来は、「ガリバー旅行記」の中の、小さな体で生活するために様々な工夫を凝らす描写と言われています。
発明の類語・類義語としては、工夫して考え出すことを意味する「考案」、物事を最初に考え出すことを意味する「創案」、ある案を最初に言い出すことを意味する「発案」、新しいものを初めてつくり出すことを意味する「創造」、頭がよいことや賢いことを意味する「利口」などがあります。
開発の意味
開発とは、土地・鉱産物・水力などの天然資源を活用して、農場・工場・住宅などをつくり、その地域の産業や交通を盛んにすることを意味しています。
その他にも、「新しい技術や製品を実用化すること」「知恵や能力などを導きだし活用させること」の意味も持っています。
「農地を開発するための申請方法を確認する」「都市計画法で開発許可の基準を定めています」「開発行為を行う場合は許可が必要です」などの文中で使われている開発は、「天然資源を活用して、その地域の産業や交通を盛んにすること」の意味で使われています。
一方、「動作テストに開発者ツールを使用する」「開発者向けオプションで高速化する」の文中で使われている開発は「新しい技術などを実用化すること」の意味で、「英語能力開発プログラムを取り入れる」の文中で使われている開発は「知恵などを導きだし活用させること」の意味で使われています。
開発とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。開発の「開」は人手が加わっていないものを掘り起こすことを表す漢字です。
開発の対義語・反対語としては、土地や天然資源が利用されないままであることを意味する「未開発」などがあります。
開発の類語・類義語としては、山野を切り開いて農耕できる田畑にすることを意味する「開墾」、原野などを切り開いて田畑や居住地などをつくることを意味する「開拓」、山を崩したり荒れ地を開墾したりして道路や田畑などにすることを意味する「切り開く」などがあります。
発明の例文
この言葉がよく使われる場面としては、初めて明らかにすること、理論や方法などを新しく考え出すこと、隠れた物事を新たにひらき明らかにすること、賢いことや聰明を表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「職務発明」とは、企業などに所属する研究者や従業員が、職務としてその業務範囲の中で行う発明を意味します。職務上の発明ではないものは「業務発明」、業務範囲と職務上のいずれにも属さない発明は「自由発明」と呼ばれています。
開発の例文
この言葉がよく使われる場面としては、森林や荒れ地などを切り開いて田畑にすること、新しいものを考え出し実用化すること、知識などを開き導くことを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「開発生産性」とは、時間やリソースをどれだけ効率的に活用し、価値ある成果を生み出せるかを示す指標のことです。
発明と開発という言葉は、どちらも「新しいものを考え出すこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、今までなかったものを新たに考え出すことを表現したい時は「発明」を、既存のものを改良したり発展させたりすることを表現したい時は「開発」を使うようにしましょう。