似た意味を持つ「決断」(読み方:けつだん)と「判断」(読み方:はんだん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「決断」と「判断」という言葉は、どちらも物事を決めることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
決断と判断の違い
決断と判断の意味の違い
決断と判断の違いを分かりやすく言うと、決断とは主観的に決めること、判断とは客観的に決めることという違いです。
決断と判断の使い方の違い
一つ目の決断を使った分かりやすい例としては、「困難な時にこそ勇気ある決断は必要です」「決断力がないリーダーでは困ります」「人生には決断すべき時がある」「いつまでも決断せずにためらっている」などがあります。
二つ目の判断を使った分かりやすい例としては、「運営側は苦しい判断を迫られた」「判断力に欠けるマネージャーでは困る」「判断推理の問題が苦手だ」「正しい判断をすることは難しい」などがあります。
決断と判断の使い分け方
決断と判断という言葉は、どちらも物事を決めることを意味し、日常生活でもビジネスシーンでも使われる馴染みのある言葉です。二つの言葉は似た表現をしますが、意味は微妙に異なります。決断は意志をはっきりと決めることを意味し、判断は物事の真偽を見極め考えを定めることを意味します。
つまり、決断は主観的な意志により決めることの意味合いが強く、判断は客観的な真偽や善悪に基づいて決めることの意味合いが強くあります。決断も判断もきっぱりと決めることなのですが、プロセスの違いが二つの言葉の違いになります。
決断と判断の英語表記の違い
決断を英語にすると「decision」「determination」「resolution」となり、例えば上記の「勇気ある決断」を英語にすると「courageous decision」となります。
一方、判断を英語にすると「judgment」「conclusion」「adjudication」となり、例えば上記の「苦しい判断」を英語にすると「agonizing decision」となります。
決断の意味
決断とは
決断とは、意志をはっきりと決定することを意味しています。
その他にも、正邪善悪を判断・裁決することの意味も持っています。
表現方法は「決断する」「決断が早い」「決断力がない」
「決断する」「決断が早い」「決断力がない」などが、決断を使った一般的な言い回しです。
決断の使い方
「彼は物事の決断が速い」「事業撤退の決断をする」「続行か引退か未だ決断できずにいる」「苦渋の決断だが転職することにした」ことなどの文中で使われている決断は、「意志をはっきりと決定すること」の意味で使われています。
一方、「延期の是非について決断を迫られる」「リーダーの決断力が問われる」「決断を下すのは容易ではない」「決断力を備えるべきだ」などの文中で使われている決断は、「正邪善悪を判断・裁決すること」の意味で使われています。
決断という言葉は、上記の例にあるように二つの意味があり、強い意志をもって結論を下すような場合に用いられます。決断の「決」は思い切ってきっぱりと決めること、「断」はきっぱりと決めることを表わしています。
「苦渋の決断」の意味
決断を用いた日本語には「苦渋の決断」があります。苦渋の決断とは、苦しく辛い思いをして決めたことを意味し、演説やビジネスの場でも使われる言葉です。仕方なく選ばざるを得ない状況のなかで下した決断であることを表し、世間体を取り繕うために使われることもあります。
決断の対義語
決断の対義語・反対語としては、あれこれ迷って決心できないことを意味する「躊躇」、決断できないでぐずぐずすることを意味する「逡巡」、決めかねてぐずぐずしていることを意味する「ためらい」などがあります。
決断の類語
決断の類語・類義語としては、物事をはっきりと決めることを意味する「決定」、その物事がよいか悪いかを裁いて決定することを意味する「裁決」、はっきりと決めることを意味する「断決」などがあります。
決断の決の字を使った別の言葉としては、自分の意志をはっきりと決めることを意味する「決意」、会議である事柄を決定することを意味する「決議」、物事のきまりがついて終わりになることを意味する「決着」などがあります。
判断の意味
判断とは
判断とは、物事の真偽・善悪などを見極め、それについて自分の考えを定めることを意味しています。
その他にも、吉凶を見分けること、占いの意味も持っています。
表現方法は「判断する」「判断がつく」「判断力がある」
「判断する」「判断がつく」「判断力がある」などが、判断を使った一般的な言い回しです。
判断の使い方
「契約更新について部長に判断を仰ぐ」「判断力を高める研修に参加した」「外見で判断するのは良くないと思う」「この場では判断致しかねます」などの文中で使われている判断は、「物事の真偽を見極め考えを定めること」の意味で使われています。
一方、「名前の字画から姓名判断できる」「今朝みた夢で判断してもらう」「運勢判断では恋愛運がイマイチみたい」などの文中で使われている判断は、「吉凶を見分けること」の意味で使われています。
判断という言葉は、上記の例のように二つの意味がありますが、前者の「物事の真偽を見極め考えを定めること」の意味で使われる方が多くあります。判断の「判」ははっきり見分けることや区別することを表し、判断とは物事の内容や価値を見定め、それについての考えを決めることです。
「業況判断指数」の意味
判断を用いた日本語には「業況判断指数」があり、企業や業界などの景況感を数値化した指標を意味します。景気がよいと判断した企業の割合から、悪いと判断した企業の割合を引いた数値で、「よい」だけであれば100、「よい」と「悪い」が同数であれば0となります。略して「判断指数」とも言います。
判断の類語
判断の類語・類義語としては、物事にはっきりした判断をくだすことを意味する「断定」、もろもろの事理を思量し識別する心の働きを意味する「分別」、物事を判別して決定することを意味する「判定」などがあります。
判断の判の字を使った別の言葉としては、わかりにくい文字や文章を判断や推察しながら読むことを意味する「判読」、物事に検討を加えて判定や評価することを意味する「批判」、世間の人が批評して是非を判定することを意味する「評判」などがあります。
決断の例文
この言葉がよく使われる場面としては、きっぱりと心を決めること、是非善悪を見定めて裁くことを表現したい時などが挙げられます。
例文2から例文5にある「決断力」とは、自分自身の判断や責任で決断する能力を意味します。例文2の「決断力がない」は、「決断力に欠ける」と表現されることもあります。例文3にある「決断力を磨く」とは、努力して決断力を高めることを意味します。
判断の例文
この言葉がよく使われる場面としては、論理や基準などに従って判定を下すこと、吉凶をうらなうことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「判断を仰ぐ」とは目上の人に判断を求めるという意味の表現です。例文3にある「判断推理」とは、柔軟な思考力と迅速な判断能力を必要とするパズル的な問題形式のことです。例文5にある「判断基準」とは、判定を下すための条件や指標などを意味する表現です。
決断と判断という言葉は、どちらも物事を決めることを表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、主観的な意志により決めることを表現したい時は「決断」を、客観的な真偽や善悪に基づいて決めることを表現したい時は「判断」を使うようにしましょう。