同じ「かりょう」という読み方の「科料」と「過料」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「科料」と「過料」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
科料と過料の違い
科料と過料の意味の違い
科料と過料の違いを分かりやすく言うと、科料とは前科が付く刑事罰、過料とは前科が付かない行政罰という違いです。
科料と過料の使い方の違い
一つ目の科料を使った分かりやすい例としては、「これまで科料の言渡しを受けたことはありません」「罰金もしくは科料に処する」「東京簡裁は科料9千円の略式命令を出した」「拘留も科料も執行猶予の対象外です」などがあります。
二つ目の過料を使った分かりやすい例としては、「虚偽の陳述に対する過料を処する」「過料は行政罰の一種です」「反則金や過料のための勘定科目はありません」「過料を損金に算入してもよいでしょうか」「過料事件の手続を定める」などがあります。
科料と過料の使い分け方
科料と過料という言葉は、どちらも「かりょう」と読み、法令違反をした場合に科せられる金銭罰を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
科料とは、刑法上で規定する刑のなかで軽い犯罪について科す金銭罰です。罰として千円以上一万円未満の金銭の納付を命じられることであり、一万円以上の納付となる「罰金」と区分されるものです。もし科料を完納しない場合、30日以下の労役場留置がなされます。
一方、過料とは、行政上のペナルティーとして科されるものであり、刑罰ではないので前科は付きません。過料が適用される例としては、歩きたばこ禁止条例エリアで路上喫煙をした者に対し、1万円以下の過料を徴収することが挙げられます。
なお、科料と過料は「かりょう」が正しい読み方ですが、区別するために「科料」は「とがりょう」、「過料」は「あやまちりょう」と呼ぶことがあります。
科料と過料の英語表記の違い
科料を英語にすると「fine」「mulct」「penalty」となり、例えば上記の「科料の言渡しを受ける」を英語にすると「receive a judgment of a fine」となります。
一方、過料を英語にすると「administrative fine」「non-penal fine」「pecuniary penalties」となり、例えば上記の「虚偽の陳述に対する過料」を英語にすると「non-penal fine for False Statements」となります。
科料の意味
科料とは
科料とは、刑法の規定する主刑の一つ、軽微な犯罪に科する財産刑で、刑の序列としては罰金より軽いを意味しています。
その他にも、「罪科を償うために出す金品」の意味も持っています。
科料の読み方
科料の読み方は「かりょう」ですが、同音の「過料」と区別するために「とがりょう」と俗に読まれることがあります。
表現方法は「科料の刑」「科料に処す」
「科料の刑」「科料に処す」などが、科料を使った一般的な言い回しです。
科料の使い方
「刑法では罰金と科料が定められています」「科料は言い渡されると前科になります」「科料と過ち料の違いを教えてください」「科料の刑に処せられた者が宅建を取得することはできますか」などの文中で使われている科料は、「刑法の規定する主刑の一つ」の意味で使われています。
一方、「科料の考え方はいつ頃からあったのだろう」「科料は鎌倉時代の刑罰である過怠の別称です」「河豚を食う者は拘留科料に処す」などの文中で使われている科料は、「罪科を償うために出す金品」の意味で使われています。
科料の「科」は罪を区分した法律の条文を表し、「料」は代金を荒らします。科料とは、罪科を償うために出す金品を表し、刑法の規定する主刑の一つを指す言葉として一般的に使用されています。軽微な犯罪に科する財産刑であり、刑の序列としては罰金より軽いものです。
現行刑法では、罰金が1万円以上であるのに対し、科料は1000円以上1万円未満と規定されており、罰金と科料の違いは、その金額にあります。科料を完納しない者には、1日以上30日以下の労役場留置がなされます。
科料の対義語
科料の対義語・反対語としては、賞として与える金銭を意味する「賞金」、ほめて与える金品を意味する「褒美」などがあります。
科料の類語
科料の類語・類義語としては、財産の剝奪を内容とする刑を意味する「財産刑」、犯罪行為に関連した物の所有権を取り上げて国家の所有に移すことを意味する「没収」、 刑法上で目的物が没収できないときに価額の納付を強制する処分を意味する「追徴」などがあります。
過料の意味
過料とは
過料とは、国または地方公共団体が、行政上の軽い禁令を犯した者に科する金銭罰を意味しています。
その他にも、「中世、過失などの軽い罪を償うために科した金銭」「江戸時代、本刑に代えて科した金銭」の意味も持っています。
過料の読み方
過料の読み方は「かりょう」ですが、同音の「科料」と区別するために「あやまちりょう」と読まれることもあります。
表現方法は「過料を科す」「過料が科される」「過料に処する」
「過料を科す」「過料が科される」「過料に処する」などが、過料を使った一般的な言い回しです。
過料の使い方
「過料を科せられても前科にはなりません」「過料金額はどのように決定されますか」「過料を払わないと、どうなりますか」「違反状態が続けば過料を科すことができる」などの文中で使われている過料は、「行政上の軽い禁令を犯した者に科する金銭罰」の意味で使われています。
一方、「過料は鎌倉時代の刑罰の一つです」の文中で使われている過料は「中世、軽い罪を償うために科した金銭」の意味で、「村単位に罰金を科す村過料がありました」「留学生に過料を英語で説明する」の文中で使われている過料は「江戸時代、本刑に代えて科した金銭」の意味で使われています。
過料とは、行政上の義務強制や制裁のために、違反者に対して科せられる金銭罰のことです。一定の身分にある者が職務上の義務に違反した場合に科せられる「懲戒罰」、行政上の義務履行がないときに科せられる「執行罰」、法律秩序を維持する法令に違反した者を制裁する「秩序罰」に分けられます。
過料は刑罰ではないため、刑事訴訟手続きがとられることはありません。したがって、過料に科せられた場合は前科が付かないことになります。
過料の対義語
過料の対義語・反対語としては、すぐれた行為や作品などに対して与える金品を意味する「褒賞」、感謝の気持ちを表すために金品を贈ることを意味する「謝礼」などがあります。
過料の類語
過料の類語・類義語としては、罰として出させる金銭を意味する「罰金」、罰金や違約金を意味する「ペナルティー」、刑としての罰金の代わりに行政上の処分として国に納付させられる金銭を意味する「反則金」などがあります。
科料の例文
この言葉がよく使われる場面としては、罰金とともに規定される財産刑の一種を表現したい時などが挙げられます。
例文3について、科料と罰金の違いは、科料は1000円以上1万円未満の財産刑で、罰金は1万円以上であり、金額の点で区別されます。
過料の例文
この言葉がよく使われる場面としては、国や地方公共団体などが少額の金銭を徴収するという罰則を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「過料を科す」とは、過料の罰則を与えることを意味します。「課す」ではなく「科す」と表現することに注意しましょう。
科料と過料という言葉は、どちらも「かりょう」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、刑事罰を表現したい時は「科料」を、行政罰を表現したい時は「過料」を使うようにしましょう。