似た意味を持つ「内見」(読み方:ないけん)と「内覧」(読み方:ないらん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「内見」と「内覧」という言葉は、どちらも「不動産物件を見学すること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
内見と内覧の違い
内見と内覧の意味の違い
内見と内覧の違いを分かりやすく言うと、内見とは賃貸物件で使われることが多く、内覧とは購入物件で使われることが多いという違いです。
内見と内覧の使い方の違い
一つ目の内見を使った分かりやすい例としては、「物件を内見する時の持ち物は何ですか」「内見しないで契約する割合は低いです」「事前に用意した内見のチェックリストを確認する」「村で内見を行った結果を領主に報告する」などがあります。
二つ目の内覧を使った分かりやすい例としては、「内覧会の案内状が届きました」「介護施設の完成内覧会のチラシを作成する」「内覧することによって詳細な情報を得ることができる」「藤原道長は内覧の宣旨を受けました」などがあります。
内見と内覧の使い分け方
内見と内覧という言葉は、どちらも「内々に見ること」が元の意味ですが、「建物の内部を実際に見ること」の意味で使用されている不動産用語です。二つの言葉はほぼ同義であると言えますが、使い方には少し違いがあります。
内見とは、「内部見学」を省略した言葉であり、多くは既築物件を借りる時に実地で見学することに使用される不動産用語です。ただし、あくまで多いだけなので、新築物件や購入目的で見学する場合に「内見」と言っても間違いではありません。
内覧とは、新築物件を購入する際に実地で見学することに使用されることが多い不動産用語です。ただし、購入目的の場合に使用される傾向があるだけで、既存物件や賃貸目的で見学することを「内覧」ということもあります。
つまり、内見とは賃貸を目的とする見学に使用される傾向があり、内覧とは購入を目的とする見学に使用される傾向があります。また、地域間でも違いがあり、内見は関東方面で、内覧は関西方面で好んで使用されています。
内見と内覧の英語表記の違い
内見も内覧も英語にすると「preview」「private viewing」となり、例えば上記の「内見する」を英語にすると「view privately」となります。
内見の意味
内見とは
内見とは、内々に見ること、内覧を意味しています。
その他にも、「建物の内部を実際に見ること、内覧」「江戸時代、代官が検見 (けみ) を実施する以前に、村役人があらかじめ収穫量の調査を行ったこと」の意味も持っています。
内見の読み方
内見の読み方は「ないけん」です。「ないみ」と読む場合がありますが、「ないみ」と読むと「江戸時代、村役人が前もって収穫量の調査を行ったこと」のみを意味します。
内見の使い方
「第三者委員会の報告書を内見する」「成立する前の法案を内見させてもらった」「部下が作成した契約書の草案を内見する」などの文中で使われている内見は「内々に見ること」の意味で使われています。
一方、「不動産屋に内見の予約をする」「内見で見るポイントは何ですか」の文中で使われている内見は「建物の内部を実際に見ること」の意味で、「村内で内見と呼ばれる下調査を行いました」などの文中で使われている内見は「村役人が前もって収穫量の調査を行ったこと」の意味で使われています。
内見とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、一般的には「内部見学」の略で「建物の内部を実際に見ること」の意味で用いられています。内見は不動産用語として、購入物件よりも賃貸物件に使用されることが多い言葉です。
表現方法は「オンライン内見」
内見を用いた日本語には「オンライン内見」があります。オンライン内見とは、インターネット経由で自宅から物件の内見ができるサービスのことです。不動産会社のスタッフが現地へ行き、映像や音声で物件を紹介をすることもあります。「オンライン内覧」とも言います。
内見の対義語
内見の対義語・反対語としては、特定の人に限定せず広く人々に観覧などを許すことを意味する「公開」などがあります。
内見の類語
内見の類語・類義語としては、前もって見て調べておくことを意味する「下見」、前もってひそかに調べることを意味する「内検」、あらかじめ調べておくことを意味する「下検分」などがあります。
内覧の意味
内覧とは
内覧とは、内々で見ることを意味しています。
その他にも、「建物の内部を実際に見ること」「平安時代以降、太政官から天皇に奏上する文書を、摂政・関白または宣旨を受けた大臣が前もって読んで処置すること」の意味も持っています。
内覧の読み方
内覧の読み方は「ないらん」です。誤って「うちらん」などと読まないようにしましょう。
内覧の使い方
「部外秘の文書を内覧する」「機密文書を内覧することはできますか」「手紙を内覧することを許された」「職場で重要書類を内覧しました」などの文中で使われている内覧は、「内々で見ること」の意味で使われています。
一方、「英語教室の内覧会に参加しました」「内覧会チェックリストをダウンロードする」の文中で使われている内覧は「建物の内部を実際に見ること」の意味で、「内覧宣旨を賜る」の文中で使われている内覧は「天皇に奏上する文書を前もって読んで処置すること」の意味で使われています。
内覧とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、多くは「建物の内部を実際に見ること」の意味で用いられています。不動産用語としては、賃貸物件よりも購入物件に対して使われる傾向があります。
表現方法は「内覧会」
内覧を用いた日本語には「内覧会」があります。内覧会とは、限定した人々が参加する非公式な見学会を意味します。新築の戸建て住宅やマンションの契約者を対象とした、引き渡し前に行われる物件の状態確認を目的する会です。
内覧の対義語
内覧の対義語・反対語としては、正式な情報として世間に発表することを意味する「公表」などがあります。
内覧の類語
内覧の類語・類義語としては、あらかじめ調査しておくことを意味する「下調べ」、悪い箇所や異常はないか一つ一つ検査することを意味する「点検」、書物や文書などを前もって読んで調べておくことを意味する「下読み」などがあります。
内見の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、公式ではなく内々に見ること、建物の内部を実際に見ること、江戸時代に村役人立ち会いのもとに実収高を定めることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4にある内見は、「建物の内部を実際に見ること」の意味で用いられています。例文5の内見は、「江戸時代に村役人立ち会いのもとに実収高を定めること」を意味します。
内覧の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、非公式に見ること、不動産物件を実地に見学すること、太政官から天皇に奏上する文書を内見して政務を処理したことを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「内覧の宣旨」とは、内覧を許す旨を申し付ける天皇のお言葉を伝える公文書を意味します。
内見と内覧という言葉は、どちらも「不動産物件を見学すること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、賃貸物件を見学することを表現したい時は「内見」を、購入物件を見学することを表現したい時は「内覧」を使えば間違いないでしょう。