似た意味を持つ「的確」(読み方:てきかく)と「適格」(読み方:てきかく)と「適切」(読み方:てきせつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「的確」と「適格」と「適切」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
的確と適格と適切の違い
的確と適格と適切の意味の違い
的確と適格と適切の違いを分かりやすく言うと、的確は重要な部分を捉えていることを表現する時に使い、適格は必要な資格があることを表現する時に使い、適切はふさわしいことを表現する時に使うという違いです。
的確と適格と適切の使い方の違い
的確という言葉は、「上司は的確な判断をした」「的確な治療を受ける」などの使い方で、間違いがなく、正しい様子を意味します。
適格という言葉は、「適格な身分の人たちによるパーティは豪華絢爛である」「リーダーとして彼は適格だ」などの使い方で、対象に関する必要な資格を持っていることを意味します。
適切という言葉は、「適切な処置によって一命をとりとめた」「そのレベルの児童に対して適切なレベル」などの使い方で、ぴったりと当てはまりふさわしいことを意味します。
的確と適格と適切の使い分け方
的確と適切はやや似た意味を持ちますが、「適切」は状況や目的などに当てはまらなければその限りではないため、よりその状況にとって正確であれば「的確」を使います。
また、「適格」は資格を持っていることを意味する言葉であるため、基本的には人間に対して使う言葉です。これらが、的確、適格、適切の明確な違いです。
的確の意味
的確とは
的確とは、まちがいがないことを意味しています。
的確の読み方
的確は「てきかく」という読み方をしますが、「てっかく」と読むこともできます。また、表記方法も「的確」だけではなく「適確」という書き方もできます。
表現方法は「的確に行う」「的確なアドバイス」「的確な意見」
的確を使った表現として、「的確に行う」「的確なアドバイス」「的確な意見」「的確な指示を出す」「的確に把握する」「的確に対応する」「的確過ぎる」「的確さ」などがあります。日常会話からフォーマルなビジネス用語としても使うことができる言葉です。
的確の使い方
的確を使った分かりやすい例としては、「この工場では1つ1つの細かい作業を的確に行うことが重要視されている」「あの上司はいつも的確なアドバイスをくれる」「部下から的確な意見があったにも関わらず上司のプライドにより却下されてしまった」などがあります。
的確の対義語
的確の対義語・反対語としては、大事な点を外していたり見当違いなことを意味する「的外れ」があります。
的確の類語
的確の類語・類義語としては、実情によく当てはまっていることを意味する「妥当」、細部にまで注意が行き届いていることを意味する「精細」、適当で正しいことを意味する「適正」、事実と合っていて少しも間違いのないことを意味する「正確」などがあります。
的確の的の字を使った別の言葉としては、予測などが当たることを意味する「的中」、手本や目標とするものを意味する「標的」、実現しようとしてめざす事柄を意味する「目的」、はっきりとしている様子を意味する「端的」(読み方:たんてき)などがあります。
適格の意味
適格とは
適格とは、必要な資格を十分に備えていることを意味しています。
表現方法は「適格性」「不適格」「適格者」
「適格性」「不適格」「適格者」などが、適格を使った一般的な言い回しです。
適格の使い方
適格を使った分かりやすい例としては、「あまりにも社員としての適格性を欠いているということで解雇された」「これらの不適格事項が改修されなければ賠償責任に発展する可能性がある」「納税延期の特例を受けるためには適格者証明を申請しなければならない」などがあります。
適格を使った言葉として、「適格組合」「適格年金」があります。
「適格組合」の意味
一つ目の「適格組合」とは、組合員全体が一体となり、発注機関の信頼に十分応えられる責任体制を指す言葉です。万が一事故などがあった場合、組合の役員が連帯して保証するよう決められています。
「適格年金」の意味
二つ目の「適格年金」とは、一定の条件を充たすことで税制上の優遇措置が受けられる確定給付型の退職年金制度です。「適年」などとも呼ばれますが正式名称は「適格退職年金」です。2012年までに他の制度に移行されたり、廃止されるなどしました。
適格の対義語
適格の対義語・反対語としては、適していないことを意味する「不適格」、必要な資格に欠けていることを意味する「欠格」、資格を失うことを意味する「失格」があります。
適格の類語
適格の類語・類義語としては、ある条件や目的などに上手く当てはまることを意味する「適当」があります。
適格の格の字を使った別の言葉としては、標準や規格に外れていることを意味する「格外」、普通の場合とは程度や事柄が違っていることを意味する「格別」、物事の基準となる社会一般の標準を意味する「規格」などがあります。
適切の意味
適切とは
適切とは、状況や目的などにぴったりと当てはまることを意味しています。
表現方法は「適切に行う」「適切な対応」「適切な判断」
「適切に行う」「適切な対応」「適切な判断」などが、適切を使った一般的な言い回しです。
適切の使い方
適切を使った分かりやすい例としては、「感情で行うのではなく指導は適切に行う必要がある」「トラブルには適切な対応をとることが求められる」「本当に適切な判断が行えたのかフィードバックする必要がある」などがあります。
「適切性条件」の意味
適切を使った言葉として、「適切性条件」があります。これは、発話行為が成立するのに必要な条件を整理したものを指す言葉で、4つの条件から構成されています。
発話の命題内容が満たすべき条件、発話者や聞き手や場面、状況設定に関する条件、発話者の意図に関する条件、発話によって生じる行為の遂行義務に関する条件の4つです。
例えば、「パソコンの使い方を教えてもらう」という要求は、聞き手が教えることだけではなく、話し手が一人ではパソコンを上手くさわれないことや、聞き手が教えてくれるかはまだわからない状態などが会話をする必要性をもたらします。
適切の対義語
適切の対義語・反対語としては、適さないことを意味する「不適」、その場の状況や話題となっている事柄に対する配慮を欠いていることを意味する「不適切」があります。
適切の類語
適切の類語・類義語としては、状況によく合っていることを意味する「適宜」、目的にかなっていてちょうど良いことを意味する「好適」、つり合いが取れていることを意味する「相応」、順当な道筋であることを意味する「順道」などがあります。
適切の切の字を使った別の言葉としては、非常によく当てはまることを意味する「剴切」(読み方:がいせつ)、歯を食いしばることを意味する「切歯」(読み方:せっし)、よく当てはまる様子を意味する「切実」などがあります。
的確の例文
この言葉がよく使われる場面としては、まちがいのない様子を意味する時などが挙げられます。
例文1はぴったりと当てはまるサポートという言い方もできるため、「適切」という言葉に置き換えて使うことができますが、その他は間違いのない対応によって対象を満足させることができるニュアンスを持つため、適格や適切に置き換えて使うことはできません。
適格の例文
この言葉がよく使われる場面としては、必要な資格を十分に備えている様子を意味する時などが挙げられます。
適格という言葉は、ふさわしいという言葉に置き換えて使うことができます。そのため、的確や適切という言葉に置き換えて使うことはありません。
適切の例文
この言葉がよく使われる場面としては、ぴったりと当てはまっていることを意味する時などが挙げられます。
どの適切も的確や適格に置き換えて使うことはできず、適格と違って事物に主に使います。
的確と適格と適切どれを使うか迷った場合は、間違いのないことを表す場合は「的確」を、必要な資格を持っていることを表す場合は「適格」を、ぴったりとふさわしいことを表す場合は「適切」を使うと覚えておけば間違いありません。