似た意味を持つ「必須」(読み方:ひっす)と「必至」(読み方:ひっし)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「必須」と「必至」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
必須と必至の違い
必須と必至の意味の違い
必須と必至の違いを分かりやすく言うと、必須とは欠かせない事柄を表し、必至とは必ずそうなる状況を表すという違いです。
必須と必至の使い方の違い
一つ目の必須を使った分かりやすい例としては、「スマートフォンは必須アイテムとなっている」「予約が必須の人気店だ」「この項目は入力が必須です」「必須アミノ酸を含む食品を選ぶ」「資格習得が必須条件の職種があります」などがあります。
二つ目の必至を使った分かりやすい例としては、「スキャンダルによる党の弱体化は必至である」「売り切れ必至の漫画本を予約した」「このままでは今月の赤字は必至だ」「完売必至の限定コスメを手に入れた」などがあります。
必須と必至の使い分け方
必須と必至という言葉は、言葉の響きが似ていることもあり、混同して使われることがありますが、意味は異なるので注意が必要です。必須とは欠かせないことや必要なことを意味し、持ち物や条件などに使います。必至とは必ずそうなることを意味し、状況や成り行きを表す時に使います。
上記の例文の「予約が必須」とは、人気があるので予約をしておかないといけないことを表しています。また、「売り切れ必至」とは、需要があるために必ず売り切れ状態になることを表す言葉です。このように、必須と必至は意味が異なるため、互いに置き換えて使うことはできません。
必須と必至の英語表記の違い
必須を英語にすると「essential」「indispensable」「necessary」となり、例えば上記の「必須アイテム」を英語にすると「indispensable item 」となります。
一方、必至を英語にすると「inevitable」「foregone」「brinkmate」となり、例えば上記の「弱体化は必至である」を英語にすると「inevitably weaken」となります。
必須の意味
必須とは
必須とは、必ず用いるべきこと、欠かせないことを意味しています。
必須の使い方
必須を使った分かりやすい例としては、「このご時世ドライブレコーダーは必須アイテムだ」「彼女は結婚相手への必須条件が厳しい」「取引ごとにワンタイムパスワードの入力が必須になります」「これからの時代に英語力は必須です」などがあります。
その他にも、「メールアドドレスの登録は必須ですか」「受験の必須科目だからしっかりやろう」「エントリー前に説明会への参加が必須です」「必須脂肪酸は三種類ある」「必須アミノ酸の覚え方を教えてもらった」などがあります。
必須の読み方
必須の読み方は「ひっす」の他にも「ひっしゅ」がありますが、「ひっす」と読むことが一般的です。
必須の語源
必須という言葉の「必」は是非ともしなければならないことを表し、「須」はもちいることや、もとめることを表します。必須とは、必ず用いるべきことや、なくてはならないことを意味し、日常生活からビジネスシーンまで幅広い場面で使われる言葉なのです。
「必須アミノ酸」「必須脂肪酸」の意味
必須という言葉を用いた栄養素には「必須アミノ酸」や「必須脂肪酸」があります。どちらも、動物の成長や生命維持に必要であるが、体内で合成されないため、食物から摂取しなければならない栄養素です。それぞれ「不可欠アミノ酸」「不可欠脂肪酸」とも言います。
表現方法は「必須事項」「必須条件」「必須アイテム」
上記以外にも「必須事項」「必須条件」「必須アイテム」などが、必須を使った一般的な言い回しです。
必須の類語
必須の類語・類義語としては、なくてはならないことを意味する「必要」、あることをするのに必要とすることを意味する「所要」、必要であることを意味する「入用」などがあります。
必至の意味
必至とは
必至とは、必ずその事がやってくること、そうなるのは避けられないことを意味しています。
その他にも、将棋で、次に必ず王将が詰む、受ける方法がない状態の意味も持っています。
表現方法は「解散は必至」「苦戦は必至」「必至である」
「解散は必至」「苦戦は必至」「必至である」などが、必至を使った一般的な言い回しです。
必至の使い方
「今年のリーグ戦は混戦必至と言われている」「政界の混迷が続けば国会解散は必至だ」「この舞台は大爆笑必至との前評判だ」「今日は問い合わせの電話が多くて残業必至だな」などの文中で使われている必至は、「必ずその事がやってくること」の意味で使われています。
一方、「必至問題集を買って差しての勉強をしている」「必至にもっていく方法を祖父に教えてもらった」「必至の問題に特化したアプリをみつけた」などの文中で使われている必至は、「将棋で、受けの手がなく詰みとなってしまう状態」の意味で使われています。
必至の語源
必至という言葉の「必」とは間違いなく、きっとそうなることを表し、「至」とは行き着くこと、到達することを表します。必至とは、必ずその事が到来することや必ずそうなることを表し、一般的にはこの意味で使われれいます。
必至の将棋用語での意味
必至という言葉は、将棋の用語としても使われ、結末が王将が囲まれて逃げ場がなくなると決まっているという意味があります。この意味では、「必死」と書き表すことができます。
必至と必死は、同音であり共通する意味もあることから、正しく区別せずに使われることがあります。一般に、必死は必ず死ぬことや、死にものぐるいで頑張ることを意味し、必至とは意味が異なります。将棋の用語以外では、必至と必死を混同して使わないようにしましょう。
必至の対義語
必至の対義語・反対語としては、思いのままにまかせることを意味する「任意」、束縛や制限を受けないことを意味する「随意」、必要でないことを意味する「不要」、必要がないことを意味する「不用」などがあります。
必至の類語
必至の類語・類義語としては、それよりほかになりようのないことを意味する「必然」、避けようがないことを意味する「不可避」、そうなると決まっていることを意味する「必定」などがあります。
必須の例文
この言葉がよく使われる場面としては、必ず用いるべきこと、欠かせないことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「必須アイテム」とは、必要不可欠な物や、事を行うにあたって必要になるものを意味します。「必需品」や「マストアイテム」などと言い換えることができます。例文4にある「入力必須項目」とは、必ず入力しなければいけない項目を表す言葉です。
必至の例文
この言葉がよく使われる場面としては、必ずそうなること、将棋で次に必ず王将が詰む状態を表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にある必至は、必ずそうなることの意味で使われています。例文3にある必至は、将棋において、受けの手がなく、詰みとなってしまう状態の意味で使われています。この意味では「必死」と表記することもできます。
例文4や例文5にあるように、必至と必死は同音の言葉であり、将棋用語では同じ意味を持つため混同しやすいのですが、一般的な意味は異なるので注意しましょう。
必須と必至という言葉は、音の響きが似ていますが、意味や使い方は異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合、必ず用いるべきこと表現したい時は「必須」を、必ずその事が到来することを表現したい時は「必至」を使うようにしましょう。