同じ「どうせん」という読み方の「動線」と「導線」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「動線」と「導線」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
動線と導線の違い
動線と導線の意味の違い
動線と導線の違いを分かりやすく言うと、動線とは人や物の動きを示す線を意味し、導線とは電流を流すための金属線や人を導きたい経路を意味するという違いです。
動線と導線の使い方の違い
一つ目の動線を使った分かりやすい例としては、「生活動線を計算し尽した間取りだ」「より短い動線で行き来できるようにしたい」「家づくりにおいて家事動線は重要です」「動線分析から生産性向上につなげる」などがあります。
二つ目の導線を使った分かりやすい例としては、「導線を流れる電流を計測する」「導線の抵抗値を求める」「補償導線の素材は銅が主流だ」「導線のつなぎ方が間違っている」「導線を意識した店舗設計だ」「ウェブサイトの導線設計ならお任せください」などがあります。
動線と導線の使い分け方
動線と導線は「どうせん」と読み、どちらも動作を表す「動」「導」に共通する「線」を組み合わせている文字であることから、混同して使われる傾向がありますが意味は異なります。動線とは建物や都市における人や物の動きを示す線を意味し、導線とは電流を流すための導体となる金属線を意味します。
しかし、導線は本来の意味とは別に、動線と似た意味でも使われています。上記の例文の「導線を意識した店舗」は客を導くための経路、「ウェブサイトの導線」はユーザーを導くための経路を表したもので、辞書の意味とは異なりますが、俗に誘導したい経路の意味で使われています。
動線と導線の英語表記の違い
動線を英語にすると「traffic line」「line of flow」「movement line」となり、例えば上記の「生活動線」を英語にすると「traffic line of daily life」となります。
一方、導線を英語にすると「lead wire」「director curve」となり、例えば上記の「導線を流れる電流」を英語にすると「current in a lead wire」となります。
動線の意味
動線とは
動線とは、建築や都市における人や物の動きを示す線を意味しています。
表現方法は「動線を作る」「動線を分ける」「動線を確保する」
「動線を作る」「動線を分ける」「動線を確保する」などが、動線を使った一般的な言い回しです。
動線の使い方
動線を使った分かりやすい例としては、「家事動線を考えた家づくり」「介護動線も見据えたシニア向けマンションです」「住んでみるとゴミ出しの動線が悪い家だった」「通行人の動線を塞いでスマホを見ている」などがあります。
その他にも、「工場における動線分析を請け負います」「動線計画をもとにオフィスレイアウトを考える」「看護動線の短縮が課題である」「今回のダンスは壁に沿って踊る動線にしよう」「動線を塞ぐ場所で立ち話しないで」などがあります。
動線という言葉は、都市や住居などの空間のなかで人や物が移動する場合の経路や軌跡のことを意味します。都市設計や建築設計などを行う際に機能性や居住性を判定する指標となります。動線は短ければ無駄な動きが少なくてすみ、これらの動線が交差せずに長くなりすぎないように計画するものです。
「生活動線」「家事動線」の意味
上記の例文の「生活動線」とは寝て起きる、顔を洗う、食事をする、排せつする、出かける、くつろぐ、入浴するといった一連の動きをつないだ線であり、「家事動線」とは調理する、片づける、洗濯する、干す、掃除するといった家事にかかわる動きをつないだ線のことです。
動線の類語
動線の類語・類義語としては、順序よく進めるように定めた道順を意味する「順路」、進んで行く道や行く手を意味する「進路」、流れるように連なって動くものやその動きを意味する「流れ」などがあります。
導線の意味
導線とは
導線とは、電流を流すための導体となる金属線、電線を意味しています。
表現方法は「導線を作る」「店の導線」「客導線」
「導線を作る」「店の導線」「客導線」などが、導線を使った一般的な言い回しです。
導線の使い方
導線を使った分かりやすい例としては、「導線の電気抵抗について調べてみよう」「導線の長さやつなぎ方を変えて実験する」「導線に電流を流すと磁界ができる」「平行導線に働く力を観察する」「ビニール導線が手に入った」などがあります。
その他にも、「WEBサイトの導線を改善する」「ユーザーを意識した導線設計が不可欠である」「店舗設計には導線作りが重要である」「導線計画をもとにブースデザインをする」「導線を考えた店舗デザインだ」などがあります。
導線という言葉は、電流を通すための導体の針金を意味します。銅やアルミニウムなどが用いられ、電線とも言います。辞書にはこの意味で載っているのですが、導線という言葉の「導」には、ある方向に引っぱることや導くことの意味もあり、世間一般に「導きたい経路」の意味でも使われています。
「WEBサイトの導線」「導線を考えた店舗」の意味
上記の例文の「WEBサイトの導線」とは、Webサイトにおいてユーザーを誘導するための仕掛けを意味します。また、「導線を考えた店舗」とは、 買い物客が回ってほしい導きたい経路のことです。この意味では、人の動きを意味する「動線」とも言い換えることができます。
導線の類語
導線の類語・類義語としては、電気を導く金属線を意味する「電線」、電気機器や通信装置などを導線で接続して回路を構成することを意味する「配線」、絶縁物で覆った電線を束ねさらに外装して1本にしたものを意味する「ケーブル」などがあります。
動線の例文
この言葉がよく使われる場面としては、人や物が移動する場合の経路や軌跡のことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「客動線」とはお客様が店内を歩く軌跡のことであり、「サービス動線」とはお客様にサービスするために店員が歩く軌跡のことを表します。例文5にある「動線上」とは、建物の中を人が自然に動く時に通ると思われる経路の途中にあることを意味しています。
導線の例文
この言葉がよく使われる場面としては、端子間をつないで電流を通ずる針金、導きたい経路を表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2で使われている導線は、電流を通すための導体の針金を意味し、電線とも言います。例文3や例文4で使われている導線は、誘導したい経路の意味で使わています。例文5にある「生活導線」は誤りです。生活における自然な動きの軌跡は「生活動線」と表現します。
動線と導線という言葉は、どちらも「どうせん」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、人や物の動きを示す線を表現したい時は「動線」を、電流を流すための金属線や人を導きたい道筋を表現したい時は「導線」を使うようにしましょう。