【1人】と【独り】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「ひとり」という読み方、似た意味を持つ「1人」と「独り」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「1人」と「独り」という言葉は、どちらも自分だけであるという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




1人と独りの違い

1人と独りの意味の違い

1人と独りの違いを分かりやすく言うと、1人とは人数が1であることで、独りとは孤独で寂しいことを意味しているという違いです。

1人と独りの使い分け方

一つ目の「1人」は、人数が1であることを意味し、それ以上の意味はありません。例えば「自転車は原則として1人乗りです」という言葉のように、何かをする人数が1であることを表現しています。

二つ目の「独り」は、「1人だから寂しい」という意味の言葉です。独りは1人の特殊な場合を表現する言葉と考えることが出来ます。例えば「座敷に独りポツンと座っている」と言われる場合、1人であることに加えて物寂しいというニュアンスが出されています。

「ひとりが気楽だ」は「1人」と「独り」のどちらを使っても表現することが出来ます。「1人が気楽だ」の場合、いつもは大人数だけど、それが苦手だという意味合いが出て、「独りが気楽だ」は、孤独をかえって楽しむという意味合いが出ます。

どちらかの言葉しか使えない場合も、当然あります。「商品はおひとり様2つ限りとさせていただきます」のような場合には、「独り」を使うことは出来ません。逆に「噂がひとり歩きする」の場合の「ひとり」は「独り」です。噂は人ではないので「1人」と言えません。

1人の意味

1人とは

1人とは、人数が1であることを意味しています。

表現方法は「1人が好き」「1人で楽しむ」「1人ぼっち」

「1人が好き」「1人で楽しむ」「1人ぼっち」などが、1人を使った一般的な言い回しです。

1人の使い方

「○人」の人は、人の数を数える言葉です。リンゴなどの「個」や本などの「冊」と同じ役割を、人は果たしています。こうした数の後に添えてどんな種類のものの数値かを示す言葉を、文法用語では「助数詞」と言います。

それに対して、例えば「原始人」や「軍人」、あるいは「大人」という言葉に使われている人の字は、助数詞ではありません。これらの言葉に使われている人の字は、「人というカテゴリーである」ということを意味しています。

1人は人数が1ということを表現する言葉で、それ以上の細かいニュアンスはありません。「1人で買い物する」は、楽しいや詰まらない、気楽や寂しいといった感情や評価とは何の関係もない表現です。

独りの意味

独りとは

独りとは、1人で寂しいことを意味しています。

表現方法は「独り寂しい」「独り立ち」「独り占め」

「独り寂しい」「独り立ち」「独り占め」などが、独りを使った一般的な言い回しです。

独りの使い方

独りは1人の特殊な場合だと考えることが出来ます。例えば「部屋に独り」は物寂しい印象を与えます。

また「独り歩き」という言葉があります。「一人歩き」と表記すると、例えば夜道に1人で出歩くことなどを表現しますが、「独り歩き」と表記すると、例えば見習いだった人が実力をつけて、自分ひとりで仕事が出来るようになることを表現しています。

「独り歩き」の場合には、必ずしも寂しいという意味合いはありません。ただし、弟子が独り歩きをして親方や師匠が寂しさを覚えることはあります。

1人という言葉の人という字は、人間の数を示す助数詞ですが、独りには人という字が入っていないので、この言葉は助数詞ではありません。なので、独りという言葉は人間以外の物事に対しても使うことが出来ます。

例えば「著作が独り歩きする」は、本の内容が著者の意図とは別の仕方で世間に受け取られるような状況を表現しています。

独りという言葉は、独り歩きのように他の言葉の一部として使われる時には、寂しいという意味合いが無くなる場合があります。そのようなケースとしては、例えば「独り立ち」や「独り占め」などがあります。

独りの類語

独りの類語・類義語としては、何らかの支配を抜け出すことを意味する「独立」、ただそれ1つであることを意味する「単独」、独り占めすることを意味する「独占」、自分1人だけで物事を決めたり、支配することを意味する「独裁」などがあります。

1人の例文

1.打ちっぱなしのゴルフ場で1人ゴルフを満喫する。
2.1人旅のほうが、自分の好きなところを好きなタイミングで回れて気楽でいいよ。
3.妻が旅行中で今は自分1人だけど、周りの人が思うほど寂しくないよ。
4.1人の暮らしは快適だけど、家事が時々面倒くさい。
5.1人暮らしをするので、今からインテリアを考えている。
6.この頃は1人でも鍋や焼き肉を楽しめるなど、1人で来店する客用の席を設けている飲食店もありありがたい。
7.あの国はGDPこそ世界で上位に入っているものの、1人当たりの名目GDPはまだまだ低いのが現状だ。
8.大学の1人暮らしは家事も大変で、実家のありがたみが身に沁みてわかりました。
9.友人はバイキングで1人で全部食べきれないほど持ってくるので、結局私が食べるハメになるのだ。
10.戸棚にあった食料は1人分しかなかったので、2人で半分ずつにして食べることにしました。

この言葉がよく使われる場面としては、人数が1であることを表現したい時などが挙げられます。1人の人という字は、人間がどれくらいの数いるのかを表す助数詞です。細かいことですが、「日本人」や「フランス人」などの人とは文法上区別されています。

1人という言葉には、本来は楽しいや寂しいといった意味合いはありません。この言葉に、不用意に余分なニュアンスを読み込まないように注意して下さい。

独りの例文

1.他人に煩わされるよりは、独りで生きていくほうがよほど楽だ。
2.方向音痴なので、知らない場所に独りで行くのは絶対に嫌だ。
3.自分は独りだとばかり思っていて、困ったときに助けてくれる人が大勢いることには気づかなかった。
4.電車で独り言が多い人の隣になってしまった。
5.親切が独りよがりになっていることに、あの人は全然気づいていない。
6.さみしがり屋で甘えん坊の娘が独り暮らしをすると言いだし驚いたが自立への第一歩だと思って見守ることにした。
7.夫は大学生の時に独り暮らしをしていた経験もあるので、ちょっとした料理はお手の物です。
8.私は性格上、独りが苦にならないので、家で仕事をすることになんら抵抗はなかった。
9.もし子供がしっかり育って独り立ちしてくれてたら、その後は世界一周旅行でもしてみたいものだ。
10.彼はいつもぶつぶつ独り言のような事を言っているので、周りから変な人だと思われていた。

この言葉がよく使われる場面としては、1人で寂しいことを表現したい時などが挙げられます。独りは助数詞「人」を含まないので、人間の数を数えているわけではありません。多くの場合「1人」を含意しますが、時にはそうでないこともあります。

例えば「独り歩き」は「噂が独り歩きする」のように、人以外の物事を表現することもあります。また「独り立ち」や「独り占め」などにも見られるように、寂しいという意味が抜け落ちることもあります。

この言葉を見かけた時には、そこにどのような意味合いが込められているかに注目してみて下さい。

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