【貞操】と【貞節】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「貞操」(読み方:ていそう)と「貞節」(読み方:ていせつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「貞操」と「貞節」という言葉は、どちらも純潔を守ることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




貞操と貞節の違い

貞操と貞節の意味の違い

貞操と貞節の違いを分かりやすく言うと、貞操とは男性にも女性にも使える表現、貞節とは女性のみに使える表現という違いです。

貞操と貞節の使い方の違い

一つ目の貞操を使った分かりやすい例としては、「私は結婚するまで貞操を守るつもりだ」「貞操権侵害で慰謝料を請求したい」「貞操を破ったことを咎める」「日本における貞操観の変遷を調べている」などがあります。

二つ目の貞節を使った分かりやすい例としては、「彼女は貞節な妻を演じている」「貞節を尽くすことを誓います」「花言葉に貞節の意味を持つ花は多い」「女性に貞節と父や夫への従属を奨励する教育だった」などがあります。

貞操と貞節の使い分け方

貞操と貞節という言葉は、どちらもパートナー以外の相手と関係をもたないことを表し、似た表現をする言葉ですが、厳密な意味や使い方は異なります。

貞操とは、夫婦や恋人同士が相互に性的純潔を守ることを意味し、男性にも女性にも使える表現です。一方の貞節とは、女性が夫以外の男性に身や心を許さないことを表し、女性に使える表現ですが男性に使うことはできません。

また、貞操には、人としての正しい道を守ることの意味もあります。上記の例文の「貞操観」とは社会生活で人の守るべき道理や、善悪の判断基準となる考え方を表しています。貞節には純血を守る以外の意味はありません。

貞操と貞節という言葉を比べると、貞節の意味は貞操に含まれ、貞操の方がより広い意味を持ち汎用性のある言葉だと言えるでしょう。

貞操と貞節の英語表記の違い

貞操を英語にすると「chastity」「virtue」「honor」となり、例えば上記の「貞操を守る」を英語にすると「preserve one’s chastity」となります。

一方、貞節を英語にすると「faithfulness」「constancy」「fidelity」となり、例えば上記の「貞節な妻」を英語にすると「faithful wife」となります。

貞操の意味

貞操とは

貞操とは、正しいみさお、人としての正しい道を守ることを意味しています。

その他にも、夫婦・恋人同士が相互に純潔を守ることの意味も持っています。

表現方法は「貞操に反する」「貞操を守る」「貞操観念」

「貞操に反する」「貞操を守る」「貞操観念」などが、貞操を使った一般的な言い回しです。

貞操の使い方

「貞操にもとる行為は許さない」「あまりにも貞操に反する事件だろう」「宗教によって貞操観念が異なる」「信徒として貞操を守る」などの文中で使われている貞操は、「人としての正しい道」の意味で使われています。

一方、「結婚するなら貞操観念の高い人が良い」「貞操権侵害に関する判例を集めている」「興味本位で貞操帯装着写真を検索した」などの文中で使われている貞操は、「夫婦・恋人同士が相互に純潔を守ること」の意味で使われています。

貞操という言葉は上記の例文のように二つの意味がありますが、一般にはパートナーが相互に純潔を守ることの意味で使われています。

貞操の「貞」とは心が正しいことを表し、「操」とは心構えをしっかり持つことを表します。貞操という言葉を用いた日本語には「貞操義務」「貞操帯」などがあります。

「貞操義務」の意味

「貞操義務」とは、夫婦が相互に貞操を守る義務を意味します。これに違反したときは、不貞な行為があったものとして法的には離婚の理由として認めらており、慰謝料を請求される場合もあります。

「貞操帯」の意味

「貞操帯」とは、11世紀にヨーロッパで発明された器具で、遠征する十字軍の騎士が留守中の妻女の貞操保護のために使用させたという説があります。

貞操の類語

貞操の類語・類義語としては、 自分の意志や主義を貫いて誘惑や困難に負けないことを意味する「操」、女性の操がかたくしとやかなことを意味する「貞淑」、貞操が固く行いの潔白なことを意味する「貞潔」などがあります。

貞節の意味

貞節とは

貞節とは、女性が夫以外の男性に身や心を許さないことを意味しています。

表現方法は「貞節を尽くす」「貞節を守る」「貞節の心」

「貞節を尽くす」「貞節を守る」「貞節の心」などが、貞節を使った一般的な言い回しです。

貞節の使い方

貞節を使った分かりやすい例としては、「パートナーへの貞節を守る」「一生、夫に貞節を尽くすつもりだ」「貞節を神と参列者の前で誓う」「牧師が婦女に貞節を説く」「貞節の掟を破ってはいけません」などがあります。

その他にも、「貞節な妻を装って裏で遊んでいる」「貞節を守らずに夫以外の子供を産むことはご法度だ」「浮気をした父に母は貞節を貫いた」「結婚式で貞節を守ることを誓った」「いかにも貞節な婦人の雰囲気がある」などがあります。

貞節は女性だけに使う言葉

貞節という言葉の「節」とは言動にけじめをつけてはみ出ないことを表します。貞節は、節操がかたいこと、特に女としてのみさおをかたく守ることを意味し、女性に対して用いられる言葉です。

「貞女は両夫にまみえず」の意味

貞節の意味を含んだことわざに「貞女は両夫にまみえず」があります。貞女とは貞節な女性のことであり、貞節な女性は亡夫に操を立てて、再び別の夫をもつことをしないことを意味します。「貞女は二夫を更えず」とも言います。

貞操の例文

1.貞操観念とはわかりやすく言うと、純潔を守ろうという考えのことである。
2.貞操観念の低い人の特徴としては、自由奔放な性格で束縛を嫌う傾向がある。
3.彼女は貞操義務違反を理由として、夫に慰謝料の支払いを求めている。
4.既婚者であることを隠して関係を結んだ場合、貞操権の侵害として相手に慰謝料を請求することができます。
5.人にはそれぞれ貞操感念があると書いてあるが、貞操観念の間違いだろう。
6.今の時代、昔と比べてみても貞操観念についてはだいぶ大らかな考え方がもたれているような気がする。
7.貞操観念を直接教わることはまれだが、親の行動や言動で無意識のうちに刷り込まれていくものだと思う。
8.男というのは身勝手で、妻には貞操観念を求めるのに、それ以外の女性には自由奔放でいてほしいと願っている。
9.戦前までは結婚するまで貞操を守る風潮があったそうだが、戦後からはその風潮は次第に無くなっていった。
10.明治生まれだった祖母が生きていた頃は現代の男女には貞操を守ろうという気持ちが希薄になったと嘆いていたよ。

この言葉がよく使われる場面としては、正しいみさお、男女が互いに異性関係の純潔を守ることを表現したい時などが挙げられます。

例文3にある「貞操義務違反」とは、夫婦がお互いに守るべき貞節を守らず不貞行為を行った状態のことです。例文4の「貞操権」とは、関係を結ぶ相手を自分で選ぶ権利や、自己の意思に反して侵害を受けない権利のことです。例文5にある「貞操感念」は誤り、正しくは「貞操観念」です。

貞節の例文

1.彼女は賢明で貞節な妻でありたいと思いながらも、初恋の彼が忘れられないようだ。
2.女性は家を守り、夫に貞節を尽くすべしという考え方は時代錯誤ではないか。
3.旦那以外に気になる男性が現れて、貞節とは何ぞやと自問自答するようになった。
4.結婚する時に愛し慈しみ貞節を守ることを誓ったのに、結婚3年目にして裏切られるとは。
5.知り合いに車で送ってもらっただけなのに、主人に「お前には貞節の心がないのか」となじられた。
6.美人で聡明なのに頑なに貞節を守る彼女は、箱入り娘と見られてしまっているらしくアプローチが少ないそうだ。
7.他人から誤解をされる行動をとらないよう言動を律することができる彼女は、貞節を守っていると思われがちである。
8.結婚した妻が裏で貞節を守らないことを知っていても、夫が何も言えないでいるのは実に不甲斐ないことだ。
9.夫は美しい妻を娶ったが、その妻が必ずしも貞節があるとは限らないことに気づき、人知れぬ悩みを持つことになった。
10.明治以後のような厳格な男尊女卑の時代だからこそ、貞節を守らない自由奔放な女を生み出すこともあるだろう。

この言葉がよく使われる場面としては、妻が夫に対して貞操を守り、誠実を尽くすことを表現したい時などが挙げられます。

貞節という言葉は、上記の例文にあるように、もっぱら女性の純潔さを表します。例文2にある「貞節を尽くす」とは、妻が夫に対し貞操を守り、誠実を尽くすことを意味する言い回しです。例文4にある「貞節を守る」とは、浮気をしないことを心に固く決心することを表現しています。

貞操と貞節という言葉は、どちらも純潔を守ることを表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、男女に関係なく純潔を守ることを表現したい時は「貞操」を、女性が純潔を守ることを表現したい時は「貞節」を使うようにしましょう。

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