【健闘】と【奮闘】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「健闘」(読み方:けんとう)と「奮闘」(読み方:くとう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「健闘」と「奮闘」という言葉は、どちらもを力を尽くして戦うことという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




健闘と奮闘の違い

健闘と奮闘の意味の違い

健闘と奮闘の違いを分かりやすく言うと、健闘とは困難な状況で頑張ることを表し、奮闘とは状況に関わらず力いっぱい頑張ることを表すという違いです。

健闘と奮闘の使い方の違い

一つ目の健闘を使った分かりやすい例としては、「我がチームは健闘むなしく初戦敗退となった」「逆風が吹き荒れる中で健闘している焼肉チェーン店だ」「試合終了後には互いに健闘をたたえあう」「君の健闘を祈るよ」などがあります。

二つ目の奮闘を使った分かりやすい例としては、「子育て奮闘中でオシャレに構っていられない」「強豪チームを相手に奮闘する」「会社を興したばかりで起業奮闘記を日記に綴っている」「感染症対策に奮闘中です」などがあります。

健闘と奮闘の使い分け方

健闘と奮闘という言葉は、どちらも力を尽くしてよく戦うことを表し、スポーツやビジネスシーンで使われていますが、厳密な意味は異なります。健闘とは、困難に屈せずに頑張って闘うことや努力することを意味します。奮闘とは、力をふるって戦うことや力いっぱい努力することを意味します。

健闘と奮闘という言葉を比べると、健闘には不利な条件があるのに立派に戦うというニュアンスがあります。一方の、奮闘は条件の不利等のニュアンスはなく、関係なく力一杯がむしゃらに戦うことを表します。困難な状況や不利な戦い表現したい時には、健闘という言葉を用いるのが適切でしょう。

また、健闘は「健闘を祈っています」などと使い、相手の頑張りを激励を表現する時にも用いられますが、奮闘には相手を激励するような使い方はありません。

これらが、健闘と奮闘という言葉の明確な違いになります。

健闘と奮闘の英語表記の違い

健闘を英語にすると「vigorous effort」「strenuous efforts」「good fight」となり、例えば上記の「健闘むなしく」を英語にすると「in spite of a good fight」となります。

一方、奮闘を英語にすると「hard struggle」「strive」となり、例えば上記の「奮闘中」を英語にすると「in the middle of a hard struggle」となります。

健闘の意味

健闘とは

健闘とは、困難に屈せず頑張って闘うこと、不利な条件があるのによく努力することを意味しています。

健闘の使い方

健闘を使った分かりやすい例としては、「貴校野球部のご健闘をお祈りいたします」「試験の健闘を祈ります」「健闘してる店舗と苦しんでる店舗の二極化が見られる」「健闘むなしく敗れて悔しい」などがあります。

その他にも、「惜しくも敗れた選手たちの健闘を称える」「格上のチームに健闘したが、PK戦の末に敗れた」「テスト結果は1問ミスの大健闘でした」「小型株が大型株を上回る健闘ぶりを見せている」などがあります。

健闘という言葉の「健」とは、すこやかである体の状態の他に、程度がはなはだしいことを表します。「闘」とは、戦うことや争うことを表し、健闘とは、一所懸命によく戦うことや、困難に屈しないで頑張ることを意味する言葉です。

「健闘を祈る」の意味

健闘という言葉を用いた言い回しには「健闘を祈る」があり、スポーツの試合などで「頑張ってください」「応援しています」の意味合いで使われています。スポーツ以外にも、試験を受ける人に対してや、交渉事や事業を進めるビジネスシーンなど、相手を激励する場面で用いられてる言葉です。

表現方法は「健闘を称える」「健闘する」「健闘した」

「健闘を祈る」以外では「健闘を称える」「健闘する」「健闘した」などが、健闘を使った一般的な言い回しです。

健闘の類語

健闘の類語・類義語としては、勇敢に戦うことを意味する「敢闘」、力を尽くしてよく戦い抜くことを意味する「善戦」、ある目的の実現のために力を尽くすことを意味する「尽力」、気力をふるい起こして努め励むことを意味する「奮励」などがあります。

奮闘の意味

奮闘とは

奮闘とは、苦しみに耐えながら戦うことを意味しています。

その他にも、力いっぱい努力することの意味も持っています。

表現方法は「奮闘する」「仕事に奮闘」「奮闘中」

「奮闘する」「仕事に奮闘」「奮闘中」などが、奮闘を使った一般的な言い回しです。

奮闘の使い方

「一筋縄でいかない相手チームに奮闘する」「真田幸村は大坂冬の陣で孤軍奮闘した」「体育祭のスローガンは力戦奮闘に決まった」などの文中で使われている奮闘は、「苦しみに耐えながら戦うこと」の意味で使われています。

一方、「子育て奮闘記をブログに書くことにした」「彼の奮闘で契約がまとまった」「安定経営のために日夜奮闘中です」などの文中で使われている奮闘は、「力いっぱい努力すること」の意味で使われています。

奮闘という言葉は、上記の例文にあるように二つの意味があり、どちらの意味でも使わているので、文脈により意味を捉える必要があります。奮闘の「奮」とは、ふるい立つことや気力をふるうことを表します。

奮闘という言葉を用いた四字熟語には「孤軍奮闘」「力戦奮闘」があります。

四字熟語「孤軍奮闘」の意味

「孤軍奮闘」とは、孤立した少数の軍勢でよく戦うことや、援助するものもない中で一人でで一所懸命に努力することを意味します。比喩的に、だれからも支援がないのに一人で懸命に努力することにも用いられています。「孤軍」は、援軍と連絡が取れずに孤立した軍隊のことです。

四字熟語「力戦奮闘」の意味

「力戦奮闘」とは、勇気や気力を出し尽くして戦うことや、力の限り全力で困難などにぶつかっていくことを意味します。「力戦」は、全力を注いで戦うことを表します。

奮闘の類語

奮闘の類語・類義語としては、相手が強く不利な状況で苦しい戦いをすることを意味する「苦戦」、苦しみに耐えながら戦うことを意味する「苦闘」、力いっぱい戦うことを意味する「力闘」、困難な物事に一生懸命に取り組むことを意味する「格闘」などがあります。

健闘の例文

1.戦いの後に相手チームの健闘を称えるというノーサイド精神を学ばせるために、子供にラグビーを習わせたい。
2.新監督のもと我がチームは善戦健闘したが、力及ばず敗れる結果となった。
3.なかなか練習に時間が取れない状況でしたが、本校生徒は各種目で大健闘してるようで、県大会出場の朗報が次々と入っています。
4.塾講師をしているので、2月の受験シーズンになると、受験生達の健闘を祈る日々が続きます。
5.全国大会ご出場おめでとうございます。貴校ソフトボール部のご健闘をお祈りいたします
6.全国大会に出場が決定した市内の高校のチームとコーチらが市役所を訪れ、市長に面会し、健闘を誓ったことが新聞で報道されていた。
7.周りから弱小チームだと言われていたサッカーチームが強豪チーム相手に健闘したのは、新監督の采配の巧みさだという分析記事があった。
8.上層部から送られてきたレコードには、今回の極秘司令が吹き込まれており、最後には必ず「諸君の健闘を祈る」で締めるのがお約束のようだった。
9.わたしがディレクションを担当した新番組の視聴率は10%ほどであったが、裏番組が大河ドラマということを考えると大健闘したといえるのではないだろうか。
10.決勝戦は大いに盛り上がり、我がチームは惜しくも優勝を逃したが、両チームがお互いの健闘を称える抱擁をするほど感動的な試合になった。
11.カードゲームの選手権では優勝常連選手を前にわたしはいつものごとく悪戦苦闘していたが、相手のミスにより善戦健闘するほど追い上げを見せたりもした。

この言葉がよく使われる場面としては、 一所懸命によく戦うこと、困難に屈しないで頑張ることを表現したい時などが挙げられます。

例文2にある「善戦健闘」とは、持っている力を全て出し切って立派に戦うことを意味する四字熟語です。例文5のように「健闘」という言葉に、尊敬を表す接頭語の「ご」を付けて「ご健闘」とすることで敬う気持ちを表すことができ、ビジネスシーンや目上の人にも使える表現になります。

奮闘の例文

1.彼は新人ながらも4本のシュートを決め、大敗したチームの中で孤軍奮闘した。
2.もうすぐ育児休業が明けるので、仕事と子育ての両立に奮闘するママ達から話を聞かせてもらっている。
3.育児も介護も孤軍奮闘では難しいものだから、家族の協力が得られないのであれば外注サービスを利用した方が良い。
4.転職したばかりで新しい仕事に奮闘中で精神的にも時間的にも余裕がないため、同窓会は欠席することにした。
5.得体の知れない感染症への対策に奮闘する教育現場の苦労を思うと、先生方には感謝しかない。
6.わたしはサッカーの実力を高めるために、高校生の時、サッカー留学をしたが、当初は言葉も通じず、なかなか友達もできず、まさに孤軍奮闘の日々であったよ。
7.わたしは経営を立て直すためにこの会社の社長に就任したが、幹部連中の辛辣な視線を感じた時、まさに奮闘記が始まったとの気持ちであった。
8.わたしの母親は7人の子どもを産んで育てた偉大な母親であり、もしもそれらの子育てを奮闘記にして出版したら売れるに違いないと思っている。
9.日本の伝統文化に興味を持った女性が、師匠に弟子入りして右も左もわからない中奮闘している様子がニュースの特集コーナーで放映されていた。
10.科学技術の歴史の本を何冊か読破したが、これは人間が知恵を振り絞った奮闘の物語であり、その奮闘が現在でも行われているのだと痛感した。
11.わたしはいままでのトレーニングをやめて、新しいトレーニングを導入し奮闘するも、実際の試合での表彰台までの距離はまだまだ遠かった。

この言葉がよく使われる場面としては、力をふるって戦うこと、力いっぱい努力することを表現したい時などが挙げられます。

例文1での奮闘は、力をふるって戦うことの意味で、例文2から例文5にある奮闘は、力いっぱい努力することの意味で使われています。例文3にある「孤軍奮闘」は、だれからもサポートがないのに一人で懸命に努力することを表しています。

健闘と奮闘という言葉は、どちらも優れた働きや成果を意味します。どちらの言葉を使うか迷った場合、困難に屈しないで頑張ることを表現したい時は「健闘」を、力いっぱい努力することを表現したい時は「奮闘」を使うようにしましょう。

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