似た意味を持つ「しかも」と「さらに」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「しかも」と「さらに」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
「しかも」と「さらに」の違い
「しかも」と「さらに」の意味の違い
「しかも」と「さらに」の違いを分かりやすく言うと、「しかも」とは前述の事柄を受けてさらに別の事柄を加えることを意味する接続詞、「さらに」とは今までよりも程度が増すことを意味する副詞という違いです。
「しかも」と「さらに」の使い方の違い
一つ目の「しかも」を使った分かりやすい例としては、「彼女はとても美人でしかもお金持ちです」「今日は雨が降っている、しかも寒い」「このレストランはとても美味しい、しかも接客も丁寧だ」「彼はかっこよくて賢く、しかもとても親切だ」などがあります。
二つ目の「さらに」を使った分かりやすい例としては、「この料理はこの調味料を加えるとさらに美味しくなります」「先週よりさらに暑くなったと思います」「混んでいる車内にさらに人が入ってきました」「私たちはさらに検討する必要があります」などがあります。
「しかも」と「さらに」の使い分け方
「しかも」と「さらに」はどちらもよく使われている日本語ですが、意味は異なっているので間違えないように注意しましょう。
「しかも」は前述の事柄を受けてさらに別の事柄を加えること、つまり強調したい事柄を付け加えることを意味する接続詞です。
一方、「さらに」は同じことが重なったり加わったりすることや今までよりも程度が増すこと、つまり上乗せされることを意味する副詞になります。
「しかも」と「さらに」の英語表記の違い
「しかも」を英語にすると「moreover」「besides」「what is more」となり、例えば上記の「彼はかっこよくて賢く、しかもとても親切だ」を英語にすると「He is handsome, clever, and very kind besides」となります。
一方、「さらに」を英語にすると「still more」「furthermore」「in the least」となり、例えば上記の「私たちはさらに検討する必要があります」を英語にすると「We need to study the matter further」となります。
「しかも」の意味
「しかも」とは
「しかも」とは、前述の事柄を受けてさらに別の事柄を加えることを意味しています。その他にも、前述の事柄を受けてそれに反する帰結を付け加えることの意味も持っています。
「しかも」の使い方
「彼は東大卒業でしかもイケメンです」「ここの中華料理屋はとても美味しい。しかも安い」などの文中で使われている「しかも」は、「前述の事柄を受けてさらに別の事柄を加えること」の意味で使われています。
一方、「あれだけ練習してしかも一度も勝てませんでした」「あれだけ勉強してしかも合格することができなかった」などの文中で使われている「しかも」は、「前述の事柄を受けてそれに反する帰結を付け加えること」の意味で使われています。
「しかも」の漢字表記
「しかも」を漢字にすると「然も」や「而も」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限りひらがなの「しかも」を使うようにしましょう。
「しかも」は前述の事柄を受けてさらに別の事柄を加えることや前述の事柄を受けてそれに反する帰結を付け加えることを意味する接続詞です。
接続詞とは、自立語で活用がなく、先行する語や文節や文を受けて後続する語や文節や文に言いつづけ、それらのものの関係を示す言葉のことです。
「しかも」以外の接続詞
「しかも」以外の接続詞としては、順接の「だから」「したがって」、逆接の「しかし」「けれども」、累加の「または」「および」、選択の「あるいは」「もしくは」などがあります。
また、「しかも」はそんなにまでもという副詞の意味も持っていますが、古文などでよく使われる用法で、現代においてはあまり使われていません。
「しかも」の類語
「しかも」の類語・類義語としては、その上のことを意味する「それに」、前の事柄を受けてそれにさらにある事が付け加わることを意味する「その上」、ある事柄に他の事柄が加わることを意味する「且つ」などがあります。
「さらに」の意味
「さらに」とは
「さらに」とは、同じことが重なったり加わったりすることを意味しています。その他にも、今までよりも程度が増すことや打消しの語を伴って完全な否定を表すことの意味も持っています。
「さらに」の使い方
「さらにこういう問題も増えてきました」「さらに3年の月日が経ちました」などの文中で使われている「さらに」は、「同じことが重なったり加わったりすること」の意味で使われています。
一方、「丁寧に掃除をしたらさらに綺麗になりました」「この件についてさらに覚えがない」などの文中で使われている「さらに」は、「今までよりも程度が増すことや打消しの語を伴って完全な否定を表すこと」の意味で使われています。
「さらに」の漢字表記
「さらに」を漢字にすると「更に」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限りひらがなの「さらに」を使うようにしましょう。
「さらに」は複数の意味を持つ副詞ですが、一般的に使われているのは同じことが重なったり加わったりすることと、今までよりも程度が増すことの二つの意味になります。
副詞とは、品詞の一つであり、他の言葉を修飾して説明を加えるという役割を担っています。「さらに」以外の副詞とは、「ちょっと」「とても」「ひたすら」「だいぶ」「かなり」「しばらく」「すぐに」などがあります。
「さらに」の類語
「さらに」の類語・類義語としては、事物の程度や状態がさらにその度を強めることを意味する「もっと」、程度が一層甚だしくなることを意味する「ますます」、程度が一段と進むことを意味する「一層」などがあります。
「しかも」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、前述の事柄を受けてさらに別の事柄を加えることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、前述の事柄を受けてそれに反する帰結を付け加えることを表現したい時にも使います。
例文1から例文4の「しかも」は前述の事柄を受けてさらに別の事柄を加えること、例文5の「しかも」は前述の事柄を受けてそれに反する帰結を付け加えることの意味で使っています。
「さらに」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、同じことが重なったり加わったりすることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、今までよりも程度が増すことや打消しの語を伴って完全な否定を表すことを表現したい時にも使います。
例文1と例文2の「さらに」は同じことが重なったり加わったりすること、例文3から例文5の「さらに」は今までよりも程度が増すことの意味で使っています。
「しかも」と「さらに」は意味が異なっているので間違えないように注意しましょう。どちらの言葉を使うか迷った場合、前述の事柄を受けてさらに別の事柄を加えることを表現したい時は「しかも」を、今までよりも程度が増すことを表現したい時は「さらに」を使うと覚えておきましょう。