【収賄】と【贈賄】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「収賄」(読み方:しゅうわい)と「贈賄」(読み方:ぞうわい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「収賄」と「贈賄」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。




収賄と贈賄の違い

収賄と贈賄の意味の違い

収賄と贈賄の違いを分かりやすく言うと、収賄とは賄賂を受け取ること、贈賄とは賄賂をおくることという違いです。

収賄と贈賄の使い方の違い

一つ目の収賄を使った分かりやすい例としては、「収賄罪の構成要件に該当しない」「収賄と贈賄では罪の重さが違う」「民間人も賄賂罪の主体になりうる」「病院局の職員が収賄容疑で逮捕された」などがあります。

二つ目の贈賄を使った分かりやすい例としては、「社長が贈賄罪の容疑で逮捕された」「外国公務員への贈賄防止を目的とする法律」「土木工事の入札で贈賄の罪で起訴された」「社員が贈賄容疑で逮捕されたことを謝罪する」などがあります。

収賄と贈賄の使い分け方

収賄と贈賄という言葉は、どちらも議員や公務員などが、その職権を利用して便宜を与える見返りに違法な報酬受ける贈収賄事件や汚職事件などで使われる言葉です。二つの言葉は、表現が似ていますが、意味や使い方に大きな違いがあります。

収賄と贈賄という言葉に共通する「賄」とは賄賂のことであり、公務員の職務に関して授受される不法な報酬を意味します。 この賄賂を受け取ることを「収賄」、贈ることを「贈賄」と言い、両方の行為を合わせて「贈収賄」と呼びます。

つまり、収賄と贈賄という言葉は、「収」と「贈」という語句が表す通り、相反する意味を持つ言葉なのです。

収賄と贈賄の英語表記の違い

収賄を英語にすると「acceptance of bribe」となり、例えば上記の「収賄罪」を英語にすると「crime of acceptance of bribe」となります。一方、贈賄を英語にすると「offer of bribe」となり、例えば上記の「贈賄罪」を英語にすると「crime of offer of bribe」となります。

収賄の意味

収賄とは

収賄とは、賄賂を受け取ることを意味しています。

収賄の読み方

収賄の読み方は「しゅうわい」です。「賄」は「かい」とも読みますが、「しゅうかい」とは読みません。

表現方法は「収賄の罪」「収賄容疑で逮捕」「収賄事件」

「収賄の罪」「収賄容疑で逮捕」「収賄事件」などが、収賄を使った一般的な言い回しです。

収賄の使い方

収賄を使った分かりやすい例としては、「衆院議員が収賄などの罪に問われている」「政治家が絡む大規模な贈収賄事件であった」「市役所職員が収賄容疑で逮捕される」「民間人でも収賄罪が適用される場合がある」などがあります。

その他にも、「収賄罪の構成要件が満たしている」「非公務員による収賄罪を規定している」「事件当時に公務員であれば収賄罪が成立する」「警察官が収賄容疑で逮捕された」「収賄事件に関する報告書を作成する」などがあります。

収賄という言葉の「収」とは金や物などを受け取って自分のものとすること、「賄」とは便宜を得るため不正に贈る金品を表します。収賄とは簡単に言うと、賄賂を受け取ることです。都合のいいように取りはからってもらう目的の金品を、受け収めることを意味する言葉です。

「収賄罪」の意味

収賄という言葉を用いた日本語には「収賄罪」があります。賄賂罪の一つであり、公務員が職務に関して賄賂を収受したり、あるいは要求や約束などをすることによって成立する罪のことです。

収賄の対義語

収賄の対義語・反対語としては、賄賂を贈ることを意味する「贈賄」などがあります。

収賄の類語

収賄の類語・類義語としては、 不正な目的で贈る金品を意味する「賄賂」、賄賂などを受領することを意味する「握握」(読み方:にぎにぎ)、欲が深くて心がいやしいことを意味する「貪汚」、地位や職権を利用して収賄などの不正な行為をすることを意味する「汚職」などがあります。

贈賄の意味

贈賄とは

贈賄とは、賄賂をおくることを意味しています。

表現方法は「贈賄の罪」「贈賄防止」「贈賄事件」

「贈賄の罪」「贈賄防止」「贈賄事件」などが、贈賄を使った一般的な言い回しです。

贈賄の使い方

贈賄を使った分かりやすい例としては、「贈賄防止に関するコンプライアンス規定があります」「日本法人がイギリスの贈賄防止法に抵触した」「民間企業の社員も贈賄罪の対象になります」などがあります。

その他にも、「OECD外国公務員贈賄防止条約に調印する」「民間人でも贈賄罪が適用される」「贈収罪に問われる民間企業の会社員が後を絶たない」「贈賄罪の構成要件をわかりやすく解説します」などがあります。

贈賄という言葉は、賄賂をおくることを意味します。賄賂とは、役人や政治家、公務員に対して便宜を図ってもらう目的で差し出される金品であり、金品を差し出す側を「贈賄」、受け取る側を「収賄」と表現します。

「贈賄罪」の意味

贈賄という言葉を用いた日本語には「贈賄罪」があります。公務員または仲裁人に対して、その担当する職務に関連して不正な賄賂を供与、申込み、約束などすることによって成立する犯罪のことです。刑法により、3年以下の懲役または250万円以下の罰金が科せられます。

贈賄の対義語

贈賄の対義語・反対語としては、賄賂を受け取ることを意味する「収賄」などがあります。

贈賄の類語

贈賄の類語・類義語としては、内密に贈る品物や金銭を意味する「袖の下」、事をうまく運ぶため表に出さないで支払う金銭を意味する「裏金」、支払い代金の一部を謝礼金などとして支払人に戻すことを意味する「リベート」などがあります。

収賄の例文

1.推薦入試で便宜を図った大学教授が、収賄罪の容疑で逮捕された。
2.贈収賄罪の時効は、贈る側は3年で時効が成立し、受け取る側は5年で成立するという違いがあります。
3.収賄罪にはいくつか種類があり、単純収賄罪、加重収賄罪、受託収賄罪など、それぞれ罪の重さが違います。
4.民間企業の従業員であれば、下請業者から食事代を払ってもらっても収賄罪になりません。
5.公務員以外でもみなし公務員については、刑法の収賄罪が適用されます。
6.男は口止め料として関係者にお金を払っていたそうだが、一部の関係者が収賄の金額が足りなかった腹いせで週刊誌の記者にリークしていた。
7.市の採用試験で特定の受験者が有利になるように、市議が市の幹部に働きかけ、その見返りに受験者側から金品を受け取ったとして、市議があっせん収賄の疑いで逮捕された。
8.大型リゾート計画をめぐる汚職事件で、地方裁判所が収賄や証人等等買収の罪に問われた国会議員の被告の保釈請求を却下する決定をした。
9.ある町の有力者が収賄疑惑として週刊誌にすっぱ抜かれていたが、当の本人はまったく動じておらず、その週刊誌を見ながら笑い飛ばしていた。
10.国際スポーツ大会招致をめぐる収賄容疑で当局が捜査対象にしている国際陸連の元会長について、当局が出国禁止措置の解除をしていたことが明らかになった。

この言葉がよく使われる場面としては、賄賂を受けとることを表現したい時などが挙げられます。

例文3にある「単純収賄罪」とは、公務員が職務に関して賄賂を収受・要求・約束する罪のことです。「加重収賄罪」とは、公務員が収賄行為の結果、特定の職務行為を行ったり、行うべき職務をしなかったりする罪です。

贈賄の例文

1.ワクチン製造会社の役員が、贈賄事件に関与した疑いで取り調べを受けている。
2.企業が公務員に対して賄賂を贈ると、渡した企業は贈賄罪、受け取った公務員は収賄罪になります。
3.公務員でない会社の一般従業員は、刑法の贈収賄の罪で罰せられる事はありません。
4.贈賄の時効は3年であり、収賄の時効より2年短くなっています。
5.コンプライアンスを重視する企業は、贈賄防止のための体制を整備しています。

この言葉がよく使われる場面としては、賄賂をおくることを表現したい時などが挙げられます。

例文5のように、企業によっては、自社への便宜を期待して公務員や政治家への贈賄を禁止することを明文化したり、セミナーを行っている場合もあります。

収賄と贈賄という言葉は、どちらも贈収賄事件や汚職事件で使われています。どちらの言葉を使うか迷った場合、賄賂を受け取る行為を表現したい時は「収賄」を、賄賂をおくる行為を表現したい時は「贈賄」を使うようにしましょう。

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