似た意味を持つ「公僕」(読み方:こうぼく)と「下僕」(読み方:げぼく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「公僕」と「下僕」という言葉は、どちらも「しもべ」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
公僕と下僕の違い
公僕と下僕の意味の違い
公僕と下僕の違いを分かりやすく言うと、公僕とは公務員を表し、下僕とは男の召使いを表すという違いです。
公僕と下僕の使い方の違い
一つ目の公僕を使った分かりやすい例としては、「忠実な公僕として国民に忠誠を誓うべきです」「政治家はただの公僕だと言う人もいます」「公務員の皆さんに公僕の精神はあるのだろうか」「国民の公僕という自覚がない」などがあります。
二つ目の下僕を使った分かりやすい例としては、「彼女の下僕になっている兄にがっかりした」「気弱な僕は下僕キャラになっています」「お屋敷の下僕として働いています」「主人は忠義な下僕である彼を信用しているようです」などがあります。
公僕と下僕の使い分け方
公僕と下僕という言葉は、どちらも「しもべ」を意味する「僕」の漢字が使われており、他者に仕える人を表しますが、意味や使い方には大きな違いがあります。
公僕とは、広く公衆に奉仕する人を表し、国または地方の公務を担当する公務員を指す言葉です。「しもべ」を表す「僕」という漢字から、見下すようなイメージが持たれる公僕ですが、本来そのような意味合いはありません。他人に使う時には、イメージからの誤解を招かないように注意が必要です。
下僕とは、男の召使い、下男を意味する言葉です。男にしか使えない表現であり、女性の召使いの場合は「下女」となります。現代社会において下僕という働き方は少なくなっていますが、一方で、「下僕キャラ」「彼女の下僕」のように服従心が強いという意味で使われることが多くなっています。
公僕と下僕の英語表記の違い
公僕を英語にすると「public servant」「civil servant」となり、例えば上記の「忠実な公僕として」を英語にすると「as a dedicated public servant」となります。
一方、下僕を英語にすると「footman」「manservant」「retainer」となり、例えば上記の「彼女の下僕」を英語にすると「manservant for he」となります。
公僕の意味
公僕とは
公僕とは、広く公衆に奉仕する者、公務員のことを意味しています。
表現方法は「公僕精神」「公僕の精神」「公僕の分際で」
「公僕精神」「公僕の精神」「公僕の分際で」などが、公僕を使った一般的な言い回しです。
公僕の使い方
公僕を使った分かりやすい例としては、「政府は主権者の公僕にすぎない」「国民の公僕が憲法改正を議論している」「公僕の税金の使い方には不満があります」「公僕になるための公務員試験の攻略法を教えます」などがあります。
その他にも、「政治家や警察官も公僕です」「公務員を侮辱する意味で公僕と言っているわけではない」「公僕の試験に熟語の構成が出ます」「公僕の仕事に英語は必須です」「公僕精神を持ち続けている」などがあります。
公僕の読み方
公僕の読み方は「こうぼく」です。誤って「くぼく」などと読まないようにしましょう。
公僕とは、広く公衆や公共に奉仕する者のことであり、国や地方自治体で働く公務員を指す言葉です。公僕の「公」は国や官に関わるおおやけのこと、「僕」は召使いやしもべを意味します。公僕という熟語の構成は、上の字が下の字を修飾しており、「おおやけのしもべ」と捉えることが出来ます。
公僕の由来
公僕という言葉の由来は、公務員を意味する英語「public servant」を日本語訳にしたことが語源されています。「public」は公共を意味し、「servant」は召使いを意味することから「公僕」と直訳されたようです。
「公僕精神」の意味
公僕を用いた日本語には「公僕精神」があります。公僕精神とは、公に奉仕するという気持ちであり、国民全体の奉仕者として平等に職務を全うすることを表す言葉です。対義語には「役人根性」があり、役人にありがちな、尊大で融通のきかない性質のことです。
公僕の対義語
公僕の対義語・反対語としては、公の機関に属さないことを意味する「民間」、会社に雇われ働いている人を意味する「会社員」、公的な地位や立場を離れた一個人を意味する「私人」などがあります。
公僕の類語
公僕の類語・類義語としては、国や地方自治体の機関に勤めている人を意味する「役人」、 国家公務員のことを意味する「官吏」、官吏や役人の意味で明治時代に使われた語である「官員」、公共団体の職員や公吏を意味する「吏員」などがあります。
下僕の意味
下僕とは
下僕とは、召使いの男、下男、しもべを意味しています。
下僕の使い方
下僕を使った分かりやすい例としては、「彼は働き者で忠実な下僕です」「お正月のもちつきは下僕の仕事です」「下僕の仕事は早いので朝のドラマは再放送で観ています」「下僕のお絵かき帳が廊下に落ちていた」などがあります。
その他にも、「クラスメイトに下僕のように扱われています」「下僕として彼女のかわりに英語の宿題をやっています」「しもべになりたいと好きな子に申し出たら下僕に認定された」「私の下僕にしてあげる」などがあります。
下僕の読み方
下僕の読み方は「げぼく」です。誤って「しもべ」と読まれることがありますが、間違いになるので注意しましょう。
下僕とは、雇われて雑用をする男性、男の召使いを意味します。下僕の「下」は階級や身分が低い方を表し、「僕」は訓読みで「しもべ」と読み、男の召使いや下男を表します。下僕は男性の召使いを意味する言葉ですが、転じて、特定の人に対して服従する人を表現する時にも用いられています。
下僕の対義語
下僕の対義語・反対語としては、召使いの女を意味する「下婢」、雑事に召し使う女や女中を意味する「下女」、召使いの女やはした者を意味する「はしため」などがあります。
下僕の類語
下僕の類語・類義語としては、炊事や掃除などこまごました雑用をする人を意味する「下働き」、他人に雇われて働く人を意味する「使用人」、食事の席にいて世話をすることを意味する「給仕」、しもべや家来を意味する「臣僕」などがあります。
公僕の例文
この言葉がよく使われる場面としては、公衆に奉仕すべきものとしての役人、公務員を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、公僕という言葉は、政治家や国会議員、地方自治体の職員など公務員全般を表す言葉です。例文4の通り、公僕に奴隷や召使いなどの意味合いはありません。
下僕の例文
この言葉がよく使われる場面としては、しもべ、召使、下働きの男を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある下僕と奴隷の違いは、下僕に人権や自由がありますが、奴隷にはありません。また下僕は男性に対してのみ使えますが、奴隷には性別の限定がありません。例文4の下僕としもべは漢語と和語の違いであり、どちらも男性の召使いを表します。
公僕と下僕という言葉のどちらを使うか迷った場合、公衆に奉仕すべきものとしての公務員を表現したい時は「公僕」を、男の召使いを表現したい時は「下僕」を使うようにしましょう。