似た意味を持つ「過分」(読み方:かぶん)と「応分」(読み方:おうぶん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「過分」と「応分」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
過分と応分の違い
過分と応分の意味の違い
過分と応分の違いを分かりやすく言うと、過分とは身分や能力以上であること、応分とは身分や能力に見合っていることという違いです。
過分と応分の使い方の違い
一つ目の過分を使った分かりやすい例としては、「コンテストで入賞し過分な称賛を受ける」「過分なお心遣い恐れ入ります」「過分な謝礼を頂いた」「退職金に過分な支払いがあった」「過分なタスクに混乱する」などがあります。
二つ目の応分を使った分かりやすい例としては、「資産家が応分の寄付をする」「社会全体で応分に負担する仕組みです」「参加費として応分の費用を負担した」「日本は応分の貢献を行っている」などがあります。
過分と応分の使い分け方
過分と応分という言葉は、音の響きが似ており混同して使われる傾向がありますが、意味は大きく異なります。
過分とは、身分や能力を過ぎた扱いを受けることを意味します。上記の例文の「過分な謝礼」とは、身に余るほどの多額の謝礼を表します。また、過分は限度や標準を越えていることの意味も持ち、「過分な支払い」とは平均的な金額よりも多く支払いがあったことを表します。
応分とは、身分や能力にふさわしいことを意味します。「応分な謝礼」とは、その人の立場や働きに見合った過不足ない謝礼を表します。
二つの言葉に共通する「分」とは、その人の持っている身分や能力を表します。つまり、過分とは身分や能力以上であることを表し、応分とは身分や能力に見合っていることを表す、相反する言葉なのです。
過分と応分の英語表記の違い
過分を英語にすると「excessive」「generous」「unmerited」となり、例えば上記の「過分な称賛」を英語にすると「unearned praise」となります。
一方、応分を英語にすると「according to one’s abilities」「appropriate」「reasonable」となり、例えば上記の「応分の寄付をする」を英語にすると「make a reasonable amount of donation」となります。
過分の意味
過分とは
過分とは、分に過ぎた扱いを受けることを意味しています。
その他にも、「態度や振る舞いが分際をわきまえないこと」「程度や限度を超えていること」の意味でも使われています。
表現方法は「過分なお言葉」「過分なお言葉をいただき」
「過分なお言葉」「過分なお言葉をいただき」などが、過分を使った一般的な言い回しです。
過分の使い方
「過分なお言葉痛み入ります」「過分なお心遣いありがとうございます」「部長より過分なお祝いを頂戴しました」「過分なるお心遣いに感謝です」「過分な評価をいただき励みになります」の文中で使われている過分は、「分に過ぎた扱いを受けること」の意味で使われています。
「過分な願望を抱く」「過分な生活で落ち着かない」などの文中で使われている過分は「分際をわきまえないこと」の意味で、「修補に過分の費用を要する」「過分な請求書が届いた」などの文中で使われている過分は「程度や限度を超えていること」の意味で使われています。
過分という言葉は、上記の例文にあるように複数の意味があるため、文脈により意味を捉える必要があります。最も用いられる意味は「分に過ぎた扱いを受けること」であり、謙遜しながら感謝を表す場合に用いられています。挨拶の際など、改まった場面で使うことが多い言葉です。
「過分の費用」の意味
上記の例文にある「過分の費用」とは、民法634条「請負人の瑕疵担保責任」の一節にある表現です。社会一般で考えられる程度を越えている多額の費用のことであり、その金額は相対的に判断されるものです。
過分の対義語
過分の対義語・反対語としては、 身分や能力にふさわしいことを意味する「応分」、ふさわしいことを意味する「分相応」、少なすぎるさまを意味する「過少」などがあります。
過分の類語
過分の類語・類義語としては、身分や分限を越えていることを意味する「分外」、普通に考えられる程度をはるかに越えていることを意味する「法外」、必要な程度や数量を越えて多いことを意味する「過剰」、程度が過ぎることを意味する「過度」などがあります。
応分の意味
応分とは
応分とは、身分や能力にふさわしいことを意味しています。
表現方法は「応分の責任」「応分の処置」「応分の場」
「応分の責任」「応分の処置」「応分の場」などが、応分を使った一般的な言い回しです。
応分の使い方
応分を使った分かりやすい例としては、「私立学校は応分の負担金が発生します」「共通部分の応分負担の経費を算出する」「君にも応分負担を求めたい」「私は応分の寄付を致します」「応分の分け前を求めます」などがあります。
その他にも、「応分な報酬が得られる仕事です」「利用者それぞれが応分な負担を行う」「市民の皆さんに応分の場を提供します」「電話会社全体で応分に負担する制度です」「僕たちは宝物を応分に分配した」などがあります。
応分という言葉の「応」は、つりあうことを表し、「分」は各人にわけ与えられた身分や性質を表します。応分とは、ある対象が自分の働きや身分、能力などにふさわしいことを意味する言葉です。
「応分の負担」の意味
上記の例文にある「応分の負担」の意味は、複数の人々がある基準に応じて負担を分け合うことです。
応分の対義語
応分の対義語・反対語としては、物事が限度や標準を越えていることを意味する「過分」、身分や限度を越えていることを意味する「分外」などがあります。
応分の類語
応分の類語・類義語としては、つりあいがとれていることを意味する「相応」、その人の身分や能力にふさわしいことを意味する「分相応」、その場や物事にふさわしいことを意味する「適切」などがあります。
過分の例文
この言葉がよく使われる場面としては、分に過ぎること、身分不相応、限度や標準を越えていることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3の文中にある過分は「分に過ぎること」の意味で、例文4にある過分は「身分不相応」の意味で使われています。例文5の過分は、「限度や標準を越えていること」の意味で使われています。
応分の例文
この言葉がよく使われる場面としては、身分や能力にふさわしい程度を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「応分の場」とは、身分にふさわしい場所を意味し、この文では、自分が落ち着く居場所を表します。
過分と応分という言葉は、どちらも身分や能力を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、身分や能力以上であることを表現したい時は「過分」を、身分や能力に見合っていることを表現したい時は「応分」を使うようにしましょう。