【洞窟】と【洞穴】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「洞窟」(読み方:どうくつ)と「洞穴」(読み方:ほらあな)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「洞窟」と「洞穴」という言葉は、どちらも「岩などに自然にできた空洞」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




洞窟と洞穴の違い

洞窟と洞穴の意味の違い

洞窟と洞穴の違いを分かりやすく言うと、洞窟とは比較的大きな空洞を表し、洞穴とは小さな空洞から大きな空洞まで表すという違いです。

洞窟と洞穴の使い方の違い

一つ目の洞窟を使った分かりやすい例としては、「山中の洞窟を探検する」「山の中腹に洞窟を発見した」「実話をもとにした洞窟少年と犬のシロの物語です」「洞窟遺跡の発掘調査に参加します」などがあります。

二つ目の洞穴を使った分かりやすい例としては、「洞穴遺跡は当時の生活を解明する貴重な資料です」「洞穴遺跡で発掘された土器が展示されています」「敵兵に追い込まれ洞穴に逃げ込んだ」「洞穴のある大木だ」などがあります。

洞窟と洞穴の使い分け方

洞窟と洞穴という言葉は、どちらも「崖や岩石などの中に自然にできた空洞」を表し、ほぼ同じ意味を持ちますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。

洞窟とは、崖や岩などにできた洞穴のことですが、大木の空洞については洞窟と呼ばず、比較的奥行きのある穴を指す言葉です。一方、洞穴は崖や岩などにできた空洞だけでなく、大木の空洞も指す言葉であり、奥行きの浅いものから深いものまで広い範囲の空洞を表します。

つまり、洞窟は、洞穴の中でも比較的大きな洞穴のことを指す言葉なのです。

洞窟と洞穴の英語表記の違い

洞窟も洞穴も英語にすると「cave」「cavern」「den」となり、例えば上記の「山中の洞窟」を英語にすると「a mountain cave」となります。

洞窟の意味

洞窟とは

洞窟とは、崖や岩などにできた洞穴を意味しています。

洞窟の使い方

洞窟を使った分かりやすい例としては、「旅行先で洞窟カフェに入りました」「洞窟の中は不気味で怖いと感じます」「プラトンの洞窟の比喩を読んでいます」「洞窟おじさんはほぼ実話です」などがあります。

その他にも、「洞窟や鍾乳洞はどうやって出来たのだろう」「天然の洞窟温泉が楽しめる旅館を予約しました」「ゲームの洞窟物語にハマっています」「カプリ島にある青の洞窟を英語で案内してもらった」などがあります。

洞窟とは、岩石の中や地中に自然の営力によって形成された空間のことです。一般的には、その中に人間が入るに十分なほどの広さと、太陽光線の届かない暗帯を有しているものを言います。主なものには鍾乳洞、海食洞、風食洞、溶岩洞、氷河洞などがあります。

「洞窟遺跡」の意味

洞窟を用いた日本語には「洞窟遺跡」があります。自然に形成された洞窟や岩陰を人類が利用した遺跡のことであり、「洞穴遺跡」とも言います。日本では後期旧石器時代から縄文時代草創期に多く、長崎県の福井、富山県の氷見、島根県の猪目、高知県の龍河などの各遺跡が有名です。

洞窟の類語

洞窟の類語・類義語としては、崖や岩石などにできた中のうつろな穴を意味する「洞」、石灰岩の割れ目から入った雨水や地下水の溶解作用によってできた洞窟を意味する「鍾乳洞」、山の中の岩屋や山中の洞穴を意味する「山窟」などがあります。

洞穴の意味

洞穴とは

洞穴とは、洞窟や洞を意味しています。

洞穴の読み方

洞穴の読み方には二通りあり、「どうけつ」の他に「ほらあな」とも読みます。「どうけつ」は硬く改まった言い方であり、「ほらあな」の方が日常的でくだけた言い方になります。

洞穴の使い方

洞穴を使った分かりやすい例としては、「ラスコーの洞穴絵画をこの目で見たい」「長崎旅行で岩下洞穴遺跡を巡りました」「洞穴学を勉強できる大学と学部を教えてください」「洞穴探検ツアーで英語通訳をしています」などがあります。

その他にも、「洞穴生物の生態を研究しています」「洞穴絵画と洞窟壁画は違いますか」「氷河期の洞穴ライオンが見つかった」「洞穴のヘビ男が住むという伝説があります」「頬の下の骨の洞穴の粘膜が炎症を起こしている」などがあります。

洞穴とは、 崖や岩、また老大木の根元や大木の朽木などの中にあるうつろな穴のことです。地下空間のうち人間が入ることが可能なものであり、水平方向に伸びている横穴や、井戸状に開口している縦穴などがあります。

「洞穴生物」の意味

上記の例文にある「洞穴生物」とは、洞穴を主な生息域や繁殖域とする、もしくは洞穴内のみに生息する生物のことです。コウモリは周期性洞穴生物であり、主な生活の場は外にありながら、繁殖や休養などに洞窟を必要とする生き物です。

「洞穴エビ」は誤り

洞穴の誤った使い方には「洞穴エビ」があります。正しくは「同穴エビ」であり、海綿動物のカイロウドウケツの胃腔内に雌雄一対で生活するため、「同じ穴」を表した名前が付けられました。

洞穴の類語

洞穴の類語・類義語としては、岩壁に自然にできた洞穴を意味する「岩屋」、岩の洞穴を意味する「岩窟」、岩屋や岩穴を意味する「石窟」、虎のすんでいる洞穴や危険な場所のたとえを意味する「虎穴」などがあります。

洞窟の例文

1.宮崎県の日南地方に、洞窟の中に佇む珍しい神社があります。
2.洞窟のでき方は、波の浸食作用によるものや石灰岩の溶食作用によるものなど様々あります。
3.英語ガイドが付いたバトゥー洞窟ツアーは、面白くて勉強になるのでオススメです。
4.関東の洞窟スポットと言えば、関東最大級の鍾乳洞である不二洞でしょう。
5.人々の記憶に残る洞窟事故と言えば、タイの洞窟で少年12人とサッカーコーチ1人の13人が遭難した事故だろう。
6.海外旅行へ行くのが難しいご時世なので、web上でいろいろな景勝地の映像を楽しんでいたら、日本にも青の洞窟がいくつかあることを知り、美しい写真の効果もあってか行ってみたくなった。
7.無人島の洞窟を探検していたら、骸骨が転がっているのを見つけ思わず彼女たちは悲鳴をあげた。
8.とりあえずこの洞窟のなかにいれば敵から見つかることもないから、ここで一晩寝て体力を回復させよう。
9.イタリア旅行ではローマで一日過ごした後、ナポリのカプリ島に行って青の洞窟を見る予定だ。
10.旅館自慢の天然の洞窟温泉に入った後は、海鮮料理に舌鼓を打ちながら、どんちゃん騒ぎをする予定だ。

この言葉がよく使われる場面としては、崖や岩石などの中に生じた空洞を表現したい時などが挙げられます。

例文4にある「洞窟」と「鍾乳洞」の違いは、洞窟は岩が削れたりしてできたうつろな穴のことですが、鍾乳洞はその中でも石灰岩が染み出した貴重な鍾乳石がある洞のことです。鍾乳洞は洞窟の一種と言えます。

洞穴の例文

1.アルタミラの洞穴絵画は、なぜ消えずに鮮明に残っているのだろうか。
2.洞穴住居の遺跡で有名なカッパドキアは、ユネスコの世界文化遺産に登録されています。
3.書斎や収納スペースとして人気のあるDENは、英語で洞穴という意味があります。
4.虎の子を得るためには虎の住む洞穴に入らなくてはならないことから、虎穴虎子という四字熟語が出来ました。
5.ワクチンを打っても感染症に罹ることが怖くて外に出られない私は、洞穴症候群かもしれない。
6.この地域では自然環境が厳しいことから洞穴のなかにも住居があり、そこで人々が暮らしを営んでいる。
7.美術の時間に皆が写実的な絵を描いている中で、彼だけはラスコー洞穴絵画のような不思議な絵を描いていた。
8.ここは現地の人々から悪魔の住む洞穴と言われて恐れられているが、それは硫黄ガスが噴出していて人に危険を及ぼすからだろう。
9.洞穴生物とは地上の生物とは違った生態系があり、まだまだわたしたちの知らない生物群が存在しているかもしれない。
10.探検隊が洞穴から出てこられたのは真夜中だったので、隊員たちはまだ洞穴の中にいるような錯覚に陥った。

この言葉がよく使われる場面としては、岩や崖、大木などに自然にできた空洞を表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「洞穴絵画」とは、洞窟や岩壁の壁面および天井部に描かれた絵の総称であり、「洞窟絵画」とも言います。例文5の「洞穴症候群」とは、正式な医学用語ではありませんが、俗に、外出に対して神経質になり自宅から外に出ようとしないことを指す言葉です。

洞窟と洞穴という言葉は、どちらも「岩などに自然にできた空洞」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、崖や岩にできた比較的大きな空洞を表現したい時は「洞窟」を、崖や岩あるいは大木などにできた空洞を表現したい時は「洞穴」を使うようにしましょう。

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