【日本人】と【邦人】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「日本人」(読み方:にほんじん)と「邦人」(読み方:ほうじん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「日本人」と「邦人」という言葉は、どちらも日本国籍の人を意味しているという共通点がありますが、本来の意味は少し違います。

日本人と邦人の違い

日本人と邦人の違いを分かりやすく言うと、日本人とは日本国籍を持つ人のことを意味していて、邦人とは外国にいる日本人のことを意味しているという違いです。

二つの言葉はどちらも日本人を指しますが、どのような状態の日本人を指すのかという点が異なります。

一つ目の「日本人」は「日本国籍を持つ人」のことです。日本に住む日本国籍の人のことは、そのまま日本人と呼び、例えばアメリカに住んでいるならば在米日本人、ドイツに住んでいるなら在独日本人などと呼ぶこともあります。

また外国にある日本人専用の学校などのことを指して、「現地の日本人学校」などとニュースで報道されることもあります。

日本は血統主義という立場を取っていて、新生児は両親が日本人であればどこで生まれ育っても日本国籍を取得することが出来ます。

もう少し詳しく説明すると、日本の血統主義は父母両系血統主義といいます。両親のどちらかが日本人であれば日本国籍を取得出来るという考え方です。

例えば女性が外国へ移住して、そこで現地の人と結婚し、子供を授かった場合、その子は日本国籍を取得することが出来ます。たとえ日本について何も知らなくとも、取得の権利を持ちます。

ただし父親の国の国籍の考え方との兼ね合いもあるので、即座に日本国籍に決定するというわけではありません。

二つ目の「邦人」は、辞書的な元々の意味は「自国の人」で、多くの場合は日本人を意味します。しかし邦人という言葉は使い方に注意が必要です。ここでは二つの注意すべき使い方を紹介します。

一つ目の注意点は、翻訳文学などにおける「邦人」の使い方です。例えばドイツを舞台にした小説で「邦人」という言葉が使われていたら、それは日本人ではなくドイツ人です。舞台がドイツなので「自国の人」はドイツ人だからです。

二つ目は「邦人」は特に「外国にいる自国の人」を意味するということです。日本にいる日本人を邦人とは普通呼びません。

ただし、外国にいる日本人を全て邦人と呼ぶわけではありません。外国にいても日本人と呼ばれる場合もあります。使い分け方には、マスコミのものと官公庁のものの二通りがあります。

マスコミは、邦人と日本人を次のように使い分けています。

(1)永住権や就学ビザなどを持ち、長期間滞在している人は「邦人」で、旅行などでその国を訪れている人は「日本人」というように、長期滞在か短期滞在かの違いによる使い分け。

(2)事故や事件、災害などに巻き込まれた場合には短期滞在であっても「邦人」、受賞のニュースなど、活躍を報じる際には長期滞在であっても「日本人」というように、話題のトーンによる使い分け。

官公庁の公用文などでは、邦人と日本人を次のように使い分けています。他の言葉を組み合わせて熟語にする際には「邦人」。例えば「邦人保護」や「邦人団体」など。独立して使う場合には「日本人」。例えば「海外に在留する日本人」など。

日本人と邦人には、以上のような使い分け方がありますが、色々な分け方があり、難しいところがあります。新聞やニュースなどでこれらの言葉が出てきたら、使い方を確認するようにしてみて下さい。

日本人の意味

日本人とは、日本国籍を持った人を意味しています。また国籍とは関係なく、民族という意味で「日本人」という言葉を使うことも多いです。

日本国籍を持つ人であれば、どこにいても、また仮に日本語能力を持たないとしても日本人です。例えば韓国に住む日本人は在韓日本人で、オーストラリア在住の日本人は在豪日本人です。

日本国籍を持つ人であればどこにいても日本人なので、日本に住んでいる人に対して使うことも、海外に住んでいる日本人に対して使うこともあります。マスコミの報道では、旅行で外国に行っている人や、海外で活躍する人のことを日本人と呼ぶ傾向があります。

新生児は両親のどちらかが日本人であれば日本国籍を取得する権利を有していますので、外国で生まれ育ち、日本語を喋ることが出来ない人でも日本人であることは理論上は可能です。

両親のどちらかが自国籍であれば、その子も自国籍を取得できるという考え方を、「血統主義」(読み方:けっとうしゅぎ)と言います。その反対に、自国内で生まれた新生児にのみ自国籍を与えるという考え方は「出生地主義」(読み方:しゅっしょうちしゅぎ)です。

日本人の類義語としては「日本民族」などがあります。この言葉を使う時には国籍のことは考えられていないので、帰化した日本人などは排除されている場合も多いです。特に古来からの伝統や精神を重視する時には、「大和民族」などと呼ばれることもあります。

邦人の意味

邦人とは、自分の国の人を意味しています。

邦人の邦の字は「国、地域、国土、領土」などを意味しています。例えばアメリカは「連邦国家」(読み方:れんぽうこっか)と言われますが、連邦とは、主権を有するそれぞれの国の連合という意味です。

邦人という言葉は、辞書的な意味では「自分の国の人」ですが、実際の使われ方としては「海外にいる自国の人」を指します。定義と使われ方が微妙に異なるので、注意が必要です。特に、以下の二つの点に注意が必要です。

注意点の一つ目としては、翻訳文学などにおける「邦人」の使われ方です。外国文学なので、舞台も語り手も外国人です。例えば作中のアメリカ人が「邦人」という言葉を使ったら、その場合は「外国にいるアメリカ人」を指します。

邦人が日本人だというのは、語り手が日本人の時だけです。

注意点の二つ目としては、「海外の日本人」を意味するために使われるのは邦人だけではなく、日本人という言葉も使われるということです。二つの言葉の使い分けのルールは、マスコミと官公庁の文書では異なります。

マスコミは邦人と日本人を次のように使い分けています。

(1)永住権や就学ビザなどで長期間滞在している人は「邦人」。反対に、旅行中で短期滞在の人は「日本人」。このように、長期滞在か短期滞在かの違いによる使い分け。

(2)事件や事故など、重大なアクシデントに巻き込まれた場合には「邦人」。賞の受賞のニュースなど、活躍を報じるニュースでは「日本人」。このように、暗い話題か明るい話題かによる使い分け。

官公庁の公用文などでは、邦人と日本人を次のように使い分けています。他の言葉を組み合わせて熟語にする際には「邦人」。例えば「邦人保護」や「邦人救出」など。独立して使う場合には「日本人」。例えば「海外に3月以上滞在する日本人」など。

このように、邦人と日本人の使い分け方には様々なルールがあります。ややこしいですが、ニュースや新聞などでこれらの言葉を見つけた時には、どのような意味で使われているのかを考えてみて下さい。

邦人の類義語としては、自分の国の人を意味する「自国人」「同国人」、祖国や故郷を同じくする仲間を意味する「同胞」などがあります。

邦人という言葉を使った別の言葉としては「異邦人」などがあります。この言葉は、自分が海外を訪れた時に現地の人を指すために使われたり、逆に周囲の人とは区別される自分を指すために使われたりする言葉です。

日本人の例文と使い方

1.日本人のルーツに定説はなく、先祖が何人かについては色々な見解がある。
2.「日本人はどこから来たのか」という問題が少し前から注目され始めた。
3.日本人と韓国人の遺伝子は一番近いという研究結果もある。
4.日本人の平均身長は伸び続けてきたが、ここ数年はむしろ低下の傾向があることが指摘されている。
5.日本人の平均寿命は世界でもトップクラスだ。

この言葉がよく使われる場面としては、日本国籍の人や、日本民族を表現したい時などが挙げられます。

日本人という言葉はニュースや新聞などの報道では国籍を持った人という意味で使われますが、日常会話では日本に住んでいる人や日本人という民族という意味で使われることが多いです。

どのような意味で使われても、指す対象や集団は変わらないことが多いですが、今後、日本国籍を取得する外国人が増加すると、日本民族という意味での日本人から漏れてしまう人の数も多くなります。

民族という言葉は、古来よりその土地に住む共同体という意味で使われることが多いですが、そもそも民族という概念が19世紀以来のものです。もちろん古来、日本には人が住んでいましたが、その時々によって共同体に対する観念は異なっています。

私達が考えるような意味での日本民族を、かつての人々も共有していると考えることは単なる幻想に過ぎません。日本人や日本民族という言葉を使う際には、以上のようなことも頭の片隅に置いておくことが好ましいです。

邦人の例文と使い方

1.在外邦人とは、日本国外に長期間住んでいる日本人のことだ。
2.邦人保護を目的として、政府が事件の情報収集に奔走している。
3.外務省の領事局には、邦人テロ対策室が設けられている。
4.密売に関与したとして、現地で邦人グループが逮捕されました。
5.フィリピンで邦人が事件に巻き込まれたとのニュースが流れた。

この言葉がよく使われる場面としては、ニュースなどで海外にいる外国人を表現したい時などが挙げられます。邦人という言葉は、自分たちからはあまり使わない言葉ですが、ニュースや新聞などで使われるので、日常語と言うことが出来ます。

邦人という言葉は、悪いニュースで使われる場合が多いです。実際に人命が失われたとまではいかなくとも、テロなどの大きな事件や大災害などが起こった際に、日本人の安否を伝えるために邦人という言葉が使われます。