似た意味を持つ「にほん」と「にっぽん」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「にほん」と「にっぽん」という言葉は、どちらも「日本」という漢字の読み方であるという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「にほん」と「にっぽん」の違い
「にっぽん」を省略したのが「にほん」
にほんとにっぽんの違いを分かりやすく言うと、「にっぽん」という呼び名を省略したのが「にほん」で、正式名称は「にっぽん」であるという違いです。
しかし、日本政府は「にほん」も「にっぽん」も深く浸透している呼び方であるので、どちらか一方に統一する必要はないとしています。そのため「にほん」と読んでも「にっぽん」と読んでも問題はありません。
「にっぽん」と「にほん」の地域の違い
また、東日本では「にほん」、西日本では「にっぽん」と読まれる傾向にあります。大阪にある「日本橋」は「にっぽんばし」と読まれていますし、東京にある「日本橋」は「にほんばし」と読まれます。
「にほん」は「にっぽん」の促音脱落
日本語は、昔から促音と呼ばれる小さな「っ」を省略して発音する傾向にある言葉です。この小さな「っ」を省略する発音を促音脱落と言います。日本という漢字を「にほん」と読むのは、本来の読み方であった「にっぽん」という発音の促音脱落です。
「にっぽん」という発音が言い辛かったため、省略して「にほん」とも読まれるようになりました。
促音脱落の言葉は他にも、動物の「リス」は、漢字で「栗鼠」と書き、本来の読み方は「リッス」でした。果物の「ミカン」も漢字で「蜜柑」と書き、読み方は「ミッカン」でした。現在では、栗鼠の読み方はリス、蜜柑はミカンの読み方で定着しています。
「にっぽん」と「にほん」の使い分け方
日本という漢字の読み方については単語によって、「にほん」と読む場合と「にっぽん」と読む場合があります。正しい読み方は「発音アクセント辞典」などに載っているものです。
例えば「日本酒」は「にほんしゅ」と読みます。「にっぽんしゅ」とは読みません。同じように「日本料理」は「にほんりょうり」と読むとされています。
反対に「日本銀行」は「にっぽんぎんこう」、「日本放送協会」は「にっぽんほうそうきょうかい」という読まれ方をします。
「にほん」の意味
「にほん」とは
にほんとは、「日本」の本来の読み方である「にっぽん」が省略されて「にほん」という読まれ方になったもので、東日本で流通したものを意味しています。
日本を「にほん」と読み始めた由来
日本という漢字を「にほん」とも読み始めたのは、江戸時代あたりのことです。江戸時代、徳川幕府の歴史になってから、日本の政治の中心が江戸に集まりはじめました。
江戸時代よりも前は、江戸と呼ばれる関東付近というのは漁村の田舎町でした。荒れた土地も多く、人口も少なかったと言われています。その頃の日本は、西日本の地域、京都御所などを中心としていました。
しかし、徳川幕府が生まれ、江戸が日本の中心になりはじめると、江戸の人口は急増します。当時、パリやロンドンでも人口は50万人ほどでしたが、江戸は100万人を超えていました。
町が活性化し、経済が発達することで、商売活動が盛んになります。そうして町が賑やかになってきた時代に、いわゆる江戸っ子と呼ばれる人たちが誕生します。
江戸っ子とは、江戸で生まれ江戸で育った人のことで、さっぱりとした気風であり、一方でせっかちな性質を持つ人たちであると言われています。一説には、この江戸っ子のせっかちな性質が「にっぽん」を「にほん」という発音にしたと言われています。
江戸っ子がせっかちに言葉を話していた結果、「にっぽん」と発音しきれずに「にほん」と言われるようになり、それが東日本を中心に浸透していきました。
このように、江戸時代では、西日本の方面では本来の「にっぽん」という読み方、江戸周辺では「にほん」という読み方で国名が呼ばれるようになります。
その名残として、大阪にある「日本橋」は「にっぽんばし」と読みますが、東京にある「日本橋」は「にほんばし」と読みます。
しかし、現代では地域による読み方の差は、あまり見られません。日本政府は「にほん」「にっぽん」どちらも深く浸透している読み方なので、どちらかに統一する必要はないとしています。
「にっぽん」の意味
「にっぽん」とは
にっぽんとは、「日本」という漢字の本来の読まれ方で、西日本で定着しているものを意味しています。
「にっぽん」は日本の正しい読み方
日本という漢字の読み方は、元々は「にっぽん」でした。
日本を「にっぽん」と読み始めた由来
そもそも、国名に日本という字を使い始めたのは、奈良時代あたりです。
歴史の教科書などでもなじみ深い話ですが、奈良時代の人々は、中国から見て太陽が昇る方角にある自分の国を「日の本」であると考えました。この「日の本」を「中国」と同じように漢字二文字で表現することにして「日本」という国名が出来ました。
それまで日本は自分の国を「倭」と呼んでいました。しかし、奈良時代以降の文献では「倭」ではなく「日本」とされています。中国の古い歴史書には「今後、倭の国を日本という名称に改めることにすると使者が伝えに来た」と書かれたものが残っています。
しかし、奈良時代では日本は「日本」と書いて「ヤマト」と読まれるものでした。この「日本」という漢字を中国語の発音では「ニエットファン」「ニェットプァン」などと読みました。
中国からの使者が、この発音で日本を呼んだため、日本人もそれを真似しようとします。しかし、日本人の発音の仕方では「ニエットファン」という音を出すのは難しいものでした。
そのため、「ニエットファン」という発音がだんだんと読みやすい形に変化をしていき、最終的には「にっぽん」という発音で定着することになりました。現在でも、国名を正式名称で表現する際には「にっぽん」が正しい読み方となります。
しかし、言葉によっては「にほん」と読むのが正しい単語もあるなど、日本語は使い方が多様な言語です。日本政府は「にほん」「にっぽん」どちらも深く浸透している読み方なので、どちらかに統一する必要はないとしています。
「にほん」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、日本という国名を省略して読みやすい形で表現したい時などが挙げられます。
「にほん」という読み方は、「日本」の本来の読み方である「にっぽん」の促音脱落です。日本という漢字の読み方を読みやすい形に省略したものであるとも言えます。主に江戸時代に関東地方で定着したものです。
現在に至るまで、日本政府は自国の呼び方について「にっぽん」とするか「にほん」とするか、何度も話し合いを行ってきました。しかし、どちらの読み方も深く浸透しているため、どちらでも問題ないとしています。
「にっぽん」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、日本という国名を本来の読み方で表現する時などが挙げられます。銀行や企業、会社などの名称で「日本」と使われている際には「にっぽん」と読まれることが多い傾向にあります。
国名を正式名称として表現する場合には「日本」と書いて「にっぽん」と読むとされています。しかし、単語によっては「にほん」と読むのが正しい言葉もあるので、どちらの読み方をしても間違いではないとされています。