似た意味を持つ「ご芳名」(読み方:ごほうめい)と「ご署名」(読み方:ごしょめい)と「ご氏名」(読み方:ごしめい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ご芳名」と「ご署名」と「ご氏名」という言葉は、名前という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「ご芳名」と「ご署名」と「ご氏名」の違い
「ご芳名」と「ご署名」と「ご氏名」の意味の違い
「ご芳名」と「ご署名」と「ご氏名」の違いを分かりやすく言うと、「ご芳名」は名前を書いてもらうことを表現する時に使い、「ご署名」は名前を書くことを表現する時に使い、「ご氏名」は名字と名前を表現する時に使うという違いです。
「ご芳名」と「ご署名」と「ご氏名」の使い方の違い
「ご芳名」という言葉は、「まずは受付にてご芳名頂けたらと思います」「ご芳名帳は新婦の手作りらしく可愛らしく装飾されていた」などの使い方で、敬う相手の名前や名誉ある名前を意味します。
「ご署名」という言葉は、「確認事項をお読みのうえ、ご署名をお願いします」「ご賛同頂ける場合はこちらにご署名をお願いします」などの使い方で、自分の名前を書類などに記載することを意味します。
「ご氏名」という言葉は、「ご氏名、電話番号は必ずご記入頂きますようお願い致します」「ご氏名の確認をさせて頂いてもよろしいですか」などの使い方で、名字と名前を意味します。
「ご芳名」と「ご署名」と「ご氏名」の使い分け方
「ご芳名」と「ご署名」は、どちらも名前や名前を書くことを意味する言葉ですが、前者は敬う相手に名前を書いてもらう時に使うのに対して、後者は自分で自分の名前を書く時に使います。
一方の「ご氏名」は、名前を書くことではなく、名字を含んだ名前を指す言葉に、丁寧な言い方にする「ご」が付いた表現です。
これが、「ご芳名」、「ご署名」、「ご氏名」の明確な違いです。
「ご芳名」の意味
「ご芳名」とは
「ご芳名」とは、敬う相手の名前や名誉ある名前を意味しています。
「ご芳名」の芳という漢字は、評判が良いことを意味したり、相手の言動に対して敬意を表す時に使われる言葉です。
「ご芳名」は結婚式の招待状やその他催事の案内状で使われる
この言葉は特に、結婚式などの招待状やその他催事の案内状に同封されている、出欠の参加不参加を尋ねるためのはがきに使用されている言葉です。その他にも、敬う相手に対して名乗って貰う際に使われています。
実際に招待状に付属されているはがきを返信する際は「ご」や「お」といった敬意を示す接頭語を二重線などで消して返信するのが一般的なマナーとされていますが、「ご芳名」の場合は「ご芳」までを消す必要があります。
「ご芳名」の類語
「ご芳名」の類語・類義語としては、他人を敬ってその人の氏名を指す言葉である「ご尊名」(読み:ごそんめい)があります。
「ご署名」の意味
「ご署名」とは
「ご署名」とは、自分の名前を書類などに記載することを意味しています。
署名は自身で書いたサインであるため、本人が確認をしたうえで自分の意思で作成した書面であることを示すことができます。本人以外が代わりに書いた場合や、手書きではなくパソコンで名前を出力したものに対しては署名ではなく、記名を使います。
「ご署名ご捺印」の使い方
「ご署名」を使った表現として、「ご署名ご捺印」がありますが、署名自体に捺印をすることが含まれているとされているため、「ご署名」だけで使われることもあります。
本人以外の人物が代わりに記名したとしても、印鑑が押印されていれば正式な効力を持つことから、署名は記名と押印を合わせた行為と認識されています。
「ご署名」の類語
「ご署名」の類語・類義語としては、自分で自分の氏名を書き記すことを意味する「自署」、文書の最後に姓や名を書いて周りを丸く囲み印鑑の形にしたサインを意味する「書き判」(読み方:かきはん)などがあります。
「ご氏名」の意味
「ご氏名」とは
「ご氏名」とは、名字と名前を意味しています。
「ご氏名」より「お名前」を使うのが一般的
相手の名前を表す場合、「お名前」や「御名前」などの表記をして「ご氏名」という表記は誤りだという考え方もあります。
例外はあるものの「ご」という敬意の接頭語を付けることができる名詞は音読みするものとされていることから「ご氏名」という言葉が使われることもありますが、「お名前」などの方が一般的に多く使われています。
ただし、氏名という言葉自体には敬意が含まれていないことから結婚式などでは「ご芳名」という言葉を使うことで相手に対して敬意を伝えることができますが、丁寧すぎるためビジネスシーンなどでも「ご氏名」や「お名前」が使われることがほとんどです。
「ご氏名」の類語
「ご氏名」の類語・類義語としては、人の姓や名、もしくは姓に対する名を意味する「お名前」、苗字と名前を意味する「姓名」、人の名を意味する「人名」、名前を付けて呼ぶことを意味する「呼称」などがあります。
「ご芳名」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、敬う相手の名前や名誉ある名前を意味する時などが挙げられます。
例文3の「芳名帳」とは、結婚式や葬儀に参列した人に、主催が後で分かりやすくするために、氏名や住所を記載してもらうものです。
「ご署名」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の名前を書類などに記載することを意味する時などが挙げられます。
どの例文の「ご署名」も、書き手が自分で進んで名前を書くことを意味していることから、「ご芳名」という言葉を置き換えて使うことができません。
「ご氏名」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、名字と名前を意味する時などが挙げられます。
例文2や例文3は、記入側の意思ではなく、記入側の行動に対する書面などを作成する際に名前を書き入れることを促しているため、「ご芳名」に置き換えて使うことができません。
「ご芳名」と「ご署名」と「ご氏名」どれを使うか迷った場合は、名前を書いてもらうことを表す場合は「ご芳名」を、名前を書くことを表す場合は「ご署名」を、名字と名前を表す場合は「ご氏名」を使うと覚えておけば間違いありません。