似た意味を持つ「無骨」(読み方:ぶこつ)と「野暮」(読み方:やぼ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「無骨」と「野暮」という言葉は、どちらも「洗練されていないさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
無骨と野暮の違い
無骨と野暮の意味の違い
無骨と野暮の違いを分かりやすく言うと、無骨とは洗練されていない様子だけでなく骨ばっていることも表し、野暮とは洗練されていない様子のみを表すという違いです。
無骨と野暮の使い方の違い
一つ目の無骨を使った分かりやすい例としては、「彼の振る舞いは無骨である」「その職人は無骨な手をしていた」「無骨で男らしいキャンプ道具を買い揃える」「この無骨な腕時計は祖父の形見です」などがあります。
二つ目の野暮を使った分かりやすい例としては、「野暮用があるのでお先に失礼します」「相手は誰かなんて聞くだけ野暮だろう」「いつも野暮ったい服を着ている」「女性に年齢を聞くなんて野暮な人ね」などがあります。
無骨と野暮の使い分け方
無骨と野暮という言葉は、どちらも「言動や身なり、趣味などが洗練されていないさま」を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
無骨とは、「無骨な振る舞い」のような使い方で、洗練されていない動作や、無作法な行動を表します。また、「無骨な手」のように、骨ばってゴツゴツしているさまも意味する言葉です。
野暮とは、「聞くだけ野暮」のような使い方で、人情の機微に通じない様子や、融通が聞かないことを意味します。「野暮な人」とは、空気が読めない人や、融通がきかない人のことです。また、「野暮ったい服」のような使い方で、洗練されておらず垢抜けない様子も意味します。
つまり、二つの言葉は言動や身なりが洗練されていない様子を表しますが、さらに無骨という言葉は骨ばっている外見も表します。この点が、無骨と野暮という言葉の明確な違いになります。
無骨と野暮の英語表記の違い
無骨も野暮も英語にすると「boorish」「unsophisticated」「senselessly」となり、例えば上記の「無骨である」を英語にすると「being boorish」となります。
無骨の意味
無骨とは
無骨とは、骨ばってゴツゴツしていることを意味しています。
その他にも、「洗練されていないこと、無作法なこと」の意味も持っています。
表現方法は「無骨な人」「無骨な男」「無骨な性格」
「無骨な人」「無骨な男」「無骨な性格」などが、無骨を使った一般的な言い回しです。
無骨の使い方
「少年は肋骨が浮く無骨な体をしていた」「男性らしい無骨な手に魅力を感じる」「彼の無骨な背中を撫でる」「兄は無骨な体格をしている」などの文中で使われている無骨は、「骨ばっていること」の意味で使われています。
一方、「無骨なデザインの椅子を買いました」「無骨なキャンプギアが役に立っている」「従兄は無骨な車を乗り回している」「いい意味で無骨な人に魅力を感じます」などの文中で使われている無骨は、「洗練されていないこと」の意味で使われています。
無骨は「武骨」とも書きますが、一般的には「無骨」と表記されています。
無骨とは、不作法であることや無風流であることを意味する「骨なし」(読み方:こちなし)を音読みにした語句です。上記の例文にあるように、複数の意味を持ちますが、一般的には「洗練されていないこと、無作法なこと」の意味で用いられています。
「無骨者」の意味
無骨を用いた日本語には「無骨者」があります。礼儀作法を知らない者や、洗練されていない人を意味する言葉であり、「武骨者」とも書きます。
無骨の対義語
無骨の対義語・反対語としては、どことなく粋なことや洗練されていることを意味する「小粋」、粋ですっきりしていることを意味する「垢抜ける」、人柄や趣味などを垢抜けした優雅なものにすることを意味する「洗練」などがあります。
無骨の類語
無骨の類語・類義語としては、礼儀作法にはずれていることを意味する「無作法」、他人に接する際の心得をわきまえていないことを意味する「失礼」、人に対して礼を失した振る舞いをすることを意味する「失敬」、礼を欠くことや無作法なことを意味する「不躾」などがあります。
野暮の意味
野暮とは
野暮とは、人情の機微に通じないこと、わからず屋で融通のきかないことを意味しています。
その他にも、「言動や趣味などが洗練されていないこと、無風流なこと」の意味も持っています。
表現方法は「野暮なこと」「野暮な質問」「野暮な人」
「野暮なこと」「野暮な質問」「野暮な人」などが、野暮を使った一般的な言い回しです。
野暮の使い方
「野暮用で途中退席させていただきます」「あえて野暮な質問をしてみた」「言うだけ野暮なのはわかっています」「そんな野暮なことを聞くな」などの文中で使われている野暮は、「機微に通じないこと、融通のきかないこと」の意味で使われています。
一方、「ひと昔前のファッションで野暮ったい人だな」「野暮ったい髪型になってしまった」「野暮天な兄を友人に紹介するのは恥ずかしい」などの文中で使われている野暮は、「言動や趣味などが洗練されていないこと」の意味で使われています。
野暮とは、風雅な心に欠けていることや洗練されていないこと、また、そのような人を表す言葉です。「野暮」は当て字であり、語源は明らかになっていません。主に話し言葉で用いられています。
「野暮天」の意味
上記の例文にある「野暮天」とは、きわめて融通のきかないことや、たいそう野暮な人を意味します。「天」は、程度の高いさまを表します。
「野暮用」の意味
野暮を用いた日本語には「野暮用」があります。趣味や遊びではない、仕事上やつきあい上の用事を意味します。何かしらの用事があって誘いを断る時や、先に帰る時によく使われる表現です。
野暮の対義語
野暮の対義語・反対語としては、人情の機微や男女関係についてよく理解していることを意味する「粋」、洗練されていることを意味する「お洒落」、男女間の機微に深い思いやりのあることを意味する「通」、行動などがきびきびして洗練されているさまを意味する「スマート」などがあります。
野暮の類語
野暮の類語・類義語としては、野暮な感じで垢抜けないことを意味する「野暮ったい」、風流でないことや趣味を解さないことを意味する「無風流」、世態や人情などの微妙な情のやりとりに通じていないことを意味する「無粋」などがあります。
無骨の例文
この言葉がよく使われる場面としては、骨ばってごつごつしているさま、洗練されていないこと、無作法なことを表現したい時などが挙げられます。
例文1の文中にある無骨は、「骨ばっていてゴツゴツしているさま」の意味で用いられています。例文2から例文5にある無骨は、「洗練されていないこと、無作法なこと」の意味で用いられています。
野暮の例文
この言葉がよく使われる場面としては、世態や人情の機微に通じないこと、言動が洗練されないでいて田舎くさいことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「聞くのは野暮」とは、聞くのが馬鹿げているくらい当然のことを表しています。例文2の「言うのは野暮」とは、皆が知っていながら黙っていること、口に出して言うのは馬鹿げていることを表す言い回しです。
例文3の「結句野暮」とは、とどのつまりは野暮であることの意味で、野暮を強調した表現です。結句は、「あげくの果て、結局」を意味する副詞です。
無骨と野暮という言葉は、どちらも「洗練されていない様子」を表します。さらに無骨は、骨ばってゴツゴツしているさまも表すことを覚えておきましょう。